燃えよ剣のレビュー・感想・評価
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初めて腹落ちした新撰組
新撰組に中途半端にしか触れてこなかったせいか、新撰組の魅力と残酷な側面をいままで消化できずにいたけれども、この作品で初めて納得できる描きかた出会ったと感じた。
沖田総司、松平容保、芹沢鴨、山崎丞が魅力的。出番は少ないが関白近衛も良かった。
原作は映画を観てから読み始め、まだ三分の二くらいだけども、いまのところ削った部分も多い割には全体から受ける印象に遜色なく、再現性も高いと感じる。
粗い脚本、演出、キャスティング…
長編小説を2時間半にまとめるにしてもダイジェストにすらなってない脚本の粗さだけならともかく、
演出、キャスティングもかなり酷い…
岡田や鈴木は勿論はんにゃ金田も全然ありだけど、クライマックスに向かう大事な後半に基礎的発声すら出来てない早口まくしたて芸人の起用は有り得ないでしょ…
討ち入り直前の路上シーンでも芸人のセリフだけ変で入って来ないし、動きも明らかに演技ではなく普通に挙動不審だし、本人どうしたら良いのか分からぬままああなってしまった様子。
鮮血飛び交う討ち入りシーンでは何故か手ぶら(刀持ってたのかもしれんが緊張感ゼロ!)な上、真顔で立ち回りの間をスリぬけるように移動とかヒド過ぎて啞然…
原田眞人は「関ヶ原」も酷かったが、本作も司馬遼太郎のタイトルだけ利用した、他人の金で好き勝手に遊んでいる映画。
かつては好きな作品もあった監督だが歳とって映画の作り方を忘れてしまったようだ。
もう二度とこの監督の作品に金払うことはないだろう。
監督の力量不足
楽しみにしていたのにがっかり。
関ヶ原の時もそうだったが、原田監督は司馬遼太郎の原作を読み込めていない。
原作の言い回しを使えば原作通りにやったと思ってないかな。
もとより150分にこの長編小説を全て表現しきるのは不可能なのはわかっている。
多少のオリジナル要素や改変は致し方ないが、残すべきシーンや設定をいじくりカットし、余計な設定を盛り込むのは×。
燃えよ剣で描くべきは、相容れない美学同士のせめぎ合いだ。
国家レベルで考えた時それは尊王攘夷や公武合体であり、個人レベルに落とした時は詰まるところ土方と七里の因縁争いになる。
そこから言えば七里の役回りはそうじゃないし、あの二人の因縁は最後には切られるからこそ相容れない美学、そして時には通じ合う交歓がせめぎ合うのだ。
お雪もそう。
お雪は戦いの場に持ってきてはならないヒロインであるからこそ、『知らねば迷わぬ恋心』なのだ。
お雪のいる戦いのない暮らしと、滅びるしかない幕府に節義を通し戦い切る人生。
迷いもなく後者を選ぶように見える歳三の迷いを描いてこそなのに。
油小路の決闘もそう。
土方は彼の作品である新撰組を崩壊寸前にした伊東を「殺したいほど憎む」。
だからこそ敵将の遺体を囮に誘い出すと言うおよそ士道のかけらもない謀略に出られるのだ。
関ヶ原に続いてがっかり。
役者も演技もいいのに、これはもう監督脚本に司馬遼太郎を映画に起こす力が足りないと言わざるを得ない。
よかったシーンももちろんあったが、作品のテーマを表現しきれていない。
岡田くんはじめ役者の演技はほんとうによかったのでお情けで2点をつけたが、原作小説燃えよ剣のファンとしては0点をつけたくなる作品だった。
引き込まれる
駄作
個々の人物に説明が殆ど無いので、新撰組を知らない人は何で殺し合って...
新撰組の何を描きたかったのか
万人受けはしないけど
「関ヶ原」が個人的にイマイチだったのであまり期待しないで観てきた。「男の生きざま」「散り際の美学」みたいなモノにグッとくる人にはハマるんだろうな、と思う。私も今、「青天を衝け」にハマってなければ純粋に楽しめたかもなー。
とにかく登場人物多いし、ギュッと話が詰め込まれてるし、幕末それぞれの立場を理解してないとすぐ置いてきぼりにされる。
そういう意味でも万人受けはしないな、と。でも、そういう映画も時にはあって欲しいんだよね、とか思ったり。
個人的にはこの映画の慶喜、山崎、芹沢、山南のクセの強さが好き。
あと、喧嘩剣術ってこういうことだよね、という説得力ある殺陣が良かった。
ただただ武士であり続けたい土方とそうは言ってられなくなった近藤さんと二人のそばにいることを諦めざるを得なかった沖田。そして源さんの4人が土方を覗き込むシーンはちょっと泣きそうになった。
泥臭いが剣は、一流の土方歳三の生きざま
司馬遼太郎の原作を忠実になぞった映画。人物造型も、沖田総司役の山田涼介さんが熱演。労咳で亡くなる総司の天真爛漫さと冷酷な殺人者の役を演じた。土方歳三の生涯と新選組を描いた本作は、映画というくくりのため長編の原作をはしょり、歴史との大まかな関わりの事件を主に描いているため、ちょっと物足りない感があった。絵師のお雪さんはイメージを膨らませたのか。原作のセリフそのままのところがあった。岡田准一さんのばらがきの歳三の土臭さ、土着の喧嘩戦法、天然理心流の殺陣で見せるみせる。時代劇にありがちな、大げさの立ち回りでなく、本物の白刃でのやり取り、血しぶきに魅せられた。時代の変革期に、翻弄されつつも最後まで男の流儀を貫き通す美学が美しい。しかし、二時間は短いと感じるくらい、密度の濃ゆい出来である。歴史の本や司馬遼太郎のの本でもう一度感動をかみしめたい気がした。歴史とは、結局誰が正しい、正しくないと後世の人間が決めただけなのかも。日本中で俺たちの味方はだれもいねえよ。歳三のコトバは重い
無難にまとまっている
歴史物では鉄板の幕末もの。しかも、日本人が大好きな新選組の一番人気といってもいい土方歳三中心の物語で原作が司馬遼太郎とあれば、外すはずが無い。実際、客入りは好調なようだ。
公開延期トラブルなど感じさせない出来と言っていいと思う。
物語は箱館戦争の陣中で土方が昔語りをするという体裁で進行していくのだが、死に場所を探し求めていた土方の終わりを悟ったような落ち着いた表情を岡田准一が実に上手く表現していたと思う。
全体的にも、司馬遼太郎らしい細かな人物描写をテンポ良く描いていて中だるみのない展開という印象。
ハイライトの池田屋事件の格闘シーンも迫力あり良かった。
それにしても、近藤勇がお公家さんのような白塗り顔で写真を撮っていたというのは笑えた。
全体を通しての感想としては、殺陣師の気合いがハンパじゃなく、伝わってくるチャンバラ映画というのが一番しっくりくる表現かな。
もっと焦点を絞って組織に生きる個性を描いてほしかった
司馬遼太郎の「燃えよ剣」は読んだことないが、同じ新選組を描いた「新選組血風録」は何回か読んで、とてもおもしろいし、いまも読むときがある。新選組隊士のそれぞれの個性を淡々と描いていて、リアルに想像できる筆致だ。
今回の映画は、どこを切り取るかってところに注目したけれど、すこし俯瞰的にすべてを盛り込んでいて、駆け足になってしまっているのは否めない。
個人の好みにもよるけれど、わたしは池田屋事件に至るまでを描いても十分な時間がとれたのではないかと思うし、その分、隊士の個性やエピソードを描いてほしかったし、映像の静かな間ももっととれたと思う。
組織に連ねる個人。烏合の衆がどうやって命を懸けるほどの集団の結束につながったのか、それぞれの個性はどうだったのか、もっと焦点をあてることで、自ずと葛藤やその感動が伝わったのではないかと思う。
この時代に生きた人達は、その中においても土方歳三は大変な生き方をし...
どうなるかではなくどうするのか
原作は読んでいませんが、新選組関係は読み漁ってゆかりの地もかなりいったので、話は入りやすかったです。
ただ、、映画として、時々土方のインタビュー的ナレーションが入るのが、どうしても気持ちが冷めてしまう。
あの外国人はなんだったの?
それがちょっと疑問に残ってしまった。
結構新選組になってからのことを描かれてることが多いので、それより前のバラガキから描かれているのはいいですね。でもほんと内容は大河並みなので、前後編にしてもよかったのかも、、。
ロケ地は知っているところも多々あり、奈良の長谷寺とか妙心寺、西本願寺、金戒光明寺など、嬉しくなりました。とくに妙心寺は好きな寺で、萌えます。
山崎烝の商人に扮して偵察にいくところとか面白かった!口上がよかった。過去あまり見たことない感じのキャラでした。
慶喜も雰囲気あってよかった。松平容保が会津藩あづかり京都守護職となって、徳川家との関係で幕府に逆らうに逆らえなかったりするところも描かれていて、その葛藤とか泣けます。金戒光明寺の会津藩士のお墓を思い浮かべてしまいました。
芹沢鴨の死ぬシーンがえげつなかった。でも実際あんな感じなんでしょうね、、。酔って寝てるところを布団の上から滅多刺し、、武士としてはどうなんだとも改めて思ってしまいますが。芹沢の前で土方が踊るシーンもありましたが、あれはどうなのかな、そこまでしたんだろうか?
あと、なんか島原の花魁があまり綺麗ではなく、下品に見えて仕方なかったのは残念。教養が高く、本来はお茶をして、歌を読み、お酒を嗜むところなのになあ。
総司や土方の恋も描かれていたのも良かった。雪に会いに行ってご飯を食べたりとか、総司がからかったりとかいいですね。
総司が「これからどうなっていくのでしょうか?[と呟いたときに、土方が「どうなるかではなく、どうしていくかだ」と言ったセリフがとても印象的でした。
そんなふうに未来を待つのではなく、自分で切り開いて生きたいですね。
見るには良かったと思う
全く長さを感じなかった
2時間超えの大作が続く中、パラパラと見えてしまうレビューで「小間切れ」といった文字も見え、筋にこだわる自分としては寝てしまわないか不安を感じ、事前にモンスターエナジーを注入。
ところがそんな心配は杞憂に。小間切れのストーリーも、最初から本人の函館での回顧録として認識できる作りであり、土方歳三、近藤勇、沖田総司の3人の関係を軸にわかりやすくまとめられており、お雪との恋愛話も適度に盛り込まれ、歴史に疎い自分でも眠くなったり退屈することなく最後まで見られた(関ヶ原はちょっと退屈したのだが)。
岡田准一師匠が手掛けた殺陣もるろうに剣心のようにストーリーから浮くことなく、殺し殺される痛みや苦痛が重みを持って伝わってきた。
何を見るか迷った末の消極的選択だったものの、想像以上の満足感。
詰め込みすぎ感はあるけど
原作既読。まあずいぶん昔なので細かいところは覚えてはいないが。
浪士隊結成前から五稜郭までを1本の映画に詰め込むのはさすがに…とは思う。
その飛び飛び感を「演出」として活かすために、この映画は五稜郭での土方の回想、という形式になっていて、これは功を奏しているとは思う。
思うがもう少し絞れなかったかなぁ、とやっぱり思ってしまう。
例えば史実にはない清河八郎の暗殺未遂とか岡田以蔵との殺陣とか、省略してもよかったんじゃないかなぁ。
あぁでも清河暗殺未遂のシークエンスは、芹沢鴨の強さを見せておくために必要だったのか…
芹沢鴨の暗殺、池田屋事件、函館戦争と見せ場はたっぷり。
特に池田屋事件の映像化をした作品の中では、本作はダントツぶっちぎりで迫力がある。
まあ池田屋事件では土方は脇役だけど(笑)
キャスティングは、岡田准一の土方は生まれ変わりかと思うくらいにハマっていた。
鈴木亮平の近藤勇は…ちょっとアクの強さが足りない気はしたけど、この映画の近藤はこうなんだな、と納得はした。
山田涼介の沖田総司はこれがまた意外だけど抜群に良かった。山田涼介に時代劇は合わないのでは?と思っていたけど、一番沖田総司のイメージに合っていたかも。
その他のキャストは年齢が合わないなぁ。
山南敬助にしても伊東甲子太郎にしても、死んだのは30歳前後だからなぁ。
最もイメージとズレていたのは久坂玄瑞で、最後まで気づかなかった(笑)
久坂が死んだのは23だよ?(笑)
おまけに残っている写真ではすごい優男なのに、あんな髭面のおっさんが久坂なんて、劇中で名前を呼ばれるシーンでもなけりゃ絶対分からん(笑)
架空の人物は造形が自由にできるので有利とはいえ、柴咲コウの雪はやはりさすが。もう40なのにこの大画面のアップに耐える綺麗さ。
と、割とダメ出しが多い割に評点が高いのは、やはり岡田准一の土方が素晴らしかったのと、池田屋事件の映像の迫力に尽きるのだ。
さて、久しぶりに原作を引っ張り出して再読しようかな。
土方歳三カッコ良すぎる
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