劇場公開日 2020年9月11日

「美しく切なさ全開。すごい良かった!!」窮鼠はチーズの夢を見る みかんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0美しく切なさ全開。すごい良かった!!

2020年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

観て良かった!これは新しい切ない恋愛映画。
美しくて、やるせなく、切ない。

理屈で割り切れない感情の機微、男同士の恋愛の難しさ、楽しさ、男女を超えた想いの交差…。
特に主役男2人の演技は、目の表情、瞬き一つも見逃せない迫力。

私は単純なエンタメが好きで、芸術的な映画は意味不明で嫌いなのだけど、
この映画はすごく美しくて芸術的なのに、面白くて引き込まれて、恋愛の切なさと、映像のセンスの良さにやられて、ずっと見ていたかった。
一言で「オシャレ」
どうにもならない、もどかしさに、共感したりハラハラしたり。

映画の初めの方から、なかなかの濡れ場が多くて、最初、男同士ってどうなの、と。しかも少年ではなく、大倉も成田も、なかなかのオッサン。
最初は少し、驚いたけど、ストーリーが進むにつれて、自然な感じで観れた。
今ヶ瀬と大伴の愛を、すごく応援したくなっていく。

だんだんと、この2人でうまくいってほしい!と願い、現れる女たちにイライラ…。
夏生先輩は女の闇が怖いし、岡村環はブリッコがイライラする…。女に嫌われる女たちだわ、どっちも…。

登場人物の感情の機微を、言葉ではなく、うまく、行動と小道具や映像で表していて、すごく切なかった。

仲良くキャッキャしてた誕生日。
北京ダック食べにいく時、お互いのダウンジャケット交換して着ていたり。
来年もワイン贈るよ、と、サラッと言ったり。

別れる時の悲しみ。
ゾッとするような大伴の目。

海のシーンの美しさは圧巻。
たとえ強風で2人とも髪がボサボサでも…。

恋愛映画、漫画原作の映画は、ハズレが多いのに、こんなに見終わった後の満足度が高いのは、珍しい!

監督も脚本も演出もカメラも良かった。
主役の大倉くん、成田くんの演技がもう、何よりも素晴らしかった。

ダメ男の大伴がモテるのも納得の大倉くんの色気と魅力。
すがりつくような今ヶ瀬をよく表している、小さく身を縮めて座る姿。

リアルなおっさん2人の恋愛が、見た目のビジュアルだけではなく、彼らの動きが、小道具が、彼らの心が、全て美しく切なく、素敵な恋愛映画だった

みかん