「歌のうまい「ピラグア」売りのおじさん。」イン・ザ・ハイツ ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
歌のうまい「ピラグア」売りのおじさん。
ラテン系の人々の太陽のような明るさとノリの良さに圧倒される。アメリカは移民の国であるが白人中心の国でもある。そしてアジア、アフリカ、中南米の人々に厳しい差別の国でもある。「ワシントン・ハイツ」はアメリカの中に中米社会がそのまま引っ越してきたようなコミュニティを作っている町である。同郷の人々が集まって暮らすのは本当に心強いことであるのがよく描かれている。貧困や差別の問題があるからこそ、誰もが「小さな夢」をもってがんばっているのが切実に伝わる。ハンディを背負っている若者の恋や夢を素直に応援したくなる映画でもある。大停電は彼らの恵まれない境遇を強く意識させることになった。それと同時に新しい一歩を踏み出すきっかけになる象徴的な出来事として描かれ、幸福なエンディングにつながる。
「ミュージカル」というのは、物語の要所要所で歌と踊りが入る特殊なジャンルだと思っていた。しかし「インザハイツ」はあまりに自然に歌と踊りが全編展開するので「ミュージカル」という意識がなくなってしまう。リン=マニュエル・ミランダの曲はすべて印象的で気に入った。何回でも繰り返し聞きたいと思った。
パワーと優しにあふれた素晴らしい作品でした。
コメントする