燃えよ剣のレビュー・感想・評価
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もうひとつのラストサムライ
終盤の凄まじい戦いを見て、これだ!と思ったのがエドワード・ズイック監督の『ラストサムライ』(2003)。原田眞人監督も俳優として出演していたハリウッド作品でしたが、まさしくズイッック監督へのアンサー作品のようなサムライ魂が感じられました。
幕末や新撰組については全く詳しくないので、ついつい思想的なものを中心に鑑賞していたわけですが、「攘夷」という言葉はやたらと飛び交ってるものの、朝廷や幕府に対する考えはそれほど重きを置いていなかったような印象が残ります。むしろ、薩長と敵対関係にあることがメインであるかのような。そんなイメージです。
バラガキだった土方歳三が「武士になりたかった」という物語。そもそも武士とはなんぞや?などといったことも語られ、主君に忠誠を誓い尽くすこと。また切腹すること。ところが新撰組には主君がいない。そこでトシが厳しい規律を作り、罰則はほぼ切腹なのだ。規律こそが主君なのか?と疑問に思いつつも、彼らの宿敵である薩長と対立することになっていく。朝廷と幕府という二大権力に踊らされ、やがて若者たちは散り去っていく・・・
今まで知らなかったのは新撰組の衣装。青い羽織がメインだと思っていたのに、黒にするといったこと。源さん(たかお鷹)だけは最後まで青だったなぁ~彼がまたコミカルなキャラで楽しませてくれた。そして池田屋事件の辺りでは壮絶なるスパイ戦。ここでは山崎(ウーマン村本大輔)の早口が笑わせてくれる。
最近の原田眞人監督作品は早口が多く、シーンのつなぎ目も間が感じられないほどスピーディなのですが(シン・ゴジラには負ける)、これをウーマン村本が担ってたわけですね。ちなみに政治ネタをふんだんに使ったウーマンラッシュアワーは大好きな芸人。
たった6年間しか歴史に存在していたなかった新撰組。厳しくなってからは参加者もどんどんいなくなっていく様子もわかったし、ラストがあれほど悲しい結末だったとは・・・まさしくラストサムライ!もう一つ勉強になったのが薩長の連中は関東に足を向けて寝るということだった。
テンポの良い歴史をたどる歴史映画
まず最初に、新撰組の事を少なからず知っていないと見てもダサいとか面白くないとか言う評価しか出来ない、大変残念で悲しい事になるので注意されたし。←共感する人は見る価値なし。
知ってる人はダイジェスト版のようにテンポ良く進み、見ていて面白い映画。ただ、写実的にそこは京都か?って言うシーンもあるのでマニアには物足りないかも。とは言え俳優陣も素晴らしく、京都弁は京都人が聞いても全く違和感のないイントネーションで変な関西風演技も無い。池田屋事件の所はもう少し地理関係を映画の中で描写しても良かったかな?て感じ。全体を通して良く出来た映画で殺陣も岡田君らしい格闘が出ていて良かった。これから京都に観光に来る人は、少し勉強してこの映画見て、それから訪れると良いと思います。
咲きほこる花は、 散るからこそに美しい
燃えよ剣
司馬遼太郎により1964年に刊行された歴史小説
幕末に存在した新撰組の副長・土方歳三を
政治背景に左右されぬ喧嘩そのものが目標
「喧嘩師」と捉えバラガキと呼ばれた年少期から
五稜郭で戦死するまでを描いた
新選組は維新以降単なる人斬り集団として
貶められることも多かったが
近代に再評価の機運が生まれ
司馬による本作や短編「新選組血風録」によって作られた
イメージの影響を現在では色濃く受けている
今作は前作「関ヶ原」でタッグを組んだ
原田眞人監督と主演岡田准一の再結成による
時代を戦国末期から幕末に映した感じの作品
感想としては
元々長編小説で大河ドラマ等でじっくり
扱われてきた題材を2時間半にまとめた
だけあって端折り感があったものの
ディティールは相変わらず高く
新撰組の置かれた理不尽な境遇を
客に伝えるには効果的に思ったし
テンポ重視で海外公開にも向いてる
気がしました
土方歳三ら新撰組の中心人物近藤勇や沖田総司は
いわば青雲の志を持った会津のヤンキーであり
長州藩が倒幕で帝を担ごうとしていた京都で
会津藩が京都守護職の関係で発足した浪士組による
討伐隊に参加し「新撰組」を名乗り
自身らの出世と士道を軸にした世の実現を
目指したのでした
土方の「天然理心流」はケンカ殺法然とした
荒々しい流派を岡田准一が自ら徹底して表現
している部分は見ごたえがありましたし
京都へ向かう際にふさわしい業物を求めて
家族に100両借りて和泉守兼定を手にするシーンは
なんかドラクエみたいで面白かったです
さてこの幕末時代政治思想が非常に入り組んでおり
尊王と攘夷を右翼と左翼のような対極にとらえる
もんじゃなく
帝に政治を委託された幕府が帝を守るのは当然
なのに倒幕をもくろむ長州藩が帝を担ぎ
加担する貴族までいるぐちゃぐちゃさ
最も名を汚す朝敵になりようがない幕府側が
なんとかしないと自分たちが朝敵にされる
可能性に行動しないといけない必然性が
あったわけです
その辺の流れ的な部分が
長編ドラマとかだとなかなか動き出しが
つかみにくいとこあると思いますが
長編ドラマ苦手な自分みたいな人間
にはしっくり来ると思います
結局ただの喧嘩屋だった土方が
一番純粋かつ柔軟性を持ち合わせた
次の時代に対応できる人だったのかも
しれないと思わせるものが
ありました
ビジュアルも姫路城や仁和寺
将軍の間なんかは関ヶ原でも使っていた
同じロケセットだったと思います
(それだけに関ヶ原の幕末バージョンに
見えちゃううとこありましたが)
全体的に特徴的なカットを意識して
外国ウケも良さそうな気がしました
たびたびリメイク受ける題材だけに
こういう部分は重要でしょう
キャストも岡田准一は言うまでも無く
鈴木亮平のお人好し感丸出しな近藤勇
沖田総司の皮肉屋で理解者な感じを山田涼介
葛藤の塊になった一橋慶喜の感じ山田裕貴が
巧みに演じており
SNSで炎上してるときしか見ない村本大輔が
どう見ても優秀だった山崎烝を演じているのも
ギャップで面白かったです
あと最近売り出し中の村上虹郎
直近でるろ剣で沖田やってましたが
今回は岡田以蔵でしたがやっぱり存在感
出してきます
詰め込み感はたしかにあり
人物間の関係性を掘り下げ切れてない
感じはありますが
エンタメ性も高く観にいっておいて損はない
作品だと思います
筋を通し、夢に死ぬ…侍土方の生き様!
原作は既読です。
延期を経て、ついに公開…よっ、待ってました!
箱館・五稜郭で最後の決戦に臨もうとしている土方歳三が、己のこれまでの道程を回想する形で物語がスタート。原田眞人監督作品にしては珍しく、ペリー来航から始まった幕末史の流れを丁寧に追いながら、激動の時流を多摩のバラガキがどのように生きたかをダイナミズムたっぷりに描いていました。
新選組を最強の剣客集団に育て上げ、最期の瞬間まで己が武士道を貫徹しようと駆け抜けた土方歳三と云う男…
一度決めた筋を決して曲げず、たとえそれが時代に逆行するものであったとしても、生来の喧嘩師としての性質から戦いを求め続け、侍として生きると云う夢のために進撃したその生き様は、筋を通し続けることの難しい現代の視点から見ても、とても輝いているように思えたし、心に刺さりました。
岡田准一は本当にすごい。土方を演じることを長年熱望していたと云うだけあって全身全霊で役に挑んでいる姿に、己の俳優人生を賭けた気概を感じました。
原田監督とのタッグは「関ヶ原」以来二度目なだけに、監督からの信頼厚く、土方関連の殺陣は彼に任せていたそうな…
「武芸者が俳優のふりをしている」と監督から評されているだけに、その殺陣は近年のトレンドであるスピーディーさを取り入れつつ、往年のチャンバラの精神を継承している点が素晴らしいし、尚且つ岡田准一の身体能力の高さとセンスの良さが最高の形で結実していて、まさに彼の集大成だな、と…
彼のアクションは世界基準だと改めて思いました。
本作にて、原田監督による"時代の転換点"を描く連作シリーズは終わりを告げたと云うことですが、「関ヶ原」のレビューにも書いた通り、是非とも司馬遼太郎「城塞」を映画化して欲しいです。戦国時代と云うひとつの時代が終わりを告げた瞬間を監督ならどのように描くのか、非常に興味があります。
[余談]
鈴木亮平と山田涼介について―
まず、鈴木亮平。ドラマでの立派な医師、悪鬼のような絶対的悪のヤクザ、そして本作の近藤勇と、ほぼ連続して様々な役を演じている姿を拝見しましたが、そのどれもが素晴らしい演技であり、三者三様の役柄を咀嚼し、見事体現しているのが本当にすごい。主役であっても脇役であっても抜群の存在感を示す稀有な俳優として、これからの活躍も応援したい。
そして、山田涼介。これまでは正直特筆する点の無い演技をすると云う印象でしたが、本作での沖田総司役の良さはどうでしょう。儚げな美男子であり、若くして病に倒れた沖田そのものな佇まいであり、これはもしや彼の当たり役なのではないかと思いました。俳優として一皮剥けた気がしました。
※以降の鑑賞記録
2022/06/26:Amazon Prime Video
2022/12/30:時代劇専門チャンネル
しばらく新撰組に浸れるわ✨
前回は「るろうに剣心」二部作を見てきてからの
また時代劇だけど新撰組は小学生の頃に日テレの
「白虎隊」を見て新撰組がめっちゃカッコいいと
感化されてしまい、大好きだから昔のドラマから
映画まで全部見てきた。
今回のは司馬先生の原作だから楽しみにしてました♪
多摩の百姓は貧しいながらも剣術をしながら生きて行く。
そんな中で喧嘩が上手かった仲間同士が
幕末の激動の時代に突入していくのは
彼らの運命だったのかもしれない。
自分の剣術を試せる機会なんて人が斬られる時代が
誰かに作られなければ一生来なかったはずだ。
ペリーの率いる黒船艦隊が引き金になったのは
間違いない。
佐幕派も倒幕派も己の信念に従い戦ってきた。
そして、今日の我々の生活ができてきた。
彼等は満足していたか不満だったから分からないけど
武士道とは死ぬ事にあり。
死に場所として絶好の機会が来たのが幕末だったと
私は思いましたね。
映画の感想としてはもう少し戦闘シーンを丁寧に
見せて欲しかった。
池田事件なんて彼等が英雄になった
晴れ舞台だったわけだし。
立ち回りではメインになるシーンだ。
もっとカッコよく立ち回りを見せて欲しかった。
土方のナレーションじゃなく彼等のストーリーだけで
充分に見せれたはずだ。
鳥羽伏見の戦いや会津戦争、各地で転戦する様を
ちゃんと見せた方が新撰組の魅力が出たと思う。
私なら弾丸が飛び交う中、すり抜けてすり抜けながら
官軍の兵士達を斬っていく彼をもっと見せたかった。
誰が誰だか分からない戦闘シーンじゃ
新撰組の意味が無い。
牙突とかもああいう局面でバーンッと決める事で
官軍が新撰組恐るべしと慄く様を見せたら良かったなと。
岡田准一は武道を極めてるからアクションシーンや
馬術シーンもカッコいい✨散り椿も良かったから
余計に彼のアクションシーンに期待してしまった。
もっと暴れて欲しかった。
めちゃめちゃ強い武闘集団だったからレジェンドに
なったんだから。
今回一番良かったの井上源三郎の源さんだった。
リアルな源さんの芝居がいい味を出していた。
今までで一番良かったと思う。
という事でこれからも新撰組は色んな形で描かれたり
出てくるんだろう。
これからの新撰組に乾杯🍻
時代の生き様を痛感
司馬遼太郎の原作「燃えよ剣」を基に作られた映画。
原作どおり主人公の土方歳三の生き様を描いた作品でした。
新選組が生まれる前から土方歳三の最後までを描かれています。
原作を読んだ事があったので、内容は知っていましたが映像で見るのは、また違う感じがあって面白かったです!
幕末に生きるという事は、時代の移り変わりがあり、自分が今まで信じてきていたものが変わってしまったりする中でも自分という存在を持ち続ける男の姿を感じました!
アクションも迫力があって見応えがあります
【幕末の動乱期、裂帛の気合と、ブレない鋼の精神で時代を変えようとした土方歳三の人生を、原田眞人監督が壮大なスケールで、自らの解釈を大胆に取り入れ描き出した作品。】
ー 今作は、司馬遼太郎の同名の大ベストセラーを底本にしているが、原田眞人監督はそれを大胆に改編している。
だが、私はその姿勢を是としたい。
更に言えば、現代邦画の監督で、これだけのスケールの歴史大作を作れる監督が何人いるのか!
あれだけのキャストの一人一人にキチンと光をワンカットでも与えている監督自身が書き下ろしている脚本のレベルの高さにも、感服である。ー
◆感想
・新撰組副長土方歳三を演じた岡田准一の、剣捌きのスピード。身体の切れ。
ー 流石、居合の達人である。
この方に”衰え”という言葉は全く当てはまらない。
真のプロフェッショナルである。ー
・土方の歩き方
ー 田舎臭い変な歩き方から、武士らしい歩き方に徐々に変わって行く過程と共に、彼自身も武州の田舎の農民の子、茨ガキから、新時代の”武士”に変容して行くのである。ー
・土方が劇中、頻繁に口にする”形がよくねえ”。
ー 彼が、自らの中に美学をしっかりと持っている事が分かる。
そして、それ故に、彼は官軍から逆賊になっても、自らの信念を曲げる事無く、五稜郭まで戦いを続けるのである。ー
・土方の、今までの”武士”とは違う生き方。
ー これは、多くの方が書いているが、農民出身故に、”一人の主に、終生付き従う”という生き方ではなく、自分の持つ美学を終生貫くという、新しい“武士”の姿を体現しているのである。ー
・あれだけ多くのキャストに僅かでも、キチンと光を当てている原田監督の姿勢。
ー ワンシーンだけ出演する、土佐藩士”人斬り以蔵”を演じた村上虹郎など。ー
・芹澤鴨殺害シーンや、池田屋事件の、生々しい描き方。
ー 物語が、単調にならない。
アクションシーンの使い方、挿入するタイミングも上手い。ー
・物語に、恋愛要素を入れる事で、殺伐とした内容に、艶やかさを加えている部分。
ー 土方の”妻”になったお雪(柴咲コウ)のキャラクター設定。
夫を”ある理由”で亡くしたがゆえに、残酷絵を描き、一方では従軍看護役を買って出る現代的思考を持った女性像が、この作品に与えたモノは大きいと思う。ー
<今作の面白さを書き出すと、キリがない。
が、一つ言えることは、あれだけ多くの俳優・スタッフを率いて、映画を作り上げる原田眞人監督の力量の凄さであろう。
原田組は、その厳しさで有名だそうであるが(前作、「関ケ原」では、脱落した役者、スタッフ多数だそうである。)それも又、
”映画人として、妥協なき良い作品を観客に届けるのが責務”
という監督自身の矜持であろう。
でなければ、今作の様にやや長尺の作品でも、全く飽くことなき作品を作り続ける事は出来ないであろうから・・。>
【ネタバレあり】鑑賞直後の率直な感想
コロナの影響で、ずいぶん前から待たされましたが、
ずっと期待していた作品をやっと映画館で観ることができて率直に嬉しいです。
その上で、あえて一言、申し上げたきことがあります。
この作品は、土方君の生涯を題材にした作品ですが、
1本の映画で収めるには、尺が短すぎていろいろ詰め込みすぎたと思います。
セリフはただでさえ、地方の方言でわかりずらいのに、
早口で聞き取れないところもしばしば、
展開も駆け足すぎて、感情移入しにくかったのではないかと思います。
それゆえ、新参の新選組ファンには難しすぎ、新選組に詳しい人にとっても
見どころをあっさり通り過ぎさられて中途半端
お子さんにも襲撃事件の描写がえぐすぎて、おすすめできない(なぜか年齢制限はなし)
じゃあ、誰にもおすすめできないのかというと
沖田君役の俳優さんが大好きな人、それと会津藩出身の方には、
自信をもっておすすめできます。
ラストサムライが大好きな海外の人にもぜひ観てほしいとは思いますが、
おそらく、「なぜ、ジャパニーズは、この作品を1本で完結しようとするのか??
なぜ最低でも3部作にするか、動画配信サービスでドラマ化しないのか」
と言われそうです。
良かったことと言えば、お雪さんの演技がとてもよかった。
最初は、土方君の女房役でもっと若くて売り出し中の女優さんはいないのかと
頭をよぎってしまいましたが、見終わってからは、さすがの演技だなと思いました。
あと、近藤君もハマっていたと思います。
採点は、今後の日本の映画界への期待をこめての★4です。
少し淡々と
岡田准一さんの主演ということで、ファブルも見てたし、立ち回りにとても期待していて、そこはそれなりに良かったです!
鋭い眼光とか、組織をなんとか作っていこうとする姿勢とか岡田さん自体は良かったんですが、
映画そのものが土方歳三の回想を映像化した形だったためか、盛り上がりとか起承転結に欠け、
「あの戦いはこんなふうだったよ」
という流れだけなのでなんだか淡々と説明されて映画が終わってしまった、という少し残念感がありました。
なんか、もっとこう「うわーこの戦いの時、この池田屋の時、土方さんの目線からだとどんな感じだったのかなー!!」というワクワク感とかが、いえ場面説明はちゃんとされているんですが、なかなかこう、興奮するような、ドキドキするようなテイストにならず。。
鳥羽・伏見の戦いでは思わず「ここに剣心がいたらなー」とか余計なことまで考えてしまいました。
ただ他の俳優さんについては、例えば山田裕貴さんはヒノマルソウル、リベンジャーズに続いてまた見れて嬉しかったです。彼が徳川慶喜を演じるとこうなるのかー、とかそういう発見はあって、全く違う人物像の演技が見れたこと、そこはとても良かったです。
それなりには勿論良かったんですが、岡田准一さんならもっと剣の立ち回りの凄い感じが演出的にさらに出せるんじゃないかな、と思ってしまって(欲張りかな)
でも道場で次!次!となぎ倒していく様や、洋装も似合っていて、騎馬姿もとてもカッコ良かったです!!
教科書
昨年5月公開予定から延期してはや1年5ヶ月。少しずつコロナも収まり、タイミング的にはジャストなタイミングでの公開。ただ、初日の夕方の客入りが大スクリーンの3分の1というのが何とも言えない…
大まかにバラガキ時代から新選組結成、そして大政奉還後の最後の戦いまでを全て描きます。148分に本当に詰め込めるのか?という疑問を抱えながらも鑑賞。
まず良いところを挙げていきます。
役者陣の剣術に武術のクオリティはとても高かったです。狭い小屋の中で繰り広げられる血みどろの戦闘はるろ剣とまではいきませんが、狭さを活かしており良かったです。ちゃんと斬撃の音もしっかりしてますし、乱戦の様子も群像劇のように描かれておりリアルでした。
次に登場人物の描き方です。差異はありますが、沖田総司の愛嬌の良さだったり、美少年感は山田涼介さんにピッタリハマっていました。藤堂平助や山崎烝ははんにゃ金田さんや、ウーマン村本さんが演じられており、違和感なく観れて、ハマり役だったと思います。山崎のイメージは銀魂で固まっていたのですが、今作だと優秀な潜入捜査官として描かれており、こういう人物なんだなと知れたのが今作の功績です。一橋慶喜の頼りなさも山田裕貴さんの喋りのお陰で深みを増しています。土方も勇ましさの部分が強く描かれており、圧倒的強者感が素晴らしいです。お雪さんの愛らしさも魅力的です。
風景の作りもとてもうまかったです。定番の幕末の景色のみならず、広大な自然、教科書でも一度は見た建造物、他にも精巧に作られた建物もあり、世界観に違和感なく浸ることができました。
ここからイマイチだった点です。
一部の登場人物の描き方が曖昧でした。近藤勇も目立った活躍がないために、何故ここまで讃えられているのかが映画の中では分かりませんでした。芹沢鴨も登場から死ぬまでのくだりがほぼ描かれず、突然切り込まれて死んだ様にしか見えなかったです。そこまでの描き方がこの尺では非現実的だったんだろうなとは思いましたが、どうしても拭えない違和感が心残りです。
全体的に思ったのは教科書通りだなと思ったことです。意外性が全くを持ってないです。自分は幕末の時代の本を読むのが好きなので、山崎の描き方以外は大体どこかで見たものでした。もっと土方の意外な人間性や、深掘りされた新選組、劇中でもちょろっと触れられていた新選組内部の崩壊ももっと観てみたかったです。後半になっていくごとに駆け足になり、近藤や沖田の死に際もナレーションで済まされて、土方の死も感動できるはずのものなのに特に何の感情も抱きませんでした。ただ運ばれる様子からエンドロールに繋げられても…
かなり楽しみにしていただけなのに微妙な完成度になってしまったのは悔しいものです。戦闘描写に関してはしっかりしているのでそこに注目すれば面白い作品だろうなと思います。
鑑賞日 10/15
鑑賞時間 17:20〜20:00
座席 Q-26
早口言葉でまくしたてるあの男!
公開初日に観てきました!
原作の世界観を裏切らない素晴らしい出来映え。
原作などで新撰組近辺の歴史を知らないと展開についていけないかと。
歴史的な戦闘戦場のシーンは、大スクリーンで観る価値あり。
岡田准一演じる土方歳三は、イメージ通りの戦略家でありながら心熱き男として、表現されていました。特に、箱館のシーンでは、肖像写真で見た土方歳三そのままでした。
柴咲コウ演じるお雪は原作と比べてストーリー展開に絡んでくる重要な役どころになっていました。
ちなみに村本大輔演じる山崎丞が早口言葉でまくしたてたりして、物語にいいスパイスを与えていました。
全51件中、41~51件目を表示