劇場公開日 2020年3月20日

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「意外とこじんまりした佇まいのタイトでカラフルなピカレスクアクション」ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0意外とこじんまりした佇まいのタイトでカラフルなピカレスクアクション

2020年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジョーカーにかしずきゴッサムシティでやりたい放題の日々を送っていたハーレイはある日あっさりジョーカーに捨てられて孤独の身に。未練を滾らせながら悶々と過ごすハーレイに恨みを持つ悪党達が次々と襲いかかるが、ゴッサムの裏社会を牛耳るシオニスに捕まってしまう。シオニスがマフィアの隠し資産のありかが記されたダイヤを探していることを知っていたハーレイは、シオニスの部下より自分が先に見つけられなかったら殺せばいいと条件を出し街に舞い戻る。そのダイヤはスリの少女カサンドラがシオニスの部下のポケットから盗んだもので、彼女が留置されている警察署にハーレイは単身乗り込むが・・・。

期待していたよりも意外とこじんまりとしたタイトな作品。ハーレイがDCコミックス版ドキンちゃんであることをとことんデフォルメした、ある意味前時代的な価値観がベースにある『スーサイド・スクワッド』に対して、ハーレイと虐げられた女性達の解放を描いているのでより現代的でしっくりきます。派手な宣伝の割にはゴア描写が控えめだった前作に対して、こちらはPG12で大丈夫かと心配になるぐらい攻め気味の描写で爽快感も倍増。こじんまりとした印象を増幅しているのは80’s調のザラついて青褪めた色調の映像とかなりオーソドックスなアクションシークエンス。まるでB級アクションのようなチープさすら漂う様式美は逆に新鮮で、ブラックキャナリーがいきなり繰り出す必殺技に劣勢気味のDC作品に一筋の光明を見た気がしました。ただ個人的にはもうちょっとモノローグを出し惜しみして観客の想像力に委ねて欲しかったです。

監督は本作が長編初となるキャシー・ヤン、『ワンダーウーマン』で気を吐いたパティ・ジェンキンスに比肩する独特な個性に期待大。マッチョイズムが濃厚なDCワールドを大胆に変えていって欲しいと思います。個人的にはクロスボウ・キラーを演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドに注目。『10クローバーフィールド・レーン』や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』等マニアックな作品で実績を上げている実力派。今回の役は当たり役だと思うので続編に期待しています。

よね