「風が吹けば船は流される、世の中も少しの風で変わってしまう」ある船頭の話 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
風が吹けば船は流される、世の中も少しの風で変わってしまう
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映画「ある船頭の話」(オダギリジョー監督)から。
一言で言えば「村と町をつなぐ渡し舟の船頭・トイチ」が
ゆっくり流れる時間と静かな自然の中で生きていく様子を
パノラマ的なワイド画面で丁寧に写し撮った作品であるが、
そこに面倒臭い人間が絡んでくると、事件が起きる。
まぁ、それがなくては、物語にならないのであるが・・。
監督は、この作品を通して何を私たちに伝えたかったのか、
キーワードになりそうな台詞、フレーズをメモしてみた。
「いやね、孤独って言う字、知ってる?
孤独の『孤』は『狐』って字に似てんだよ」
「役に立たないものはみんななくなっていくんだよ。
わかるか、船頭!!」
「できあがる前にぶっ壊さねえか、あの橋」
「風向きで水の流れが強くも弱くも、川の性格まで変えちゃうだろう」
「何か新しいものを求めたら古いものは消えていく、
それはしょうがないことなんだ」
「風が吹けば船は流される、世の中も少しの風で変わってしまう」
渡し舟の船頭「トイチ」と、川上から流れ着いた「オフウ」(風?)
この関係が微妙なバランスで展開される。
マンネリ化したことを破っていくためには「風穴」が必要だが、
静かな「風」が私は好きだ。
季節、時間によって発生する真っ白な「川霧・川靄」の映像が、
普段は見ることができない川の水面を流れる風を表現して幻想的だ。
「風」をとても意識した作品となった。
エンドロールの「映像」を観続けて欲しい、舟が画面から消えるまで。
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