ペトルーニャに祝福を

劇場公開日:

ペトルーニャに祝福を

解説

北マケドニアの小さな町を舞台に、女人禁制の伝統儀式に参加してしまった女性が巻き込まれる騒動を、オフビートな笑いにのせて描いたドラマ。北マケドニアの小さな町、シュティプに暮らす32歳のペトルーニャは、美人でもなく、太めの体型で恋人もおらず、大学を出たのに仕事はウェイトレスのアルバイトしかない。ある日、主義を曲げてのぞんだ面接でも、セクハラを受けたうえに不採用になってしまう。その帰り道、ペトルーニャは地元の伝統儀式に遭遇する。それは、司祭が川に投げ入れた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者には幸せが訪れるというものだった。ペトルーニャは思わず川に飛び込み十字架を手にするが、女人禁制の儀式に参加したことで男たちから猛反発を受けてしまい……。2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞ほかを受賞。監督は旧ユーゴスラビア(現・北マケドニア)出身で、これが長編5作目となる女性監督テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ。

2019年製作/100分/G/北マケドニア・ベルギー・スロベニア・クロアチア・フランス合作
原題:Gospod postoi, imeto i’ e Petrunija
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2021年5月22日

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(C)Sisters and Brother Mitevski Production, Entre Chien et Loup, Vertigo.Spiritus Movens Production, DueuxiemeLigne Films, EZ Films-2019 All rights reserved

映画レビュー

4.0最初の一歩を踏み出したヒロインの祝福されるべき衝動

2021年5月29日
PCから投稿

あらゆるドラマは意志と衝動によって生まれる。この映画のヒロインも日々の暮らしで様々な抑圧を受ける中、内側に秘めたものを徐々に膨張させ、マケドニアの小さな町に暮らすあらゆる人々が目撃しているであろう伝統行事の最も大切な瞬間に、つい炸裂させてしまう。この行為の意味を彼女が理解するのはだいぶ経ってからで、私はこの瞬間、ペトルーニャのことがどこか50年代のアメリカで白人にバスの席を譲るのを拒否した歴史的女性、ローザ・パークスのようにも見えた。きっとパークスがそんな行為に出たのも理屈を超えた意志と衝動がきっかけだったのではないか。それによって歴史はうねり、染み付いた悪しき常識はものの見事に覆っていく。本作はその最初の第一歩を、時にコミカルに、そしていつしか笑いを通り越しシリアスへと振り切れるくらいピンポイントに描きこんでいく。彼女のどんどん度胸が座っていく態度、表情、まなざしに興味が尽きない一作だ。

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牛津厚信

4.5良作すぎる

2024年3月9日
Androidアプリから投稿

ペトルーニャ最初は理屈ばっかりのめんどくさい女、友だちにも気分次第で悪態ついたりしてまあ最悪。こんな嫌な空気が続くのかしらと思っていたら事件とも言えない事件が起こり、母親や警察署長の常識一点張りで全然理論的じゃない主張にすっかりペトルーニャ頑張れーってなりますよね。ムダにジェンダー意識の強いリポーターやとにかく事なかれ主義の同僚カメラマン、ネオナチか?とも思うほどのおそらく教養も学もない生まれ育った街から出たこともないいわゆるヤカラ、別にこの事件自体はなんとも思ってないけどとにかく穏便に済ませたい神父、キャラクターの重量、配置が完ぺきです。いよいよペトルーニャに味方したくなる。そして何よりダルコが「連絡するよ」って言ってくれたの心の底から嬉しかった〜!ねーペトルーニャそりゃニヤつくよ。そして一件落着。だってホントは十字架なんてどうでもいいんだから信仰心ないし。あー面白かった。

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三毛猫泣太郎

4.5ペトルーニャは最後に悟った訳だが、そのセリフ『この十字架は貴男とあ...

2023年7月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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マサシ

4.0【”伝統への固執は進歩を阻む。”保守的思想が蔓延る北マケドニアで実際に起きた男性のみの伝統儀式に女性が参加し”幸せの十字架”を手にした事から起こった出来事をアイロニック&ユーモアを塗して描いた作品。】

2023年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■北マケドニアの小さな町で暮らす32歳のペトルーニャは、仕事も恋人もなく、鬱々と日々を過ごしていた。
 就職面接でも冷たくあしらわれ、最悪な気分の帰り道、ペトルーニャはキリストの洗礼を祝う神現祭に遭遇し、女人禁制の祭事に参加してしまうが、見事に”幸せの十字架”を手に入れるが・・。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・32歳のペトルーニャは、外見がポッチャリした可愛らしく、歴史にも通じた聡明な女性だが、縫製工場での秘書の面接で、面接官の男から相手にもされない。
ー 最近見た「金の国 水の国」で描かれた愚かしきルッキズムを思い出す。-

・そして、彼女はむしゃくしゃしていたのか、帰り道に女人禁制の祭事に参加し、川に飛び込み見事に”幸せの十字架”を手に入れる・・、が。
ー ここからの、警察や司祭や十字架を手に入れられなかった男達の愚かしき姿が、シニカルに描かれる。
  “アバズレなどと,言われながら・・。”そんな中、ペトルーニャは臆する事無く、目をしっかりと見開き対応する。芯の強い女性である事が分かる。ー

■女性リポーターは上司と思われる男と電話で”これは大事な事だから”と必死に取材を続ける。

・そんな彼女に、男性警官のダルコだけが、優しい。そして、彼は言う。”僕も君みたいに勇気があれば・・。”その言葉を聞き、涙を流すペトルーニャ。

<ラストも良い。漸く解放されたペトルーニャに司祭が掛けた言葉”祝福を・・”。それを聞いて、ペトルーニャは司祭に十字架を返す。
 彼女は、”幸せの十字架”が欲しかったのではない。
 彼女は、女性としての尊厳を認めて欲しかっただけなのである。
 保守的思想が蔓延る国で、自らの意思を貫き通したペトルーニャの姿は尊い、と私は思った。>

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NOBU
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