「3回観た。もっと観たかった」燃えよ剣 RAさんの映画レビュー(感想・評価)
3回観た。もっと観たかった
岡田准一→御本人も歴オタだからか、土方歳三に敬意を持って強く逞しく演じてくれた。まさに、令和に現れた益荒男。
自分は『新選組!』も好きだったが、山本耕史の土方歳三とはまた違った良さがあった。
『ファブル』も面白かった!
鈴木亮平→『西郷どん』、『天皇の料理番』、『孤狼の血』も最高だったが、近藤勇もピッタリだった。
これまでの鈴木亮平の総決算のような、懐の深さと儚なさを併せ持った好漢だった。
鈴木亮平の近藤勇が好きな人は、おそらく、今年の大河ドラマの木曽義仲や源範頼も好きだと思う。
まさに、悲劇のリーダーといった趣きだ。
田舎の剣道師匠兼歳三の幼なじみとしての前半と、政治に呑み込まれて迷走し始める後半と、両方とも良かった。
“ふぉとぐらふを撮る”と聞いて、顔を真っ白に塗りたくって出てくるあの場面…。
あれは、彼なりの、“高貴な人物の真似”だったのだろうか?
頑張っても、頑張っても、田舎者成分が抜けきらない……そんな不器用さが、非常に愛おしい。……そう思う、田舎好きの私。
応援したくなる近藤勇だ。
強さと不器用さが共存していて泣ける。
芹沢鴨/『新選組!』の芹沢鴨も素敵だったが、あちらはムンムンとした成熟した大人の色気+破滅の美。
こちらの芹沢鴨は、ギラギラした男の色気に、時々無邪気さをチラ見せさせる、罪な芹沢鴨だった。
あんなにギラギラしていて悪人顔が似合うのに、子供達からは人気があって、子供達から誘われて、一緒に縄跳びをしたりする(笑)
そういう普段とのギャップに、お梅は惚れたんだろうな…と思った。
子供は、悪者を見抜くのが得意だ。
この映画の芹沢鴨は、実は良い奴だったのかもしれない。
その博識を買われて、近藤勇に懐かれていたのも面白かった。(笑)
史実の芹沢鴨は、お鹿と小寅という女性に乱暴狼藉をしたそうだ。
実際に周りにいたら、厄介極まりない男である事は間違いがない。
だが、時代劇になると、とてつもなく魅力的な人物になるのは何故なのだろうか?
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見所としては、やはりラストの土方歳三の乗馬シーンだ。
コロナ禍の最中に上映されたとは思えない、ド迫力のスペクタクルシーンになっている。
殺陣が得意な岡田准一の面目躍如。
昨今の時代劇ではあまり見られない、豪華な合戦シーンは一見の価値あり。
なお、自他共に認める新撰組オタクの私だが、新撰組は内部抗争が多かった事でも有名な少数集団だ。
史実及び、時代小説の巨星・司馬遼太郎の原作になぞったエログロな場面が劇中結構な頻度で出てくる為、そういった場面がOKな人にオススメしたい。
昔の時代劇は、もっとグロい場面が出てくる作品もあった。
久しぶりに、昭和の時代劇の様な、野心的で古典的な骨太時代劇を見た。
時代劇が若者の流行であった頃の、あの感触だ。
ありがたい。
斎藤一は、ハマり役だったが思ったより出番が少なく、残念。
お雪は、夫を亡くした悲しみをひそかに猟奇絵で癒しているという設定が、悲哀があり良かった。
新しい恋を見つけて、だんだん乙女になっていくお雪も可愛かった。
彼女が、ラストシーンで土方歳三の遺体を見る場面は、悲しかった。
毎回、近藤勇が死に赴く場面と、お雪のその場面で涙腺崩壊していた。