「筋を通し、夢に死ぬ…侍土方の生き様!」燃えよ剣 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
筋を通し、夢に死ぬ…侍土方の生き様!
原作は既読です。
延期を経て、ついに公開…よっ、待ってました!
箱館・五稜郭で最後の決戦に臨もうとしている土方歳三が、己のこれまでの道程を回想する形で物語がスタート。原田眞人監督作品にしては珍しく、ペリー来航から始まった幕末史の流れを丁寧に追いながら、激動の時流を多摩のバラガキがどのように生きたかをダイナミズムたっぷりに描いていました。
新選組を最強の剣客集団に育て上げ、最期の瞬間まで己が武士道を貫徹しようと駆け抜けた土方歳三と云う男…
一度決めた筋を決して曲げず、たとえそれが時代に逆行するものであったとしても、生来の喧嘩師としての性質から戦いを求め続け、侍として生きると云う夢のために進撃したその生き様は、筋を通し続けることの難しい現代の視点から見ても、とても輝いているように思えたし、心に刺さりました。
岡田准一は本当にすごい。土方を演じることを長年熱望していたと云うだけあって全身全霊で役に挑んでいる姿に、己の俳優人生を賭けた気概を感じました。
原田監督とのタッグは「関ヶ原」以来二度目なだけに、監督からの信頼厚く、土方関連の殺陣は彼に任せていたそうな…
「武芸者が俳優のふりをしている」と監督から評されているだけに、その殺陣は近年のトレンドであるスピーディーさを取り入れつつ、往年のチャンバラの精神を継承している点が素晴らしいし、尚且つ岡田准一の身体能力の高さとセンスの良さが最高の形で結実していて、まさに彼の集大成だな、と…
彼のアクションは世界基準だと改めて思いました。
本作にて、原田監督による"時代の転換点"を描く連作シリーズは終わりを告げたと云うことですが、「関ヶ原」のレビューにも書いた通り、是非とも司馬遼太郎「城塞」を映画化して欲しいです。戦国時代と云うひとつの時代が終わりを告げた瞬間を監督ならどのように描くのか、非常に興味があります。
[余談]
鈴木亮平と山田涼介について―
まず、鈴木亮平。ドラマでの立派な医師、悪鬼のような絶対的悪のヤクザ、そして本作の近藤勇と、ほぼ連続して様々な役を演じている姿を拝見しましたが、そのどれもが素晴らしい演技であり、三者三様の役柄を咀嚼し、見事体現しているのが本当にすごい。主役であっても脇役であっても抜群の存在感を示す稀有な俳優として、これからの活躍も応援したい。
そして、山田涼介。これまでは正直特筆する点の無い演技をすると云う印象でしたが、本作での沖田総司役の良さはどうでしょう。儚げな美男子であり、若くして病に倒れた沖田そのものな佇まいであり、これはもしや彼の当たり役なのではないかと思いました。俳優として一皮剥けた気がしました。
※以降の鑑賞記録
2022/06/26:Amazon Prime Video
2022/12/30:時代劇専門チャンネル
しゅうへいさん共感ありがとうございます。
山田くんの映画を初めて観たのはグラスホッパーです。
主役ではないのですが印象がとても強く残っています。それから山田涼介の映画を観る様に…
ハガレンのエドは山田くんにピッタリな映画だと思いました。
この沖田総司役もよかったです。
はじめまして!
こちらこそよろしくお願いします。
みかずきさんの読み応えのあるレビュー、大変面白く拝読させていただいております。
私も時代劇が好きです!
岡田准一には時代劇を盛り上げていって欲しいなと思います。
はじめまして。しゅうへいさん。
みかずきです。
私の色々なレビューに共感ありがとうございます。
フォローありがとうございます。
こちらのサイトに先月登録したばかりですが、宜しくお願いします。
さて、私は時代劇ファンですが、本作、
土方歳三の生き様と岡田准一のイメージが重なっていました。
岡田准一は、最近時代劇に出演することが多いですが、
殺陣は巧いし、不器用、武骨で、
自分の生き方を貫く役柄がピッタリはまります。
将来有望な時代劇俳優だと思います。
では、また共感作で交流させて下さい。
-以上-
共感ありがとうございます。
鈴木亮平は言わずもがな、山田涼介の演技には眼を見張る想いでした。
岡田准一に関しては確かに仰る通りですね。ハリウッドからお声掛からないかな…(笑)
鈴木亮平と山田涼介の評価、同感です。
最近の岡田准一はもっぱら役者兼殺陣師ですね。ただ、彼のチャンバラの殺陣は映像的には面白いのですが、剣術の流派が示されている場合は違和感を感じることがありました。「散り椿」などがそうでした。でも、土方歳三の天然理心流には合っていましたね。良い役者だと思います。