劇場公開日 2019年11月29日

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「続編だと言われても違和感が拭えない」ドクター・スリープ アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5続編だと言われても違和感が拭えない

2019年11月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

字幕版を鑑賞。スティーブン・キングの小説「シャイニング」が発表されたのが 1977 年、それがスタンリー・キューブリック監督によって映画化されたのが3年後の 1980 年であった。本作は、キングが 2013 年に発表した続編の「ドクター・スリープ」を映画化したものである。前作から 40 年後の世界が舞台になっている。

「シャイニング」はキューブリック監督の代表作と言えるほどの傑作であったが、原作者のキングはお気に召さなかったらしく、度々批判的なコメントをして来ている。おそらく、原作では明確にされている事件の原因と結果を、映画では謎として残したためではないかと思うが、全てが説明できてしまうような話はホラーになり得ないので、キューブリック監督のやり方は正しかったのではないかと個人的には思っている。

続編小説は、映画の物語の続編としては非常に面食らう内容であり、全てが説明されてしまっているためにちっとも怖くない話になってしまっていた。小説にかなり忠実に作られたこの映画も、あの映画の続編にしては、まず、前作に全く出て来なかった邪悪な集団に焦点が置かれ、その話が前半を埋め尽くしていたため、これが続編なのかと非常に戸惑いを覚えた。

「シャイニング」とは、前作でダニー少年が示したような予知能力や、テレパシーその他超常的能力の総称のことで、そういう能力をもつ人間を嬲り殺して生体エネルギーを吸って 1000 年以上も生き続けようとする一種の邪悪な吸血鬼のような集団が登場し、成人したダニーと、桁違いの能力を持つ少女アブラがその集団と戦いを繰り広げるという二元論的な話になっており、その決戦の地として前作の舞台であったコロラドの「展望台ホテル」が登場するという展開になっていたが、ホテルが出て来るまでがやたら長くて、ほとんど別の話のようであった。

この続編映画を、原作者キングはかなりお気に入りのようだが、私は続編としては問題が大有りだと思った。何と言っても、今作で登場する邪悪な集団が、前作で全く出て来ていないことである。前作では、ホテルの建てられた場所がインディアンの墓地だったために、冬季間の閉鎖期間に管理人を引き受けた家族が、呪いを受けておかしくなるという話だったはずで、ダニーたちはその2家族めだったはずであって、1家族めで犠牲になった双子の少女の霊などを見る羽目になったのである。

前作で登場した呪われたホテルにまつわる悪霊も登場するのだが、いかにも取って付けたようであり、敵のボスの末路もダニーに降りかかった結末もあっさりし過ぎていて、かなり拍子抜けした。見終わった感想として真先に浮かぶのは、大きな戸惑いであって、これを続編と認めて良いものかどうかという疑念である。私はこれが続編とは到底思えなかった。

役者はイアン・マクレガーが成人したダニーを演じており、ジャック・ニコルソンのソックリさんまで登場させて前作の雰囲気を出そうとしているのには感心したが、むしろ邪悪な集団のボスを演じたレベッカ・ファーガソンの方に役者としての魅力を感じた。

音楽は、前作でも象徴的に鳴らされたグレゴリオ聖歌の「怒りの日」が踏襲されて雰囲気を出しているが、その他の音楽はあまり印象に残らなかった。キューブリック監督のこだわりであった画面の対称性や面光源、黄金比といった映像の特徴は、ホテルが登場するまではあまり感じられず、その意味でも続編らしさは薄かった。いろいろと不満が残る出来であった。
(映像4+脚本3+役者4+音楽3+演出4)×4= 72 点。

アラ古希
ゆたぼーさんのコメント
2022年12月4日

こじつけただけで関連性無し?

ゆたぼー