「悲しいんだけど画が綺麗っていう残酷さ」窮鼠はチーズの夢を見る 星月夜さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいんだけど画が綺麗っていう残酷さ
原作は未読。
主演の2人の演技に圧倒された。
主人公の大伴恭一役を演じた関ジャニ∞の大倉忠義さんにびっくり!
ごめんなさい。生粋のアイドルかと思ってました。
なんて素晴らしい役者さんなのでしょう!
来る者拒まず、去る者追わず…感情を表に出さないアンニュイな雰囲気の恭一にぴったり。
ずっと無表情だからラストの涙を際立たせるんだね。
露出度の高い性描写の数々。
しかも同性との絡みはJでは初めてかもしれない。
新境地に拍手です。
もっともっと大倉くんの映画がみたい!
成田凌さん演じる今ヶ瀬渉の激しく恋焦がれる潤んだ目が忘れられない。
好きな人に好きって言えない苦しみが、一途な可愛い今ヶ瀬くんから伝わって来る。
恋愛って残酷だわ…
行定監督の演出なのか、せとな先生の原作なのか?
主演の2人は勿論だけれど、登場人物一人ひとりが際立っている。
人はそれぞれ顔や性格が違うように、恋愛への考え方も違う。
女性たちの様々な愛の形が見えた。
浮気調査を依頼した恭一の妻・千佳子の痛快なまでに身勝手な離婚宣言とか、
恭一と不倫してる肉食系の瑠璃子のしたたかさとか、
大学時代の元カノ夏生が今ヶ瀬に抱く意地悪なジェラシーとか、
常務の娘たまきが選んだ青いカーテンの相性の悪さとか…
激しい今ヶ瀬の愛との対比が、愛とは何かを観る側に問いかけてくる。
同性同士の恋愛に戸惑う恭一は知らず知らずに今ヶ瀬の沼に引きずり込まれていく。
髪の毛くるくる触ってポテチ食べるシーン。
笑いながら耳かきするシーン。
あと、2人が暮らす部屋の白いカーテン越しに窓から入る光。
屋上で笑い転げてふざけ合うシーン。
ピンクのジッポと灰皿。
そして、椅子。
…隅々までこだわった演出や大道具小道具が秀逸。
愛すれば愛するほど、自分らしく生きられない。
愛すれば愛するほど、苦しくて一緒にはいられない。
悲しいんだけど、画が綺麗っていう残酷さを描かせたら天下一品の行定勲監督にノックアウトされた映画。
追い窮鼠しなきゃ。
てことで2回目は大ヒット御礼舞台挨拶付きで鑑賞。
初リアル大倉さん拝顔。びっくりするくらいカッコいい!