「クララが立った!」ロマンスドール kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
クララが立った!
ラブドールと言っても犬種ではない。かつては空気を入れて膨らませるダッチワイフの進化系であり、よりリアルを求める顧客に対応するべく、ぬいぐるみ式、シリコン、ソフビ、ラテックス製など様々なリアル素材のものがあるようだ。かつては“南極1号”とか色んな伝説も存在し、実際には越冬隊は使ってない事実を最近知りました。また、是枝監督の『空気人形』ではオダギリジョーが人形師として登場したことも思い出します。
高橋一生と蒼井優の微妙な夫婦生活。最初は仲睦まじく、どこにでもいる夫婦の雰囲気だったが、彼はラブドール職人として工場で働いていることを隠し通していたのだ。10年前の彼らの出会いはその工場だったが、当時は医療用バストのモデルと嘘をついて彼女を雇った経緯があったのです。
中盤まではかなり笑えるシーンもあり、やがて先輩であるキンキン、きたろうが亡くなってしまった辺りから人生の深みをしみじみ感じさせてくる。先輩の穴埋め(ホールではない)に雇った両角(浜野謙太)がスパイだったり、そのためにより良質なものを開発するために忙しくなったりと、普通の企業物語にも見えたりするのです。そして帰宅が遅くなり、連絡も全くしなくなった哲雄(高橋)に対して、ある秘密を打ち明けようとする園子(蒼井)だったが、二人のすれ違い、関係に亀裂が入ったりするのです。
冒頭でも一言、結末に触れる台詞があるのですが、その経緯が明らかになるにつれて離婚の話にも進んでしまう。何とかならないのか?二人。と、スクリーンから目が離せない状況となり、一人胃がんと闘っていた園子の優しさに思わず涙がこぼれる。やがて、QOLだの痛みは除去できるとか、終末医療の話題となり・・・園子は哲雄に自分の体をモデルとして残してほしいと訴えるのだ。この究極の愛の選択が痛々しくてたまらない。だけど、かなりエロチックです。ホールもですか?!想像が妄想が淫乱な・・・と呂律が回らなくなる感じ。序盤の「クララが立った」も衝撃的でしたが、夫婦となったのだから、もっと猥雑です!
そんな彼らの想いは桜の咲く公園から再び歩み始めます。朽ちた木であっても桜は咲く!まるで自分のことのように花を愛で、やがてアブラゼミが盛んに鳴く夏となる。セミの命は短い。思いっきり鳴いて、思いっきり交尾して、「フッ」と声が途切れる様に「ああ、逝ったな」と、命懸けでセックスしてた彼らの吐息を感じるのです。
こんな儚い命であっても、園子のカラダだけは永遠に残そうと、何かに取り付かれたかのように新製品作りに余念のない哲雄。「この価値がわからない奴は顧客ではない!」と社長に言わしめるくらいの作品が仕上がったという余談も面白い。
その社長を演ずるのはピエール瀧。リアルすぎる人形を売り出したために警察に逮捕されるが、「なーに、三日もあれば戻ってくるさ」と言い残すのですが、本物のピエールはまだ戻ってこない・・・いや、蒼井優のセミヌード、濡れ場ももう戻ってこないのかもしれない。
kossyさんへ
しょうもない映画が大好きなbloodです!
そもそも私達は「アマチュア」なんで、個人の嗜好で好き勝手な感想が言える訳でw 「プロ」は色々あるんだろうな、って勝手に思ってます。「生活のための評論」をする評論家は要らないです、映画に限らず。「評論で生計を立てる」のがプロのはずなんですけどね!
kossyさんへ
毎度です!
専門用語と言うか...
二つの型を合わせた部分に残る突起の様なラインがパーティング・ライン。そこから液が漏れ出して固まったのがバリです。タイ焼きにも、プラモデルにもあります!
邦画ですが、しょうもない映画を名作だの傑作だのと評論家が煽るのが気になってます。結局、劇場から客足が遠のくだけなのに...