黒い司法 0%からの奇跡のレビュー・感想・評価
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切なかった
・あいつが犯人にとって都合がいいから犯人っていうあり得ない事が司法の世界に適用された悲劇と絶望が切なかった。これも冤罪というのだろうかと思えるほどお粗末な行為が怖かった。なぜこうなってしまうんだろう。
・一番印象深かったのがジョニー・Dの監獄の隣に入っていたベトナム戦争のPTSDから爆弾を作ってしまい子供を殺してしまった事を含めて気に病んだハーブという名の男が執行差し止めを棄却されて電気椅子に連れていかれるシーン。ハーブはずっと何でこんな事をしてしまったんだと終始泣きそうな顔と声で結局、死刑になった。具体的にどういう事件を起こしたのかがわからなかったけど、遺族から見れば死刑じゃなくなるのは理解できないだろうとは思う。とはいえ、国のために戦った末に国に捨てられて天涯孤独の末に電気椅子は悲しすぎる。そんな中で監獄でようやくジョニー・Dなどの人間関係ができるというのが更に泣けてきた。弁護士のブライアンが会いに行った際に、ベトナムの方がここよりは全然良いみたいなことを言った後、希望した曲を流れている中、監獄に入ってる他の囚人が音を立ててハーブに最期のエールのようなものを送っていたのが、とても切なかった。ハーブの命をあそこにいる人たちは何も思ってないんだなと思ったら泣けてきた。誰もハーブの苦悩を共感しようともしないのが苦しかった。しかし、刑の後、最初、怠惰そうで冷たかった白人の若い刑務官も気持ちが変わったのが、とても良かった。偽証をさせられた男も、ブライアンも電気椅子の光景を観て考えが変わったというのが少しでも共感できると思える名シーンだった。
・偽証させた保安官がラスト、結構長い間現役で活動していたらしいのが怖かった。
・デトロイト、ドリーム、ジャンゴとか黒人差別がテーマの映画ってアメリカではどういった受け取られ方をしているんだろうと疑問に思った。
もうひとつの『アラバマ物語』
80年代の米国。
ハーバード大学を出た若き黒人弁護士ブライアン・スティーブンソン(マイケル・B・ジョーダン)。
インターン時に出逢った黒人囚人がきっかけで、弱き者の助けをすることを決意する。
選んだ仕事は、死刑囚たちの人権問題。
米国、特に南部では、証拠もなく、司法権力により冤罪で死刑宣告を受けた囚人たちがいる。
米国北部から南部アラバマ州に冤罪死刑囚たちのNPOを立ち上げたブライアンは、なかでも18歳の白人女性を殺した罪で収監されている黒人男性ウォルター・マクミリアン(ジェイミー・フォックス)の事件に関心を抱き、彼の再審請求に挑もうとする。
その土地は、『アラバマ物語』の舞台となった土地。
黒人への偏見は和らいだようにも思えるが・・・
というところからはじまる物語。
この映画、実話が基になっているのだけれど、この事件については知らなかった。
ですので、「ふーん、人権無視の地で立ち向かう黒人弁護士の物語、さぞや、丁々発止の法廷ものなのだろう」と思っていました。
ですから、観進めていくうちに、「ありゃりゃ、法廷での丁々発止、意外と少ない・・・」と落胆しました。
ま、こういうことは、何十年も映画を観ているとあるわけですが・・・
さて、映画は実際の事件を基にしており、物語も起伏に富み(なにせ、どう考えても、再審請求が通るだろうと思われる事態になる中盤で、却下されるときにはビックリしました)、決着の「0%からの奇跡」も感動的です。
が、個人的には、いまひとつ映画に乗り切れないところがありました。
丁々発止の法廷ものでない・・・
というのはその通りなのですが、法廷ものの醍醐味とは、いわゆる証拠主義。
事実の有効性を問うものです。
つまり論理のぶつかり合い。
この映画では、この事件の起きた地が、そんな論理から価値観が程遠いところにあるからかも知れませんが、論理など一顧だにされず一笑に付される有様です。
ですので、論理のぶつかり合いはありません。
いくらブライアン側が証拠・証言を提出しても、「そりゃ、嘘だろ。デマカセだぁ」なわけです。
ここのところが遣る瀬無い。
けれど、映画としては、そこんところの無茶ぶりがもう少し描いていてもよかったかもしれません。
無茶感は、ブライアンが携わる裁判の近くだけ起こってい、前半にあったような無名の住民からのいやがらせは後半描かれていません。
ここが少々不満。
けれど、もっと不満(というか違和感というか)は、音楽の選択で、全編にゴスペル調の音楽が流れます。
これは原題の「JUST MERCY」とも関連するのでしょうが、この逆転劇(というのでしょうが)は、ある種のMERCY(神の慈悲)だという印象が残ります。
つまり、そもそもの歪んだ価値観を正した結果を、神の慈悲としてとらまえてしまうことには、どうにも違和感を感じざるを得ないわけです。
もうひとつ踏み込むと、この逆転劇をもたらすのは、結果として(事実だからかもしれないが)、白人の改心による。
そして、その改心を促すあたりの描写が弱いと感じました。
で、わたしがいちばん感心し、驚いたのは、エンドクレジットが流れる直前。
米国での冤罪の多さ、映画のモデルになった人々の現在(特に、冤罪を生み出し続けている白人保安官が何期も連続で当選している)でした。
つまり、エンドクレジットが流れる前の映画の部分が、実際の数分足らずの画に負けている、と感じたわけです。
実録ものの事実は優れていますが、映画の力としては、少し物足りなく感じました。
なお、『アラバマ物語』は、この地での「われわれは、黒人を理解している」という、ひとつしかない免罪符ですね。
「ひとつしかない」とは「全然ない」よりマシではないということも感じました。
一級の裁判ムービー
日本でも冤罪はあると言われているが、アメリカの場合は人種差別が相まって酷い状況だったのですね…
しかも、そんなに大昔の話ではなく、1980年代後半に自由と正義の国で起こっていた実話ベースの話と知って更に驚いた。
映画自体は死刑判決を覆す為に闘う弁護士を描くのだが、裁判シーンは、とても緊迫感があるしラストにかけての展開は素晴らしく感動する。
キャストも主役のマイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス共に演技が素晴らしい。
個人的にはMARVEL以外のブリー・ラーソンが観れた事も嬉しい^_^;
最後に、いつもの事だけど、邦題のセンスがらなさ過ぎる。
内容は素晴らしいが
邦題がださいと思った。
こんな歴史があったのかと、今現在でも冤罪で投獄されている人がいる現実を目の当たりにし、考えさせられた。
もう少し演出があってもよい気もした。
貧困の反対語は、裕福ではなく正義だ
差別について描かれた映画はジャンルを問わず良く観る。ある映画では激しい怒りを覚え、ある映画では涙を流さずにはいられない。
この映画の舞台は法廷だ。冤罪で死刑宣告を受けた死刑囚を正規の手続きで救い出す。だから空を飛ぶヒーローも出てこないし、敵を暴力で倒さない。あくまでも法と手続きという地道な作業しか術はない。そこに深い感銘を受ける。
差別は悪だと僕も思う。ヒューマンライツこそ人間社会において最も大切なことだと信じている。が、しかし、差別の心を持つ人をそれだけで裁くことはできないし、悪者だと断罪はできない。それより、差別は悪なのだということを知ってもらうことが重要だ。
分断を生むのではなく、法というシステムを使い、相互の理解を深めていく。正義とは何か、もう一度訴えかける。一人の孤独な勇気が沢山の命を救った物語に胸を打たれた。
娯楽映画にしては淡々と
真面目な作品で、司法制度の意味を問うちゃんとした映画でした。
最後に無罪を確定した瞬間はさすがに、ぐっときた。
たが…これアメリカの、40年ほど前のお話しだろうか。
日本でもあるんじゃ…と感じざるを得ない。
村木厚子氏の検察が証拠を捏造した事件、犯人と疑われたら物的証拠より自白を強要し、冤罪が多発した過去の事件、決して昔の話じゃない。
例を上げたらキリがない。
先日もNHKの逆転人生という番組で取り上げられていた。(2月17日放映)
日本でも以前では冤罪事件の映画が作られていたが、最近硬派の作品が少なくなっているように感じるのは自分だけだろうか。
私は進む 少しでも高みへと。
アラバマ州モンロービル、『アラバマ物語』の舞台。昔とまったく変わらない黒人軽視の社会がまだそこにある。
長い歴史を積み重ねて虐げられてきた黒人たちの連帯感。人種を意識せずに不当に虐げられた人間を憐れむ白人看守の存在。未来への希望は見える。
しかし裁判の結果、道半ばなれど彼らが勝ち取ったものは大きいが、真犯人はいまだ野放しであることに変わりはない。「無実の彼から奪われたものは多い、だがこれを先例とすればより良い社会になれる」と自らを励ます姿の尊さ。徐々にその理想に近づく気配はあるものの、完璧な理想の社会になることはないだろうなあという絶望は付きまとう。ただ、ブライアンとジョニーDは、ジョニーDが亡くなるまで親友だったという事実は救いとなった。
正義と慈悲が失陥したアメリカと言う国で。
もうね。「失陥」って言って良いと思うんです。本来あるべきもの、人間に備わっているべきものが、何者かによって奪われて欠損状態にある、って事なんで。ちょっと視点が偏ってるし、厳密な定義から外れるけど。アメリカの場合です。
州高裁の法廷でブライアンは「法の正義が守られること」を願い、判事に訴えます。ラストシーン、ブライアンは聴衆に向かって "Justice" と "Mercy" が必要だと演説する。でも、タイトルは”Just Mercy”。突き詰めれば、ただ”慈悲”が欲しい。つまりは”死刑廃止”って解釈になるんかなぁ、と一瞬思いましたが。
ちょっと違うかも知れない。
インターンとして死刑囚訪問をしたブライアンは、収監されている同い年の黒人青年に出会い、何かに突き動かされる。"Just Mercy"は、ブライアンを闘いに向かわせている動機が何なのか。何が彼に、30年もの長き闘いに向かわせたのか。「ただ慈悲の心から」。実際の人物像は存じ上げ申さぬが、言います。「心から尊敬申し上げます」。
弁護士と言えば、スキャンダルを見たばっかだったもんで余計にね。
あれだけの新証言を提示しながら、再審を認めない郡判事。無能のそしりを逃れるために事実をでっち上げ、ご丁寧にシナリオを書き、役者を準備して、無実の市民に死刑判決を下す人々。
電気椅子のシーン。独房で打ち鳴らされるコップのリズムと、通気口から響いてくる声々に、哀悼の涙。
再審開始の報を信じて疑わなかったのに、下された判定のクソっぷりに、無念の涙。
ブライアンの突然の訪問に気を悪くしながらも、法廷で法の正義を下す側に転じた検事の言葉に、ガッツポーズで涙。
ちょっと涙もろくて、あれなんだけど、その他にもね。5分間時間を与えてくれた新人看守の姿だったり。ブライアンを迎える、無実の罪を晴らして欲しい一族達の姿だったり。結構泣かし何処、たくさんあります。
役者さんも良かったです。
ベタっちゃー、ベタですけど。
こんなんが、本当に大好き。
良かった!とっても!
今のところ、今年一番です。
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(3/2) またまた、どうでも良い追記。
もうすぐエジソンの映画が公開されるんですね。で、電気椅子です。19世紀終末から20世紀初頭に掛けたアメリカの「電流戦争」は、「直流送電」を推進するエジソンと、「交流送電」のウェスティングハウスの戦いでした。アルフレッド・サウスウイックが考案したとされる電気椅子。実際に電気椅子の開発に着手したハロルド・P・ブラウンは、エジソンの支援を受けていました。エジソンの狙いは、ウェスティングハウスの「交流送電」が危険で致命的であることを人々に印象付け、電流戦争に勝つことでした。実際、エジソンが実行したネガティブ・キャンペーンの数々は、下衆としか呼びようの無いモノばかり。人間のクズです。これ、あくまでも、21世紀のモラルに照らせばですけどね。
電気椅子には、エジソンの狙い通りに交流が使用されます。「囚人を処刑する送電方法と同じ方法で家庭に送電して欲しくない」となるはずだった世論は、そうはなりませんでした。エジソンのネガキャン、やり過ぎたんちゃいますか?
もうすぐ公開のエジソン映画、どんな人格描写になるのか、楽しみです。
人間の愚かさと恐ろしさを改めて思い知らされました!
まず1番衝撃だったことが、この話が実話を基にしており、しかもたった30年ほど前のごく最近の出来事を描いているということだ。
現在でも一部の人々による人種差別的な行動があることをニュースなどで知ってはいた。しかし、政府や組織的な差別は南北戦争ごろまでの話で、自分が生まれる以前の出来事だと思っていた。
しかし、この映画では1990年の前後を描いており、私自身が生まれたあとの最近の話であった。さらに劇中にも出てきたが、30年服役した後に、2015年にやっと無罪で釈放された事例もあるということに、ただただ衝撃を受けた。
昨年アカデミー賞の作品賞を受賞した『グリーンブック』でも人種差別を描いていたが、1962年と南北戦争真っ只中の人種差別を描いていた。
それだけに、今回の映画を見て、人間の愚かさと恐ろしさは本質的なモノで、今も昔も変わっていないのだと思い知らされてしまった。
自分たちとは異なる者に恐怖を抱き、その結果差別や迫害をしてしまう事は、人間の本質的な弱さによるものなのだろう。
一方で主人公のブライアンの様に正義を貫き、真実を求めて社会に立ち向かって行動できるのは、人間の本質的な強さなのだと思う。
どちらも人間的な本質であり、だからこそ自分自身が前者になっていないかという事を考えさせられた。
私たちの身の回りでも、多数派が善で、他の人とは違う考えを持つ人々を悪と捉える人が多い様に思う。
もっとたちが悪いのは名前や顔を隠しながら人を平気で傷つける行動を取ってしまう事で、これも人間の弱さの部分からくる行動なのだろう。
私自身も偏ったモノの見方ではなく、本質的な部分を捉えて、周りに流されないブライアンの様な強い人間になりたいと思った。
こういう映画こそ多くの人に観てもらいたい。そして、自分自身が白人側になっていないか、ブライアンと同じ立場になった時に同じ様に正義を貫けるのか第三者的に見つめ直して欲しい。
私自身ブライアンの様に振る舞える自信は正直ないが、もしブライアンが目の前にいたら応援して協力できる様な人間にはなりたいと思う。
偉そうな事は言えないが、そういう人が増えれば社会がもう少し優しくなるのではないかと思う。
俳優陣の演技も素晴らしかった。
無実の罪で死刑囚となったマクミリアン役を演じたジェイミーフォックスは、本当に色んな役をこなせる素晴らしい俳優だと思う。エンドロールで出てきたマクミリアン本人の写真を見た時に、そっくり過ぎて俳優としての力量の高さを実感した。
社会に立ち向かったブライアン役のマイケルBジョーダンはブラックパンサーの敵役(キルモンガー)で初めて見た。その時は主人公のブラックパンサーよりも存在感がありカッコイイなーと思っていたが、今回は嫌がらせに遭い、打ちのめされそうになりながらも、立ち上がって正義を貫く弁護士を演じ切っており素晴らしかった。
いま見るべきアメリカのリアル黒人差別
黒い司法MOVIX三郷にて鑑賞マイケルBJがかっこよすぎてパンフ購入。
好きなタイプの作品だった。
人種差別の根強い社会、、本当怖い、、。生きる希望も持てない。でもこれが差別の現状を知る良い題材だと思った。死刑執行(電気椅子は特に衝撃)のシーンや不当に逮捕されるシーンを見てすごく胸が痛くなる。
監督の前作ショートタームも好きだったのですごい、満足
観賞後の余韻がすごく残ります。それにしてもアメリカの実話の話はすばらしい映画が多い印象(リチャードジュエルなど)
映画としてはもうひと超え欲しかった。
事実に基く物語、それも社会派の感動作にケチをつける様で気が引けるのだが、正直なところ「新味に欠けるなぁ…」と。
相変わらずご丁寧にサブタイトルで結末は自明。もうホントにやめませんか。『JUST MERCY』で十分では?
もちろん起きている事は確かに残酷ではあるし象徴的。電気イスでの処刑に絡むシーンなんかも印象的ではある。
裁判で証人が偽証を認めたのに判決が変わらないという事態になっても、ブライアンに「でも、私は真実を手に入れた。もういつだって笑って逝ける」と言うウォルターにはグッと来たし、最高裁で無罪判決となったシーンには感涙した。
だけど、この街、また黒人社会そのものが瀕している事態についてはかなりマイルドに描いている感じがした。
ウォルターの家族だって、ホントはもっともっともっと苦しんでいたはずなんだ。
さらに、判決が覆るのもごく少数の白人の「良心」頼み。
実話をどれだけ脚色するかの是非はあるんだろうけど、個人的には「いやいや、現実はそんなレベルじゃないだろ」と思うし、それがあればもっと映画としてのラストはカタルシスがあったと思う。
現代においてもなお、肌の色で差別され続ける人々の苦悩とその為に戦う若者の姿を描くというこの作品のテーマそのものはしっかり伝わる良い映画。
あとは好みの問題、かな。
【あらゆる差別、偏見思想をぶち壊せ!世界の現状に鋭い警鐘を鳴らす作品。メインキャストを演じた俳優達の抑制した演技が、直面する深刻さ、怖さを浮き彫りにした作品でもある。】
舞台は人種差別思想が色濃く残る1980年代、アラバマ州の田舎街。
ブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は"北"から来た若き弁護士。ある理想を実現させるためにやって来た。
が、彼とその仲間達(エバ:ブリー・ラーソンetc.)が直面したのは、この地に根強く残る”風土”。
検察がでっち上げた"死刑囚"ウォルター(ジェイミー・フォックス)の無実を長年かけて晴らす過程には唸らされるし、結果には喝采する。
(若い白人警官のブライアン達に対する接し方がどんどん変わっていく所をさり気無く写し込んでいるのも良い。)
が、 現在でも、世界各地に蔓延る事象を考えると、暗澹たる気持ちになる。
検察官が、ウォルターを殺人犯に仕立てた手口が、巧妙で汚い。
所謂、司法取引というモノだ。マイヤーズ(ティム・ブレイク・ネルソン)に巧妙に圧力をかけながら、嘘の言葉を言わせたことが明らかになる件など、どこでもやっているのではないか?と思わせる程である。
ブライアン達が執念でマイヤーズの嘘を暴いた決定的な証拠を提出したにも関わらず、そしてマイヤーズ自身が嘘を言った事を認めたにも関わらず、裁判官(男性)は、ウォルターの死刑判決を覆さない。
それでも、ブライアンは諦めない。
検察の”冤罪ドキュメンタリー”を作り、検察を追い込んでいく・・。
そして、検察側が裁判で取った判断。(この時の裁判長は女性・・)
日本でも検察の控訴断念事例は枚挙に暇がない。そして、その多くは偏見に起因しているのは皆が知っている事。
(戦前、終戦直後は知的障がい者がターゲットにされた・・)
アメリカでも国を統べる唾棄すべき人物の不寛容な思想に基づいた愚かしき政策の数々。
日本国は大丈夫か?
〈今作品の原題は”ジャスト・マーシー”。
相手を敵対視するのではなく、慈悲の心で包み込む姿勢が、現代社会の風潮を変える第一歩だと、私は思いたい。
鋭い警鐘を私達に鳴らす、素晴らしい作品である。
今作品を制作し、上映に漕ぎつけた方々の執念に敬意を表します。〉
とてもよかった
明確な冤罪がそのまま通ってしまうのは恐ろしいことだ。それと同様に真犯人が野放しにされたまま放置もひどい。てっきり真犯人が白人の上級民で、それを伏せるための冤罪なのかと思ったらそうでもないようで、単なる職務の怠慢なのもひどい。有力者に対して勇敢に立ち向かう人は素晴らしい。
強い信念と希望を捨てずに
ワーナー・ブラザース試写室にて試写鑑賞。
とても見やすく、理解しやすく、そして共感し、まさに作品に支配されてしまった。
話の軸はM.B.ジョーダン演じる弁護士ブライアンとJ.フォックス演じる無罪の囚人マクミリアンのエピソードとなる。
およそ30年前にアラバマで起きた殺人事件。無罪を主張するマクミリアンに対して十分な証拠もなく、囚人のデタラメな証言で殺人犯に仕立てあげられ、死刑になるのだから恐ろしく思う。
それもたった30年前までこの州では頻繁に起きていたというのだ。
ストーリーとしてはきちんとマクミリアンの無罪が認められるから安心して見られる。
最後は検察側にもブライアンの真実の声が届き無罪を認めるから見ていてスッキリする。
この作品は冤罪を無罪にするだけではなく、ブライアンの強い信念、決して希望を捨てない姿になにより心を打たれた。
日本に住む自分にとって、冤罪により迫害を受けるという恐怖はゼロじゃないにしてもなかなか想像はつかない。
ただ社会に出ると、自分の正義や真実を否定され、時に悪や嘘が正義、事実としてまかり通る時は少なからず誰しもが経験はある事ではないか。
この作品を見てると仕方ないと受け止め流すのではなく、強い信念と明るい希望を常に持ち続ける事が大切なんだと改めて感じた。
被害者のマクミリアンも劇中で、事実でない事を言われ続け生きているとそれが真実と思い込み生きる希望を失ったと語ってたシーンがあった。
自分の中の正義や真実を失った時人は死んでしまうんだと改めて感じさせられる。
ブライアンは数多くの冤罪者、必要な法的擁護を得られなかった囚人を援助してきたわけだからあくまでマクミリアンは数多くの一部に過ぎない。
横の房のレイも30年の時を経て自由を得たことを最後に知ることもできた。
この作品を通してアメリカで起きてた差別の事実を知る事ができ、同時に自分自身の生活、生きることに対して、改めて希望をもたらせてくれる。そんな作品だった。
邦題は = No Mercy
警察の検問。保安官が職質する前に主人公は既に車のホイールに手を置いて無防備・無抵抗であることを示している...しかも細部にわたり指を広げて何もない事を、しかし
いつも通りの黒人に対する仕打ち、見ている者に憤りを感じさせる映画の掴みには最高なものとなっている。
ロースクールを卒業した主人公のブライアン、彼に対し母親は…
I know you got your law degree now,
and you think you're grown,
but you're still my child.
And I'm the one that has to deal with your funeral arrangements
if you get killed down there.
ここでちょっと、”you're still my child.” というフレーズ...幾度となく外国映画の世界では聞いたことがあるけどテレビドラマを除いて一般の日本の家庭で表立って聞いたことが今まであったろうか?しかも大の大人になって...この会話がこれから彼が人生をかけて挑まなければならない裁判へと駆り立てる前触れとなっている。
十代の女性殺しの容疑で収監され死刑がまじかに迫り、精神のはけ口を失ったウォルター....彼のピジン英語が弁護を引き受けるブライアンに対しても寄せ付けない。
You're rich boy from Harvard,
you don't what it is down here.
この言葉より戦う勇気さえウォルターはそぎ落とされている。しかも映画のプロットは、弁護士ブライアンの苦闘が分かり易く描かれていて協力者のエバの家族にかかる脅迫電話であったり、確実な目撃者証言を得ても証言者の過去を利用して諦めさせることを警察も関与をしているように描いている...その姑息さが見ているこっちも保安官・警官・検事にムカツキ...この野郎!って・・・
Johnny D is old,
Herb, you more ancient.
その上、戦争の影響でPTSDを発症し、言葉をまともに話せない死刑囚ハーブ。自分の気持ちをはっきりと言葉に表せない彼の素朴すぎるほど素朴な極刑のシーン・・・・・!
そして終盤になると足元を完全にすくわれる弁護側....一体全体、アラバマの司法はどうなっているのか?.....なんてかなり感情移入をしてしまっている。ウォルターの言葉が蘇る....
You know how many people been freed from Alabama death row?
”None.”
先日鑑賞する機会のあったタランティーノ監督の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」…登場人物のチャールズ・マンソン。このチビが・・・失礼、死刑制度を復活させた人物だと思っているけど、そのカリフォルニア州の知事が、死刑執行の一時停止書に署名している。全米一の死刑囚その数730人以上・・・アラバマ州は全米一の死刑執行数のテキサス州には負けていても一人当たりの人口に占める割合は、全米一...その意味は
カリフォルニア州が死刑執行制度を停止した理由?この映画を見れば回答が分かります。
映画解説の通り、ノンフィクション部門で賞を獲得している”Just Mercy: A Story of Justice and Redemption” 2014年出版の作品を原作にしていて、具体的に言うと主人公のブライアン・スティーブンソン本人のお話で、近年、発行部数が刑法の量刑に関する参考書のジャンルで上位を占めている。
ラストの結審...このシーンが個人的には印象に残る場面となっていて、後ろで喜ぶ黒人たちをしりめに傍聴席を占めている地元白人たちの顔や態度が....実際のところマイケル・ハーディング演じる地元保安官のテートがその後も保安官として再選を成し遂げ、定年の任期まで仕事を全うしている。
ひとりの少女の殺人事件。南部の多くを占めるプアホワイトの人たち、彼らのはけ口・ガス抜き的存在を維持してくれる社会とそれを支える保安官。反面その犠牲になる黒人と彼らの反発…の構図を考えるとユニバーサルリサイクルのシンボルのようなメビウスの輪のようにあらぬ方向から見ると蒙昧な者にとっては混乱を導くだけの....そんな映画になってしまっている…でも一般の視聴者にお勧めの社会派ドラマということに間違いがない…この人ジェイミー・フォックスの冗談かよ?と思えるほどの過去における ”黒人至上主義” 的発言などを含め混乱中の卑怯者は映画の評価は自ずと☆3になってしまう。
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