「多くの映画などで登場する「新選組」の実像がやっと見えてくる本格的で面白い超大作・時代劇映画!」燃えよ剣 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
多くの映画などで登場する「新選組」の実像がやっと見えてくる本格的で面白い超大作・時代劇映画!
これまで「土方歳三」「沖田総司」「近藤勇」や、よく映画で登場する「池田屋事件」など、そこまで興味がなかったので、私のなかで「新選組」は「点」(単語)の状態でした。
それが、本作では、最初から最後まで、とことん「新選組」を描いているので、そもそも「新選組」は、幕末のわずか6年しか存在しない刺客集団で、最盛期には200名を超えるまでになっていたことを知りました。
さらに、その6年の間にこれだけ多くの出来事が起こっていたのかと、「点」と「点」がつながるだけでなく、「内部抗争」も含め、ようやく「新選組」とは何だったのかを理解できたのです。
本作の大きな特徴に、岡田准一演じる「土方歳三」が“ある人”に話す形で物語が進むという上手い構成があります。
少年時代に「バラガキ」(触るとイバラのようにケガをさせる乱暴者のガキ)と呼ばれていた「土方歳三」がどんな経緯で農家の子供から武士になっていくのか、「沖田総司」「近藤勇」の背景や「新選組」の成り立ちなどが「時系列」で分かっていくのです。
しかも、映像も凄く、「世界遺産」「国宝級建造物」など60カ所という規模のロケ地を含め、徹底的にリアリティーにこだわっています。
ちなみに「池田屋事件」を再現する際は、通常は撮影所にセットが作られるのですが、本作では滋賀県彦根に全長125mにも及ぶ「街並み」をそのまま作り上げてしまっていて、中心となる「旅館・池田屋」は、わざわざ宮大工に完全再現してもらう徹底的なこだわり様となっています。
総勢3000人を超えるエキストラの動員も含め、超大作映画ならではの「画面の優雅さ」があり、岡田准一を筆頭に、鈴木亮平、山田涼介などの演技も光り、どの面をとっても大きなスクリーンで見るべき作品と言い切れる出来栄えになっていました。