「罪を背負い死と向き合う秀丸が生きる希望を見い出す物語。」閉鎖病棟 それぞれの朝 林檎さんの映画レビュー(感想・評価)
罪を背負い死と向き合う秀丸が生きる希望を見い出す物語。
とりあえず、、、書きかけです。
タイトルに生きる希望を見出す、と書いてみたはいいけど、ニュアンスがしっくりきていない。希望なんて言葉じゃないんだよな。ちょっと違う。ただ、生きることを選択するというか、前向きは前向きなんだけど、凄く明るい未来、って訳でもない。でも自分の足で立とう、とする姿が何か力を与えてくれる。
現に女子高生だった由紀(小松菜奈)は秀丸(笑福亭鶴瓶)が犯した殺人によって死ぬことから助けられている。由紀にとっては秀丸に二度、死から助けられているようなものだ。
妻と実母(と間男)を殺した罪で死刑判決を受けた秀丸が、死刑執行されるも失敗し生きながらえてしまう。その死にきれなかった、死んでいても同然の男が他人のために殺人を犯す。
シーンに無駄は無いのだが、陶芸小屋で出来上がったお椀?の上端を切っているシーン、自分の足で立てないの?と聞くチュウさん(綾野剛)が聞くシーン、それらが、それぞれ凶器、と、ラストの自分の足で立ち生きることへの意思表示に使われる(布石)、その回収に使われるのがうっすら見えてしまい、まぁそうだよね、となる展開に。
出てくるメインの人達がそれぞれ抱えているものがあり、身につまされるような展開でとても面白いかったです。
小説を読んでいないので憶測になってしまうのだが、おそらく小説ではそれぞれの人達の背景や抱えているものがもっと丁寧に書かれているんじゃないかと思う。
だからこそ、由紀の生きて欲しいと願う言葉に重みが出る(そもそも由紀は義父の虐待を受け自殺しようとしていた。だからこその重み)し、それを受ける秀丸が自分の足で立とうとするシーンにもより強い想いが感じられるのだろう。映画では、やはりというか少しボリューム不足も否めない感もある。
難しさを抱えたそれぞれの役を演じ見せるのは、とてつもなく難しいと思う。脚本や俳優の力が本当に問われるのだけど、きっちり映像と芝居で見せようとしてくれているのには本当に好感が持てて好きだ。
小説もぜひ読んでみたいと思わせてくれた。