イン・ザ・ハイツのレビュー・感想・評価
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歌と踊りは良いが……
ちと長い。 ミュージカルなので、一つの話が始まったと思うと歌い始めてしまう笑 歌詞に集中し、字幕を追っかけてるとダンスと音楽が見られなくなってしまう💦 これはしょうがない事だけど、自分は楽しみきれず……残念。
離れたら故郷の芝が青く見えた話
分かりやすいラテン形ミュージカル。 IMAXで観たから☆3 もう少しストーリーに展開があっても良かった。 2時間半と言う長尺の割にはエピソードが少なくて中弛み した。 移民と言う出稼ぎ労働者が不法滞在→子どもが増えて第五世代くらいまでいる→国籍は与えられない 移民の問題も難しいよなぁ。住み着いたから国籍寄越せって言うのも違うんだろうし、強制送還するために税金を使うのも違うんだろうし、他所の国から来た人に仕事を取られるって危機感もあるのだろうし。 なら、貧しい国で生まれた人は一生貧しい暮らしをしていろって話でもないし。 今まで生きてきた中で国籍で苦労したことない自分にはピンとこない点も多かった。 故郷を離れ、言葉も通じない国での生活を選択したのは自分なのに、帰郷も叶わず思い出ばかりは故郷にあるなんて。まるで、死んだ途端に良い人でしたって言われる故人みたい。 いっぺん、日本から離れてみたら祖国を思う気持ちが強まるのだろうか? 国民を顧みない政治家の采配と無理矢理開催したグダグダのオリンピックが物語るように、こんな小さな島国でさえ問題が山積していて、日々辟易している。そんな中でも毎日なんとか暮らしてる。土着には土着の苦労もある。 自分にとっての祖国とは場所ではなくて、誰と生きたいかなんだと思う。 隣の芝生はいつでも青い。 自分の芝生は足元の今いる場所だと自覚して、腹を括って生きる覚悟が必要なんだと改めて意識することのできる映画でした。 ラテン形音楽が好きな人にオススメ 曲調に変化がなく、飽きる。 ミュージカル映画なので、突然歌い出すし、場面展開も舞台のようなカメラワーク。舞台苦手な人は楽しめない。 逆に大きなスクリーンで観ないと価値が下がる映画。 気になる人は劇場へ!
けっこうよかった
見た当日は気温が36℃にもなっていたため、臨場感があってよかった。冬に見たら全然感じが違う。主人公がクセのない善人で、ヒロインも特にクセがない。そのせいか印象が薄い。しかし暑いし、音楽もダンスも素晴らしいのでいいのではないだろうか。
ミュージカル最高
ストーリーも歌も踊りも凄く良い!出演者も全て魅力的な素敵なミュージカル。幸せな気分になっちゃう。映画館の人には悪いけど、前にも両横にも全く人がいないのって最高!スクリーン独り占め!。ミュージカルは観れば観るほど良くなる事多いから、あと2回は観に行きたいな。
暗いテーマと明るいミュージカル。
久しぶりにミュージカル映画を観たいなぁと予告につられての鑑賞でしたが、 しっかりとミュージカル観たい欲を満たしてくれる良い作品でした。 ミュージカルには、歌と踊りを魅せるために物語が停滞するタイプと 歌と踊りの中で物語を進めるタイプの2種類があるものと勝手に思っているのですが、 本作品は後者でテンポ良くストーリーが進むため退屈しません。 ミュージカルシーンも規模の大きなものから一人にスポットを当てたものまであり、 それらが休む暇もなく畳みかけてくるため、ここもまた観ていて飽きない作りとなっております。 あとは物語の構成も中々Good。最後のシーンはふぁーー!となりました。 逆に気になった点というか、個人的にちょっと苦手だった部分はストーリーのテーマ。 あまり良くない状況の中でも明るく元気に頑張る人たちがテーマとなっているため、 全体的に闇を感じるというか、かなり暗めなテーマとなっております。 また、ミュージカルの歌詞自体で会話する様なシーンも多いのでそこは好き嫌いあるかも。 暗い状況をラテン風で明るい音楽と踊りで乗り切っていく人たちのミュージカル。 ミュージカル映画を観たい方、おすすめです。
ラテン・ミュージカルの台頭
「メリポピリターンズ」や「ハミルトン」で有名なリン=マニュエル・ミランダが大学在学時に書き上げ、彼自身も製作に携わった本作。監督はミランダから推薦を受けたジョン・M・チュウと、アメリカで差別を受ける立場であるラテン系とアジア系によるコラボ作品だ。
舞台はニューヨークの最北部、ハーレム地区の更に北に位置するワシントンハイツ地区である。
ニューヨークというのはいつも陰と陽にはっきりと分かれている。
1960年代、中南米のラテン系人種がワシントンハイツに移り住むようになるまでは、ワシントンハイツではなく少し南のハーレム地区に大量に移り住んだ黒人達が、アメリカにおいて本作以上に酷い扱いを受けていた。そんな彼らのリアルを描いた「ドゥザライトシング」も本作の参考にしたと、チュウ監督も言っている。現に似通っている描写も数多くあった。
しかし、本作はハーレム地区に住む黒人達の「ブラック・スピリッツ」とは明らかに違う、「ラテン・スピリッツ」を描き出す事に成功している。
一言で言えば、彼等はどんな状況でも夢を持ち、楽しみながら正しい選択をしようとしているのだ。
ワスプ・白人ミュージカルでは、バックボーンが薄い分、物語から社会性が排除され「物語の一部としての苦難と挑戦」が音楽や演劇の中で強く主張され、アフリカンミュージカルでは、「世の中へのヘイト」がスパイクリーによって強く主張されてきた。しかしこれまでハリウッドでは描かれてこなかった、「ラテン系人種のみによるミュージカル」である本作は、彼等の出自や身分によるアイデンティティの不安定さと、個人の人生における失敗や困難が出会うと、差別を受ける彼等にどれ程の負担がかかるかを描きながらも、そんな苦しい状況における彼らが楽しみながら正しい選択をしようとしている姿を描くことに成功している。
差別による苦痛と自身の出自的なアイデンティティの揺らぎを結び付けて考えてしまっていたニーナやウスナビのいとこのその後はその典型である。
国籍的アイデンティティが揺らぐからこそ、彼等は生まれた国の文化を主張し、自身の立ち位置を確認し合い、また他人のそれを認める事ができる。後半、ドミニカのバチャータ、プエルトリコのサルサ、キューバのマンボやルンバでそれぞれ民主的に音楽を表現しているシーンは圧巻だ。ラテン系がそれぞれ自分を表現し合うというのは、この先数年後主要人種がラテン系になると予測が出ているアメリカにとっての、正に次世代のミュージカルである。
このような形態は、やはり同じように差別を受けてきた黒人の文化の賜物であるジャズと共通している部分がある。ジャズも各パートが独立して自身を表現することがあるからだ。それは黒人達が虐げられた経験があるからこそ、民主制を重んじるようになった事も少なからず関係しているだろう。
この共通性に、私はミランダの民主的・ダイバーシティ的ユートピアとしてのラテンミュージカルを描く才能を見たし、見事に惚れこんでしまった。
プエルトリコ出身のミランダだからこそ、それぞれの国に表現させる必要性を理解し、またその演出を好んだのだろう。
また、その点で言うと、最後にバネッサが心惹かれたデザインも、色それぞれが個々を主張していることで成り立っている芸術という意味では、ユートピア的メタファーでもあるだろう。
ニーナの父親についても、200年前のフロンティアスピリッツを持った移民を彷彿とさせた。当時の彼等もまた、「子供には成功してほしい」と思い、先住民を駆逐しながらアメリカを開拓し、事業者になっていったからである。しかし、中南米の彼等が同じ志を持ってアメリカに来たところで、勝てる訳がない。敵は先住民ではなく、白人だからである。
だが、ウスナビがそうであったように、彼等ラティーヌは諦めない(そうであると私も願いたい)。状況を楽しみながら、前を向こうとしている。本作の音楽から、それがひしひしと伝わってくる。
ウスナビや彼等不法移民にとってワシントンハイツは、成功する可能性がない、「廃れた未来」の象徴である。
何故彼らにとってワシントンハイツが廃れた未来の象徴であるか。それは現在リアルワールドでも起きている、「高所得者層の流入」である。高所得者層が流入してくると、その地区に黒人や有色人種が住んでいようものなら、地価が下がってしまう為貸主が追い出そうとしてくるし、また流入してきた人間に事業を乗っ取られるので、最終的に彼等は追い出されてしまうのだ。高所得者層が流入する事で、家賃が上がり、彼等が払えなくなる事もある。その他にも理由はあるが、高所得者層の流入が彼等に良い影響を与える事はほぼ無い。その為彼等はあの地で事業を成し成功する事が厳しくなってきているのだ。
実際の所ラティーヌの人口が多いのはカルフォルニア等の南部で、ワシントンハイツのような北部は高所得者層の流入により減少しつつある。
彼は「一生懸命働くだけではだめなんだ」と言った。そして、「過去の栄光」であるドミニカの地へ帰ることこそが夢だ、とまで言った。彼は戻ることしか考えていなかった。
そんな中、最後のウスナビの選択はどうであったか。
インメディアスレスの形で映画が進行したことから、観客は見事に騙されたと思うが彼の最終的な選択はあの地で前を向き歩くという結果だった。
ワシントンハイツにいる彼等があれ程懸命に生きても報われない事が多いのに、それでも藻掻いているのに、懸命に生きれば報われる可能性が彼等より何十倍もある私達が頑張らない理由など、どこにあるのだろうか。
久しぶりにパワーをもらえる映画に出会えた。
次世代のラテン・ミュージカルの潮流を作るであろうミランダから、今後も目が離せない。
少しだけ気になったが、メリポピリターンズでも本作でもある、「ベレー帽を被った大量のメンズによる街頭を使ったポールダンス」のような演劇は、ミランダの好みなのだろうか。そっくりすぎて、メリポピリターンズから引用したようにしか見えなかった。笑
胸躍る!
始まって数分で
道にまく水の音や車の行き交う音などがリズムを取って音楽の一部になってる事にきづいた瞬間
この映画ヤバい✨ てなりました。
街中でみんなで躍るシーン
プールのシーン
布がビルから落ちてきて疾走するシーン
美容院移転で皆んなで躍るシーン
どれも素敵で1番が決めれないくらいでした。
ぜひ大画面、大音量で✨
RENTラテンアレンジはハミルトン前夜か
リン=マニュエル・ミランダさんファンとして、期待モリモリで鑑賞。 圧巻の歌唱力、映画だからこそ出来る群舞、ちょっとした遊びのCGも気が利いていて良い作品。 西洋の歌唱は声がウルウルしていて、包まれるだけで幸せ❤️ だとは思ったけれど、 群像劇は感情移入する先が迷子になるせいか、 移民のバックグランドをいまいち飲み込めないせいなのか、 これはRENTかな!?ときづいてからミミでエンジェルでなどと考えてしまったせいなのが、 感涙まではいかず不完全燃焼。 終わった後にサントラ落とそうと思える曲もなかった。 ラップでミュージカルをつくったのは、ラテン系演出だったと思われるが、それが良かったから名作ミュージカルのハミルトンに続いたと思うと偉大な一歩の作品なのかも。 舞台初演はリンさんが主役も勤めてたんですね。 動画漁りにいってきます。
心の居場所を求める物語
アメリカにたどり着いた移民たちが歳を重ね、そこで生まれ育った若者たちの心の居場所(故郷)を求める物語。 彼らの感情を音楽に乗せることで、その思いのパワーを上手く表現しています。ただ誰しもの心を鷲掴みするほどの曲がないことが悔やまれます。
ラテン系超最高。
NYの移民が集まる街ワシントンハイツでそれぞれの故郷や夢や未来について悩む4人の若者たちのミュージカル。 . 出演者がほぼラテン系の人達で、音楽も美術も今まであまり触れてこなかった文化が全面に出てて新鮮だった。というかラテン系のこの情熱はアジアにはないからただただ圧倒された。 . その反面、終盤のベニーとニーナがアパートの壁が床になって踊る幻想的なシーン、『ラ・ラ・ランド』っぽくてすごく良かった。 . 登場人物たちは、色んな国の人、故郷がワシントンハイツだと思う人もいれば祖国だと思う人もいるし、見切りをつけて街を出てく人もいれば留まる人もいる。親世代がアメリカンドリームで来たけれど、子供たちはアメリカが日常。移民もアメリカも変わりゆく描写が良い。 . サブストーリーとして真夏に大停電が起こる日へと進んでいくんだが、3日間停電してエアコンが使えなくも、暑くてダラダラしてるぐらいなの日本じゃありえなさ過ぎて、いやそんな踊って歌ったら死んじゃうよって思って見てた(笑). . ちょうど今家のエアコンの調子が悪くて修理までに1週間持つかヒヤヒヤしている私は本当にこれは他人事じゃない。日本で3日停電したらコロナ以上に死者出るだろうなぁ。 .
リアル社会問題とファンタジーのバランスが良い!!
日本で有名な映画スターが出ている訳ではないので 注目度が低いのですが、アメリカの舞台芸術の最高峰 トニー賞4冠とグラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を 受賞した「イン・ザ・ハイツ」を映画化。 これ観ておかないと駄目なヤツです!! ミュージカル大好きな私としては数年前の 「ラ・ラ・ランド」並みの注目度で観に行きましたよ! 南アメリカ(ドミニカ、プエルトリコ、チリ等) から移民としてアメリカにやって来て人々が ニューヨークの一番の端っこの ワシントン・ハイツと呼ばれる移民街で 支えあって生きている姿を描いた今作。 明るく陽気な人々の楽しい音楽とダンス! その間に挟みこまれるアメリカのリアルな人種差別問題。 デザイナーを目指す女の子は移民出身と言うだけで ニューヨークの真ん中で部屋を借りれない、とか 勉強が出来て遠くの有名大学に進学した女の子は パーティーで配膳係のウエイトレスと間違われたり 寮で盗みを疑われたり、 白人で無い事で差別や誤解を受ける生活に絶望して 生まれた町に帰ってきてしまう。 でも、その町もだんだんと家賃が上がってしまい 営業できないために一軒また一軒と 町を離れて寂しくなって行く。 移民社会の現実とそれでも諦めずに逞しく生きる 人々のパワーが画面いっぱいに溢れています。 で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては いつもこの手のミュージカルを観ると思い知らされるのは 踊れる人材層の厚さよね~。 爺さん婆さんはもちろん、腹の出っ張った親父や でっかいヒップのおば様までみんなきっちり踊れる!! 普通に見える人たちが町の中いっぱいに踊って溢れる! その迫力が凄い!! ミュージカルはセリフから急に唄い出すのが嫌だ! と言う人が観たらどう感じるかな? ミュージカルと言っても 今どきの最新作なので歌がほとんど ラップ調で始まるのです!! 二人のセリフの掛け合いがザクッと ラップになっていきます。 曲調もヒップホップっぽいものが多くて新しい。 現実社会の問題を取り込みながらも 最後はファンタジーらしい終わり方になっている。 このさじ加減が先日観た 「竜と○○○○の姫」と違って飲み込みやすい。 映画やアニメや舞台の結末は多少、安易と感じる結末でも 良いのじゃないかと思ってます。 ファンタジーなのだから~~ 折角盛り込んだものを中途半端に放り出されるよりは よっぽど気持ち良いです。
ラテンのパッション
ブロードウェイでも高い評価を受けた、ミュージカル作品の映画化。 これまでの美しさや華麗さを売り物にしたミュージカルとはひと味違う、ラテンの情熱がほとばしり、熱いパッションが息づく新感覚のミュージカル・ムービー。 個人的には、ミュージカルは苦手な分野であるが、今回の作品は違和感なく受け入れることができた。ミュージカル独特なやたらと歌い上げる感じではなく、ラップのリズムに乗った歌詞が、そのままの台詞として、耳障りなく入ってくるので、構えることなく、自然体で鑑賞することができた。 もちろん、ラップだけでなく、レゲエ、サンバ、フラメンコ、タンゴ等の、ラテンの熱い音楽とダンスが、次々と繰り広げられ、自分も観ていて思わず、足先や指先で、リズムを刻んでしまい、作品の中に引き込まれていた。 本作では、現代のアメリカの非常に根深い問題である、移民問題をテーマとして取り上げているところにも、大きな意義もあり、強いメッセージ性も感じた。今回は、移民側の視点から描かれてはいるが、移民を受け入れる側においても、それぞれ言い分はあり、両者の問題は、なかなか歩み寄ることはできない壁があるのだろう。私達日本も、これから益々グローバル化が進んでいく中では、直面する問題となるのかもしれない。 ストーリーとしては、先が読めるし、それほどのサプライズは感じず、ミュージカルらしい、ハッピーエンドだった。人種の坩堝とも言えるニューヨークで、紆余曲折をしながらも、故国に誇りを持ちながら、ラテン移民の人々の、明るさとポジティブさ、そして逞しさが、軽快なリズムと共に描かれている。 主演のアンソニー・ラモスは、ハリウッド作品にも、数多く出演しているが、女優陣のニーナ役のレスリー・グレイスとバネッサ役のメリッサ・バレラについては、初の映画出演らしい。しかし、とても歌唱力もあり、魅力ある演技で、女優として、これから注目したい2人と言える。
2021年最高のエンターテイメント!
私自身、試写で2回観て、公開後にも観に行く予定をしている2021年最高のエンターテイメント作品。 本来であれば、2020年に公開される予定の作品でありながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、延期ほ余儀なくされたため、2021年以降に劇場公開が予定されていた映画版『ハミルトン』が前倒しでDisney+で配信スルーとなったこともあって、アメリカではHBO Maxでの同時配信という想定外なことも加わったといっても、何とか公開できたことを喜びたい。 ニューヨーク市マンハッタンの最北の居住区・155丁目を起点とした約40ブロックの「ワシントン・ハイツ」 原作者であり、今回は出演もしていて、製作にも関わっているリン=マニュエル・ミランダの故郷であり、脚本のキアラ・アレグリア・ヒューディーズは、今も住んでいるコミュニティ「ワシントン・ハイツ」は、近年はラテン系が多くなったが1980年代はドミニカ人が多く、それからイタリア、アイルランド、ユダヤ系なども加わり、多種多彩なコミニュティへと成長していった。 距離として、都心にすぐ近くでありながら、「近くて遠い」 アメリカとうのは、移民の国であるいうのに、その移民の中でも、差別感情や格差が生まれてしまう。得に都心部では社会的なマウントに耐えられず、似通った者たちでコミニティを作り、そこで集まった者たちとの心地良い居場所に執着してしまうもあるが、不法移民など、 社会から追いやられて、そこでしか生きられなかったワケありな人達も加わることで、コミニティ自体が一括りなイメージで見られてしまうと、そこで育った若い世代は、なかなかそこから抜け出せなくなってしまうという、生まれた頃から逆境に立っているというような負のサイクルが発生してしまうのだ 劇中の「96000」という曲は、原作の舞台においても人気の高い楽曲で、10年ほど前にもアリアナ・グランデのアカペラ動画が話題になったりもした曲だが、この「96000」というタイトルは、宝くじの当選金額のことである。「ワシントン・ハイツ」の住人たちが、「自分が当たっていれば…」という夢や希望が歌として表現されているのだが、逆に言えば、宝くじでも当たらない限り、なかなか夢が叶い難い環境ということを表している。 そんな負のサイクルを断ち切ろうとする「ワシントン・ハイツ」の住人たちの中でも、特に若者世代、ウスナビ、ベニー、バネッサ、ニーナからなる、4人の視点にスポットを当てて描かれ、そこに関わってくるサブキャラクターの視点や別の世代の視点も加わるとで、とても濃厚な群像劇に仕上げていながら、何とかそこから抜け出したいという希望が歌として表現されていることで、どの曲も力強いものばかりとなっている。 「ワシントン・ハイツ」の住人でなくても、自分の置かれている環境から抜け出せなくなっている者というのは、多くの異なった人種が暮らすアメリカという国なら、どこにでも共通するものであり、どこの国でも、今の自分に満足できていない者であれば、共感しないではいられないのだ。 アンソニー・ラモス演じるウスナビは、「ワシントン・ハイツ」で、食料雑貨店(字幕ではコンビニとあったが、コンビニというより、アメリカでは昔からあるミニスーパー、食料雑貨店と言った方が正しいと思う)の雇われ店長をしながら、故郷のドミニカに戻りたいと計画をたてている。 アンソニー・ラモスという俳優は、2012年から舞台版にも出演していて、当時はウスナビの従弟で映画版も登場するソニーを演じていて、2018年からは、今回と同じくウスナビ役を演じている。その他にも『ハミルトン』でジョン・ローレンスとフィリップ・ハミルトンを演じていることもあって、リン=マニュエル・ミランダの作品では常連であり、なくてはならない存在。 映画としては、『アリー/スター誕生』では、レディーガガ演じるアニーの友人役として出演するものの、歌うシーンはなかった。同じくミュージカル・アニメである『トロールズ ミュージック★パワー』では歌うシーンはあったものの、声を加工されているキャラクターを演じていたため、本格的なアンソニーの歌声を聴ける劇映画は、今作が初と言ってもいいだろう。 そんなアンソニーが、キャラクター達を紹介していく冒頭の曲「イン・ザ・ハイツ」から、いきなり心を鷲掴みにされてしまって、こんなハイスピードで突っ走って、「映画的なバランスは大丈夫なのか?」と思ってしまうが、そんな不安もすぐに吹っ飛んでしまう。逆に中だるみがなく、テンポ良く進み過ぎてしまう分、143分という上映時間を全く感じさせず、もっと観ていたいという欲求から、何度でも観たくなる「中毒感」が余韻として残るほどだ。 ファッション・デザイナーを目指しているメリッサ・バレラ演じるバネッサは、自分の夢に向かって、前向きに進もうとしているが、ラテン系、「ワシントン・ハイツ」の住人というイメージが邪魔をして、社会的信用を得られないことから、スタート時点から足を挫かれてしまっている。 一方、レスリー・グレイスが演じるニーナは、タクシー会社を経営する父のもとで育ち、大学に進出するために「ワシントン・ハイツ」を出ていった、憧れの存在として描かれる。ニーナは唯一の成功事例として、希望の象徴のようにも思われているが、実は社会からの扱いに耐えられなくなり、戻ってきてしまった。 希望を持つ者、挫折した者、挑戦すること自体が難しい者…あらゆる苦悩を抱えた若者たちを、良い意味で上手くキャラクターとして分別していることで、かなり観やすく、そしてシンプルでもある。 そこに厚みを増すのが、「ワシントン・ハイツ」の母のような存在であるアブエラの存在である。アブエラを演じているのは、2007-2008年のブロードウェイ、オフブロードウェイ時代に舞台版でも同じ役を演じたオルガ・メレディスということもあって、安定感がある。 移民としてアメリカにやってきたルーツを知ってる人物であり、社会からの偏見を最も肌に感じてきていながら、次の世代には負のイメージよりも、希望を持たせるように導いてきたからこそ、「ワシントン・ハイツ」の住人たちは、逆境にも耐え抜ける信念を持ったものが多いという部分に紐づけることができているのだ。 自分のしてきたことが間違っていなかったことを感じながら、次の世代に橋渡しをしていく描写も悲しくもあるが、どこか前向きに「時代は変わる」ということを表現しており、そこで使用されている楽曲「Paciencia y Fe」も非常に味わい深いものとなっている。 ミュージカルというものは、歌って踊るハッピーな現実逃避と偏った見られたをしてしまうのだが、実はミュージカルというのは、戦争、公民権運動、人種差別、LGBTQといった、社会問題を反映した題材のものが多く、比較的ライトな視点から立ち返って、改めて観ることで、複雑化していたものが解ける作用も持っていると私は信じているだけに、ミュージカルを語ると熱くなってしまう… 今作で監督を務めたジョン・M・チュウは『ジェム&ホログラムス』『ステップ・アップ2:ザ・ストリート』などの音楽映画を多く手掛けていることでも知られている人物であるが、近年においては、アメリカ映画でありながら、オールアジア系キャストで挑んだ『クレイジー・リッチ!』の功績が大きい。 この監督の特徴として大きいのは、「色彩感覚の豊かさ」である。これは、今まで手掛けてきた映画の中でも確認することができるのだが、『クレイジー・リッチ!』では、よりその長所が強調されていたのだが、残念なのが、そこまでの色彩感覚をもってして、『クレイジー・リッチ!』がミュージカルではないことだった。 満を持してというべきだろうか、そんなジョン・M・チュウのセンスが抜群に発揮され、オリジナル舞台の世界観と融合することで、舞台版では表現が難しかった奥行き感というのを全面に出すことに成功している。 映画ならではのフォトジェニックなシーンも多くあって、舞台の本質からは全くズレることはなく、再現度を維持しつつ、独自の色彩センスを加えて、全く新しい『イン・ザ・ハイツ』を作り出してしまった!! これは完璧と言っても過言ではなく、同じく舞台の映画化である『ウィケッド』のオファーがきたことも納得がいくし、まだまだミュージカル映画のオファーが殺到するのではないだろうか。 今年は、新型コロナで延期が続いていたものが繰り越して、今年公開になったことで、ミュージカル映画が渋滞になっている。 スティーヴン・スピルバーグの手によってリメイクされた『ウエスト・サイド・ストーリー』やアレサ・フランクリンの半生を描いた『リスペクト』も今年公開されるが、おもしろいという表現が適切かはわからないが、 35歳という若さでこの世を去った『レント』で知られる劇作家ジョナサン・ラーソンの自伝的作品をNetflix映画『Tick, Tick… Boom!』も今年公開されるということ。 『Tick, Tick… Boom!』の監督を務めたのが、 リン=マニュエル・ミランダということだ。アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の作品賞や監督賞で今作と『Tick, Tick… Boom!』がノミネートされれば、同じ人物の原作作品と監督作品がぶつかるという構図ができるだけに、気が早いかもしれないが、今作は間違いなく賞レースにおいては、何かしらヒットしてくることは間違いないだけに、今からノミネート作品の発表が待ち遠しい。
社会問題がラテンというエッセンスでメチャ明るい
底抜けに明るい‼️
ひとくくりにラテン系といっても、いろんな国からアメリカに渡っている。
移民してきた人たちの苦悩。
故郷への想い。
ラテンのリズムが、暗くなりがちな題材を、超明るくダンサブルに表現していて、ノリノリになってしまう。
停電してても、大変でも「うちら、ラテンが武器じゃん」みたいな。
国が違っても、そこは共通。
ほら、踊って歌って!
年齢を越えて、パワフル過ぎるパフォーマンスに圧倒されまくりました!
良質なミュージカル映画
ミュージカル、ラテン系音楽に抵抗がない方には、おすすめです。シンプルでありながら悲喜交交のストーリー、ミュージカル映画らしいダイナミックな歌とダンスのみせ方、それぞれに魅力的で応援したくなるような登場人物、心情をパワフルに時に繊細に物語る音楽など、個人的にはとても楽しめました。いい箱で見られる方が羨ましい。 コロナ禍で海外には行きにくくなってしまったので、少し、自分もニューヨークの街角にいるような気分になれるところも、楽しかったです。逆に、外国の文化や社会問題にまったく関心が湧かないという方には、向かないのかもしれません。アメリカの移民社会の中からみたストーリーなので、ある程度の事前知識はあった方が堪能できると思います。
なんてパワフル!
かなり話題になってた作品なので楽しみにしてました。 いざ拝見! ところが序盤からアップテンポの曲が続き、字幕を追うのが忙しすぎて目が回る勢いで、映像観たいけど字幕無視したら内容分からなくなるわでひょっとしたら私ギブアップしちゃうかも、、と思いましたが、なんとかなんとか追いついて観れました。あー英語が分かればってつくづく思いました! 全体の8割ぐらいは歌って踊ってるんじゃないでしょうか。ストーリー自体も良くある作りですがとにかく役者さんの歌声が素晴らしい!ソロパートも皆さん個性が溢れ出ていて感動しました。ダンスも激しくてたまりません!全員が素敵な生き生きとした笑顔で踊っていて観てる側に沢山のハッピーを分けてくれました。
テーマは移民×故郷だと感じた。 なんだけどなかなか移民っていう感覚...
テーマは移民×故郷だと感じた。
なんだけどなかなか移民っていう感覚がイマイチピンとこなかった。
ニーナが大学で受けた差別的な対応、バネッサが不動産屋から借りられない、ソニーに市民権がないとか、差別、政策に対してのメッセージ性が感じられた。
ワシントンハイツの街並が魅力的。
ボデガっていう街角にある雑貨屋の生活感、タクシー屋、美容店、地下鉄、そして夕日の眩しいジョージワシントンブリッジなど、景色は見ていて飽きなかった。
普段は全然聞かないジャンルの音楽だけれども、メインキャスト一人一人のパートがあり、皆かなりの歌唱力で引き付けられた。
ニーナ×ベニーのペアもベネッサ×ウスナビに引けを取らない魅力いっぱいのカップルで、最後のアパートの壁のダンスシーンが素敵過ぎる。二人の愛は重力をも凌駕するのか?(笑)
アブエラのパートはこれでもないくらい心揺さぶられた。
トンネルのシーンがとても印象的。仕事や子育てに追われて夢を追う暇などなかった、と。
それでもウスナビを始め、いろんな子の世話をしてきて辛かった時は忍耐と信仰って言葉を信じて生きてきた。
自分の親の世代なんかはまさにそんな感じで、色んなことがちょいちょい被り、そういう時代だったんだ、でも一生懸命生きてきたんだ、って思えたあたりで涙が止まらなくなってしまった。
そしてそこからの展開も感動的。
故郷って人それぞれ色んな場所、意味があるし、夢の追い方もどんな形だってあって、
カツカツな日々を生きているけど、大なり小なり人それぞれ夢を持って生きているんだって思えてとても勇気をもらえた。
人生の転換期や、このコロナ渦中で、落ち込んだ時に自分の周囲で大事なものなんかを今一度気が付かせてくれる作品。
エンドクレジット後のピラグア(かき氷)親父がライバルへの一杯の心意気に、泣いているところにほっこりさせられた(笑)
原作ミュージカル見てるともっと楽しめる要素ありそうな感じ。
タイトルの意味が分かった瞬間に震えた!
果てしなく美しいビーチで子供たちに自らの体験談を語る主人公~から物語はスタート。
アメリカから無事故郷に帰るまで紆余曲折のストーリー~ってのを想像してました。
しかし、見事に裏切られました!
嬉しい笑顔の裏切り!
心地よい名曲満載で、ずっとリズム刻みながらずっとハッピーでいられる作品でした♪
キラーソング、プリーズ!
アレ?あらら?いつになったら、感動場面が?
ラテン音楽が好きな方、ラップが好きな方なら満足出来るんでしょうか?
と言うか。政治色もそこそこで、なんともはや。世間の高評価ポイントは、そこなんか?もしかして。
ニーナが歌う三拍子が歌のピーク。クラブのサルサがダンスのピーク。復学の意思を固める件がストーリーのピーク。ハイツの壁面ダンスが映像のピーク。
なんですが、どれも刺さりが浅くって。
IMAXで鑑賞して、こんな具合でした。
いつも、ミュージカルは鬼リピートする私ですが、コレは一回で良いかなぁ。って事で。
後味は良かったです。
音楽そのものはプロの仕事の緻密さで見事ですけどね。キラーソングが欲しかっただけ。
ミュージカルはやっぱり歌かと
映画comの特集記事が良くて鑑賞。ミュージカルは苦手としていましたが、グレイテストショーマンはとても楽しく鑑賞しました。これもそうなのかな?と思ったのですが・・・ 話の流れは悪くないものの、セリフがほぼ全て歌になっており、グレイテストショーマンのようなヒット曲にはなりえないかな・・・やっぱりミュージカルは歌で勝負ではないかと。 観ていて退屈はしなかった、主人公と彼女のキャラクターも好感。なので★3つ。
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