劇場公開日 2021年10月15日

「見応えはじゅうぶん、ですが」燃えよ剣 pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5見応えはじゅうぶん、ですが

2021年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

コロナの影響で公開が延びに延びた本作。やっと観ることができました。

さすがに大作だけあって、見応えはじゅうぶん。大作ならではのダイナミックさというか、「凄み」を存分に味わうことができました。
それから、原田監督の端整な映像美も堪能できた。原田監督の作品――僕は本作までに『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』『関ヶ原』の4作しか観ていませんが――は、自然光(あるいは自然光に観えるライティングか?)を活かした撮影がとても美しいですね。高い品格を感じます。この、臨場感を引き立てる映像美が原田作品の魅力のひとつだと僕は思います。あと、音響効果もよかった。「足音」がとても効いていたなぁ。ビゼー作曲のBGMも、最初はちょっと「?」と思ったけど、印象的でした。

ただ、凄みは感じたものの、残念ながらグッと胸に迫る感動はそれほどなかったというのが、この作品を鑑賞した正直な感想です。
迫力満点のシーンが満載でしたが、それゆえに監督がほんとうに見せたいクライマックス、「見せ場」がどこなのかよくわからなかった(僕が漫然と観ていたのかもしれませんが)。

それから、この作品はちょっと上級者向けのエンターテインメントではないかと感じました。
つまり、幕末~明治維新にかけての、あのややこしい歴史(尊王攘夷や、各藩の相関関係などについて)をいちおう呑み込んでいなければ、ストーリーに入っていくのはむずかしいだろうと。
僕もそのあたりのことをもっとしっかりと勉強していれば、もっと深くこの作品の表現意図を感じ取ることができ、楽しめたのではないかと思います。

ともかく、迫力はあった。

それにしても、すごい時代、すごい人生ですね。

追記
岡田君の殺陣は、自ら指導もしているだけあって、(いちおう)剣道有段者の僕から見ても素晴らしいものでした。体幹がひじょうにしっかりしていますね。
それから、松平容保役の尾上右近、いい役者だなぁ。気品があり、何より役者としての「顔」があると感じました。
あと、新撰組、山崎烝役の村本大輔も異彩を放ってましたねぇ。

peke