劇場公開日 2020年2月28日

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「日本の司法制度もクソだけど、米国もクソだな」黒い司法 0%からの奇跡 みっくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0日本の司法制度もクソだけど、米国もクソだな

2020年3月9日
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本作の「悪役」は保安官と検事だろう。
どちらも選挙で選ばれる。
だから地元民のウケの良い選択肢を選びがちになる。

本作で言えば、黒人に罪を被せる、ということ。
それがどれだけ客観的に見て、あり得ないだろうが関係ない。
そういう意味で、保安官と検事の2者は「共犯」関係にある。

日頃、日本のニュースを見ていると、日本の司法制度はクソだな、とつくづく思う。最近だとゴーン氏の事件とかね。
(具体的に言えば「人質司法」とか「自白偏重」とか「取り調べに弁護士立ち会い不可」とか「証拠品の弁護側への開示が義務になってない」などなど)
それに比べれば、米国はいくぶんマシだと思っていたが、
米国は本件のような人種差別、「経済的格差」「左右の政治的断絶」の全てが、米国の司法制度を蝕んでいる。
だから、どっちの国の制度がクソだとは言えない。
味が違うだけで、どっちもクソだな。

本作の保安官は本件被告が無罪になった後も、6回も再選された。
(ラストで、保安官の再選は説明があったが、検事の方がないのはおかしい)
彼に投票した有権者の感覚は、
「本件でミスはしたとしても、リベラルな保安官なんてあり得ない」って感じなのでは。レイシストかどうかより、保守かリベラルか、それが問題だ。

この投票行動は、大統領選挙でも同じ。
だからこそ、トランプ氏が大統領の椅子に収まっているし、2020年の選挙でも再選されそうな勢い。

地味でテンションの低い映画ではあるが、テーマは深い。

みっく