「【自らの"シャイニング"と過去の忌まわしい出来事に悩まされ続けたダニー・トランス”少年”の見事な決着の付け方】」ドクター・スリープ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【自らの"シャイニング"と過去の忌まわしい出来事に悩まされ続けたダニー・トランス”少年”の見事な決着の付け方】
ー毒を持って毒を制すー
ローズ(レベッカ・ファーガソン)を首領とする”人の生気”で、永き命を保つ異形の者達とシャイニング能力を有するダニーと若き少女アブラ(カイリー・アラン)とのサイキックな闘いを「シャイニング」のストーリーと絡ませて描き出す。
ローズ達が少年少女達の生気を奪う場面は正直、正視できず。
だがこの映画はホラー要素より、且ての悪夢に囚われ、アルコール依存性になっていたダニーの魂の救済の物語だと私は感じた。
[印象的なシーン]
・生き残ったローズと決着をつけるため、忌まわしき「オーバールックホテル」へ向かうダニーとアブラ。
観ていて、何故に?と一瞬思うが直ぐにダニーの狙いを理解するとともに、数十年前夜中に友人たちと鑑賞した怖すぎる数々の場面がリアルに再現され、感慨に耽る(遠くを見つめる・・・)。
・ダニーが”あの”バーで父ジャックと向き合い、ジャックが”酒は薬だ”と言いながらダニーの前のグラスに「ジャック・ダニエル 黒ラベル」を注ぐシーン。
このシーンで、ダニーは父ジャックの幻と漸く決別をする・・。
・キューブリック作「シャイニング」では曖昧に描かれていたホテルそのものが邪悪な化け物という設定を、今作ではスティーブン・キングの原作に近い形で描いている所。
炎を上げて燃える「オーバールックホテル」の断末魔の姿・・・。
<若きアブラの健気な姿に勇気を貰いつつも、自らの強い意志で、哀しき過去に決着を付ける決意をした男の魂が、”シャイニング”の能力を使い、悪しきモノ達と闘う中で、徐々に浄化されていく過程を描いた見事な物語である。>