「真実を伝えることの難しさ、歴史の残酷さ」赤い闇 スターリンの冷たい大地で キウイジャムさんの映画レビュー(感想・評価)
真実を伝えることの難しさ、歴史の残酷さ
実在のジャーナリスト”ガレス・ジョーンズ”の活躍を描いた作品
繁栄するソ連の謎を探るべく潜入し悲惨な飢饉の現状に遭遇し真実を報道するも政府の関係上、取り消され周りからバッシングされるもめげずに強引に真実を新聞に載せる。
そして次は満州に潜入するもソ連の息のかかった山賊に命を奪われてしまう
劇中ガレスは「記者は崇高な仕事だ。誰の肩も持つことをなく真実のみを伝える」と言っていたけれどまさにその言葉の通りの生涯で、第二次世界大戦の写真を撮りインドシナ戦争で散ってしまったロバートキャパにも通じるモノがあるなと感じた。
地方で大勢の餓死者を出すも中央が栄えたから成功だと吹聴するスターリンの罪深さ
当時はイギリスやアメリカも世界恐慌から立ち直れず、やむ負えずソ連と国交を樹立してしまった。
映画の冒頭に出てきたけれど同じようにイギリスは余力がなかったからチェコスロバキアを併合したナチスドイツと宥和政策を結んでしまった。
歴史的に言うとこれらは間違ったことだと思うけれど当時はそれが平和的解決になる。残酷だけれどトロッコ問題のように少ない犠牲で多くを救うのが正しいと当時の上層部は考えてしまったんだろうか。
ただこの映画を見て感じたのがコレが過去の怖い話では終わらない。
今でもイランや北朝鮮では報道の自由がなく戦争中のロシアでは政府を批判すると投獄されたり命を奪われてしまう。今のロシアの上層部のやり口は映画で描かれるような中央が良ければそれでいい体質に似通っているものがあるなと思う。
その一方で現在ウクライナを世界中が支援し、アルメニアやカザフスタンのようなロシアとの同盟国も関係を見限ってきている。
過去と比べると世界は変わりつつあるなと感じる