「贋物も人助け」嘘八百 京町ロワイヤル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
贋物も人助け
詐欺師紛いの古物商と贋物陶芸家が幻の美術品を巡って騙し騙され…。
前作一本で終わらすのは勿体ない。と言う事で、続編。
ずっと見ず仕舞いだったが、前作見たら面白かったので、引き続き続編も鑑賞。
続編の楽しみの一つは、登場人物たちのその後。
前作では車を走らせてお宝探ししていた小池だが、晴れて古美術店を構えていた。娘・いまりは“副業”で占いをしている。本業より副業の方が繁盛しているけど…。
野田は個展を開いていた。贋物とは手を切り、妻に支えられながら、自分自身の本物を。が、今一つ売れず…。
人生再起させて順風満帆!…とは行かず。そんな二人に追い討ちが…。
小池の店に老舗古美術店の二代目当主と大御所鑑定家がTV番組のロケで突撃鑑定を。野田の作品がコケにされ、前作での一件を暴露され、苦汁を舐めさせられる。
そう、今回の敵はこの老舗古美術店“嵐山堂”。
ある時、小池を訪ねて来たのは…
着物美人の志野。
惚けた母親を騙して、父の形見の茶器が何者かに奪われた。古田織部の幻の茶器“はたかけ”。
小池は鼻の下を伸ばして協力。野田の贋物を渡して一件落着…とはならなかった。
どうやら本物は嵐山堂にあるらしい。志野に渡した贋物がネットオークションに。
志野の目的は…?
着物美人の志野も最初の依頼も嘘。
本当の目的は…
嵐山堂は贋物ビジネスで悪どく稼いでいる。それを暴露。
志野の父親は嵐山堂の番頭で、先代からの信頼も厚かったが、先代亡き後二代目からお払い箱。先代の大事な形見まで手離す。失意の志野の父親は自殺…。
嵐山堂の贋物ビジネスの片棒を担いでいるのは、TVなどで人気のイケメンの陶芸王子。野田もその昔、嵐山堂に利用されていた。
今回の敵に一泡吹かせる動機は揃った。
計画はこう。
TVの生番組をお膳立て、二代目や鑑定家や関わる政治家など“悪者”を集わせ、番組の中で悪事を暴露。その最中、野田の贋物と本物の織部の茶器をすり替える。
まるで“古美術版オーシャンズ11”とでも言うべき、前作以上の大騙し作戦!
新キャストは…
着物美人も本性も色っぽい広末涼子。
憎々しい二代目の加藤雅也。
山田裕貴は陶芸王子の苦悩を。
2作目だがすでにお馴染み感ある家族や仲間も続投。
皆で役割担当を決め、一丸となって悪者を懲らしめる様は、もはや『水戸黄門』的なお楽しみ。坂田よっちゃんが先代の幽霊(?)に化けて驚かすというのはちょっとアレだけど…。
今回の騙しは前作よりちょっとドタバタ感あり。
笑いベースだが、味わい深いドラマもあり。
かつてより歪んだものしか造れない野田。今のあんたにしか出来ない歪みがある、と小池。
作戦スタート。嵐山堂の悪事が暴露されるも、二代目は知らぬ存ぜぬ。
小池は古美術や陶芸、それらに代々込められた思いを説く。
中井貴一&佐々木蔵之介の名コンビはますます好調。
騙し終えての大団円も朗らか。
もっともっと彼らの大騙しが見たくなる。
オチやエンディング中の“その後”も恒例。
ますます乙な味になっていく。
1作目2作目を続けて鑑賞。
面白かった。来年公開の3作目が楽しみになった。今度はスルーせず。
末長く邦画の新たな名物シリーズになりますように。