「行定監督の圧倒的演出」窮鼠はチーズの夢を見る 並木道さんの映画レビュー(感想・評価)
行定監督の圧倒的演出
演者と行定監督の絶妙なハーモニーが言葉を持たぬ声を観客にひしひしと伝えてくる。
成田凌の目線や一挙手一投足全てが切なく美しい。他の人には絶対にできない素晴らしい演技。それを受け止める静かに人物像が沸き立つような大倉の存在感や生っぽさみたいなものも必見。他にもこの作品で大きな意味を持つ女優陣の演技も鋭く繊細で素晴らしかった。
全てを言葉台詞で任すのではなく、映像描写として見せてくる。なので、原作漫画よりも圧倒的に人物達の台詞は少なく構成されているが、実写映像化としてはかなり見応えがある。
また、キーとなる小物が複数存在するが、観客にも一部の記憶として思い出して切なくなるような描かれ方がされている。街角で似たような小物を見たら「あ、」と思ってしまうんじゃないかというくらい。そのくらいの存在感として画面作りがされているのも脱帽する。
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