劇場公開日 2021年10月15日

「妙な構成になっているのは、今後の海外展開を視野にいれているから、かな??」燃えよ剣 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5妙な構成になっているのは、今後の海外展開を視野にいれているから、かな??

2021年10月16日
PCから投稿

今年143本目(合計207本目)。
今週は史実ネタが多いですね。こちらもその一つです。日本史に該当しますので、中学社会(歴史)まで習っていれば、新選組を知らないという方は少ないかと思います。また、おそらく、色々な事情(推測)であまりマニアックな話は出てこず、かなり淡々と進みます。

多くの方が書かれている通り、「起きた事件」を、後から回顧するような形で描かれます。普通、この手の実話ものはだいたい、誰かを主人公(今回の場合はもう明確すぎる)にした視点で描くのが普通に思えるので、かなり???という気がします。

また、いわゆる「池田屋事件」とその後の鳥羽伏見の戦いまでが8割強を占め、いわゆる会津若松市(現在)の籠城戦などの記述は少なめです(「八重の桜」ではないので…)。このため、極端に前半と後半の濃淡が強く、最後は函館戦争でおしまい、というのはもう10分くらいでぱぱぱっと描かれています。しかも主人公視点ではなく、「後からの回顧形式」というあまり見ないやり方なので、うーんどうだろう…という気はします。

ただ、この映画、最後まで見ていただくとわかるのですが、日本映画では一般に、あまり記述がないエンディングロールで「動物は傷つけていません」がちゃんと出てきます(英語訳になっていて、日本語でも出る)。日本映画ではほとんど見ませんので、上記のような「回顧形式」や字幕が多用されるところ(特に後半。鳥羽伏見以降はかなり早回しになる)などは、海外展開を想定した作りにしたのではないか、逆にいえばグローバル展開を想定して作ったのではないか…と思える点です。
そうすると、海外から見た日本の一つの「歴史の転換点」であるとはいえ、新選組の一連の行動というのは、海外進出という観点ではかなり難しいのではないか…と思え、それを想定したのであれば、あのような淡々という描写の仕方になったのではないか…と思えます。

採点に関しては下記のようにしました。

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(減点0.3) この映画自体、コロナ事情などもあり、1.5年近く伸びた映画で、しかも日本史に興味があればだれでも行きたくなる映画だと思うのですが、その延びた影響でもう少し公式から情報を出せるのではなかったのか…という点です。
少なくともここや、公式の予告編などからでは、あのような「あとからの回顧形式」は想定できませんし、ちょっと肩透かしを食らった方も多かったのではないか…と思えます。

ただ、「動物は傷つけていません」がわざわざ「英語で」出てくるということも考えると海外展開を想定していると考えるのが妥当で、そうすると、国内/国外で作り替えるわけにもいかなかったので、「日本でも国外でも観られる最大公約数」を考えたらこうなってしまった…と解するのが妥当で、そうであれば、そこまでの減点要素ではないかな、と思います。
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yukispica