劇場公開日 2019年11月1日

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「閉鎖病棟」閉鎖病棟 それぞれの朝 あさがおさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0閉鎖病棟

2022年7月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

実際に精神病院に複数回様々な少女、理由で入院をした事があります。

病院によって格差が相当にあります。
人権など無視をしたような扱いをする病院もありました。その経験は生涯忘れる事は無いと思います。

いづれにせよ 患者の管理システム本質的なものは、変わりはなく。

危険物等持ち込みは病棟には不可。厳しい管理体制。
また患者に自由などほとんどありません。
閉鎖病棟に出てくる設定は開放病棟と混合のような、また知的障害者施設にも似通ったところもあったように思えます。

いずれにせよ、病気の症状だけでなく、家族が家で本人を見れないために入院をさせている場合が多く。
精神医療が立ち遅れている日本。精神病院に対する偏見、差別は現存し。

明日へ治癒を望み治療への希望を持つ患者を、日常生活へと導く事ができる精神病院、ドクター、医療スタッフが揃っている病院は僅かです。

また小林聡美さんが演じたような看護師はであったことはありません。

看護師達は日々のルーティン作業やPC入力等々に記録等々追われて、患者に寄り添うような身近な存在にはやくわりがなされておりません。ひどい病院では医師もナースも助手も患者を貶める行為が平気で行われています。今の日本では。隠れた所で。

行き場のない精神に疾患のあるまた訳のある方々が、家族の都合で何年にも渡り入院を余儀なくされています。回復への治療もなさらずに。

現状から踏まえると、この閉鎖病棟の映画で共感できるのは、患者同士の人間的な交流です。
そこに焦点をもっていけば、患者の気持ち、各々のちがいのある症状、個性が浮き彫りになります。

閉鎖病棟、精神病院とはという視点で見ると粗探しになってしまい、真実の現状や管理体制、医療者の姿勢含めて異なる描写が確かにたくさんあります。

しかしながら、外泊をしてゆく木野花さん演じる患者さんの海を眺める場面。

あれはある相模湾の海岸ですが。
心理描写が素晴らしいと思います。

社会から断絶された世界。空間で日々生きる精神の病を持った人たち、重い十字架、過去を背負った、理不尽なものに遭遇して家庭で学校で、社会で疎まれて、虐待されて、痛めつけられても生きようとしている子供達、大人も精神病院にはいます。

私はそういう人たちと何ヶ月かを持病の為に、病名は異なりますが何度も共に過ごしました。

この映画の意味を考えたときに、人間とは?という 広い視点で。

そして長い年月、社会から、家族から隔離されてきた精神病患者の存在、日常の一端を一般の人が関心を持つ、問題意識を持つ。

人間とは。日本社会が持っている精神病患者や病院への偏見に目を向ける機会、映画という意味があるかと思います。

また精神医療、精神病院がまともな治療、医療機関としてぜさいされてゆくことを望みます。

この映画にご出演されている俳優さん達の演技はある病棟で見てきた患者さん達。自然にあらわしておられます。

ヒューマニズムの映画として捉えれば良いのではないでしょうか。

経験があるだけ、身に染みましたし、罪の重み、背負った苦しみ、他人の痛み、自分の苦しみを改めて感じました。

あさがお