「☆☆☆★★★ 〝 朽ちてなお(美しい花を)咲かす桜 〟 原作読了済...」ロマンスドール 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 〝 朽ちてなお(美しい花を)咲かす桜 〟 原作読了済...
☆☆☆★★★
〝 朽ちてなお(美しい花を)咲かす桜 〟
原作読了済み。
生来の職人気質が目覚めてしまったのか?人との付き合い方が本当は苦手な哲ちゃんだったのだが…。
監督自ら執筆した原作だと本編とは違って、途中からはドロドロなW不倫劇に発展する。だけどそこは、過去の監督作品歴を見ても分かる様に。本編ではタナダユキ監督らしさに彩られた、ライトコメディーの要素がかなり大きくなっています。
忙しさにかまけて、妻の園子を蔑ろにした事から発するセックスレスなこの夫婦。
原作だと、妻の身体に飽きてしまったのか?全く性格の違う薫子の肉体に溺れて行く過程が描かれていた。
そして、その反動からか?園子自身もセックスレスの寂しさを…。その結果として起こるドロドロな修羅場!
その辺りの、映画化に於いて描かれる事のなかった原作の改定は。此方の勝手な思い込みではありますが。やはり観に来た観客に対して、ドロドロ劇で嫌な思いをさせまいとする配慮だったのだろう?…との推測は感じました。
実際問題として、人気のある(…と思える)高橋&蒼井コンビのイメージダウンを抑え。且つ、お金を払ってまで、(映画では描かなかった)ドロドロ劇を観客は無理矢理見せられずに済む!
主演の蒼井優ですが。近年だと『宮本から君へ』や『彼女がその名を知らない鳥たち』の様な、テンションを高くした熱演演技が評価されていますが。ハッキリと言わせて貰うと、あの手の演技の彼女は、実は個人的には大の苦手で…。観ていると「違うだろ〜!本当に良い蒼井優ってのは、こんなんじゃないだろう〜!」…との思いが強かっただけに。以前に『百万円と苦虫女』で、蒼井優の【本質】を知るタナダユキ監督の演出に、生意気にも「分かってるよなあ〜!」…と。
正直に言うと、それほど〝そそる〟女優さんではないのに。後半で哲ちゃんに「したい…」と語る時の表情等は。マジでクララどころか、ジャイアンが立つレベルでドキドキしましたよ〜(//∇//)
実質的な主演と言えるのが、哲ちゃん役の高橋一生。
どうにもこうにも人に流され易い性格なのだが、自分の居場所を見つけた事で。少しずつ人間的に成長して行き(その年齢でかよ?ではあるが💧)仕事に対する責任感や、園子への愛情の深さを表現する演技はなかなか良かった。
キンキンこと相川役にはきたろう。
原作を読みながら、徳井優辺りをイメージしていたのですが、これに関してはきたろうで大正解。
これがもしも徳井優だったなら、頑固な職人とゆう意味ではあってはいても。きたろう自身が持っている飄々とした持ち味が、タナダユキ監督のライトコメディーの要素にピッタリと嵌まっていました。
特に終盤での酒を飲みながら、辛い過去を話す長回しは素晴らしかった。
タナダユキ監督作品としては、過去の作品と比較して見ても。ライトコメディーでありながらしっかりと、そして《しっとりと》落ち着いた演出で、今後も目が離せない監督としてしっかりと認識させて貰いました。
そして…。
そして、ピエール(・ω・`)
起こしてしまった事実はもう変えられない。
それ故に無くしてしまった損失は大きいのだと知る…。
いつの日にか、スンナリと戻って来れる状況が生まれるのかどうか…。
題材が題材だけに、映画がどの様な評価を受けるのか?は分からないのですが。観ている間「コレって、寧ろ海外の方がスンナリと受け入れられる作品なのでは?」と思って観ていました。
特に艶笑譚が好きそうなフランスで公開されたなら…と。何ならカンヌ辺りに持って行ってみてはどうでしょうか?関係者のみなさま。
日本の女流監督が描く艶笑譚として、現地で評判を浴びる思うのですが…。
最後にどうでもいい事を。
原作だと久保田商会は金町だったのだが、映画では何故だか立石。
編集で「アレ?」っと感じたのが。まだ薫子と知り合う前に、薫子からのメールを携帯で受信するシーン。
あそこはどう見ても編集のミスじゃないですかね〜(・・?)
ひょっとして回想シーンだった?どう見てもミスだと思うけどなあ〜!
「何であんなリアルなモノ作っちゃつたの〜?」…って。
ちゃっかりと試したんか〜い(´Д` )
2020年1月27日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン3