「ユア・ストーリーなんて観てる場合じゃなかった!」マローボーン家の掟 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ユア・ストーリーなんて観てる場合じゃなかった!
13人もの人を殺した殺人鬼の父親から逃げるようにしてイギリスからアメリカへと移住してきた家族。姓も母親の旧姓に戻して、生家でもある大きな屋敷に到着した。過去を忘れて新しい生活を始めると決意した病弱の母、ジャック(ジョージ・マッケイ)、ビリー、ジェーン(ミア・ゴス)と幼いサム。しかし、まもなく母親が病死。母の死を隠し、4人は秘密を守ると誓いを立てるのだ。
海も近い、のどかな田園風景。兄妹は近くに住むアリー(アニヤ・テイラー・ジョイ)とも仲良くなり、やがて長男ジャックと恋に落ちる二人。1週間分の買い出しをして、図書館に勤めるアリーに会うのも楽しみの一つだった。しかし、恋敵のトム・ポーターの存在がジャックを鬱陶しくさせるのだった。移住届けを成立させるために200ドルと母親のサインが欲しいと告げられ、戸惑うジャック。なんせ、母親は死んでしまい、それは秘密にしなきゃならないのだ・・・
序盤にちょいと遠目に見えた猟銃を持った男。しばらくは姿を見せなくなってサムもホッとしていたが、大きな鏡に布を被せたり、天井のシミを隠したりと大忙しになったジャック。見えない何かを恐れているのだが、ジャックが屋根裏部屋に父親を隠していたことが原因だったのだ。イギリスで逮捕されたんじゃ?などと、ミスリーディングは続く・・・
長男の重責、家族の誓い、そして大きな要素となるのが“恐怖”に打ち勝つことだった。ジェーンがアライグマに餌をやろうとして手を掴まれたりとか、恐怖シーンはいくつかあった。さらに書類に偽のサインをしたことが原因で家を追い出されそうになる恐怖。忍び寄る“何か”を倒さねばならない。屋根裏部屋への通路をレンガで塞いだのに、そこへ呪いの金までも封じ込めたことも恐怖の表れだったのだろう。
何を書いてもネタバレになりそうな、そんなプロットではあるけれど、そうしたわざとらしさを超越する愛を感じた。ラストの笑顔にはほっこりさせられるが、その前に涙腺を刺激させられること間違いなしだ。