「3.9映像が美しい」赤い闇 スターリンの冷たい大地で asa89さんの映画レビュー(感想・評価)
3.9映像が美しい
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映画的な映像が美しい作品、カメラワークや切り取り方、美術背景からカラコレ、演出までもが映画らしく見ていて飽きない作品で、個人的にハマった。
序盤の荘厳さ、狂ってる感じからの貧困の場面の切り替わりは衝撃的で、目が話せなかった。また主人公の英国紳士っぷりも見ていて演出がハマっていて好きだった。
作品を見ているなかで、実は現実世界もこうした現実が広がっているのではないかと想像すると、少し怖さも感じた。「あの国は栄えている、将来が人口ボーナスで明るくなる、それに比べて日本はオワコン」というニュースばかりを耳にするが、実はそれをリアルに感じ取っている人は少ない。現場がどうなっているのか、それを目にすることは少ない。個人的に少ない海外訪問経験を踏まえると、かなり日本は豊かで教育も届いていると思う。
平等主義は人を搾取するというセリフも印象に残った。平等は格差と搾取を生み出していく。5カ年計画の実験の失敗と損失。ちょうどロシアとウクライナの問題、銀行の破綻が話題になっている2023年。いろいろなニュースを耳にしても、ほとんどの人は毎日の生活でいっぱいいっぱいでツイートするだけで何かを変えられたつもりになって過ごしていき、大きな変動に飲み込まれていくしかないのかも、そんな無力感も同時に想像した。
こういった作品を見ていると、自分がこの時代にいたらどうやったら抜け出せるのかばかり考えてしまう。作品を見ているとこの国から抜け出せたのは英国技術者と記者、つまり当時の上級階級とわかる。一歩一歩地道なスキルを磨くことがヒントになりそうな気がした。
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