「人間の愚かさと恐ろしさを改めて思い知らされました!」黒い司法 0%からの奇跡 しゅんすけさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の愚かさと恐ろしさを改めて思い知らされました!
まず1番衝撃だったことが、この話が実話を基にしており、しかもたった30年ほど前のごく最近の出来事を描いているということだ。
現在でも一部の人々による人種差別的な行動があることをニュースなどで知ってはいた。しかし、政府や組織的な差別は南北戦争ごろまでの話で、自分が生まれる以前の出来事だと思っていた。
しかし、この映画では1990年の前後を描いており、私自身が生まれたあとの最近の話であった。さらに劇中にも出てきたが、30年服役した後に、2015年にやっと無罪で釈放された事例もあるということに、ただただ衝撃を受けた。
昨年アカデミー賞の作品賞を受賞した『グリーンブック』でも人種差別を描いていたが、1962年と南北戦争真っ只中の人種差別を描いていた。
それだけに、今回の映画を見て、人間の愚かさと恐ろしさは本質的なモノで、今も昔も変わっていないのだと思い知らされてしまった。
自分たちとは異なる者に恐怖を抱き、その結果差別や迫害をしてしまう事は、人間の本質的な弱さによるものなのだろう。
一方で主人公のブライアンの様に正義を貫き、真実を求めて社会に立ち向かって行動できるのは、人間の本質的な強さなのだと思う。
どちらも人間的な本質であり、だからこそ自分自身が前者になっていないかという事を考えさせられた。
私たちの身の回りでも、多数派が善で、他の人とは違う考えを持つ人々を悪と捉える人が多い様に思う。
もっとたちが悪いのは名前や顔を隠しながら人を平気で傷つける行動を取ってしまう事で、これも人間の弱さの部分からくる行動なのだろう。
私自身も偏ったモノの見方ではなく、本質的な部分を捉えて、周りに流されないブライアンの様な強い人間になりたいと思った。
こういう映画こそ多くの人に観てもらいたい。そして、自分自身が白人側になっていないか、ブライアンと同じ立場になった時に同じ様に正義を貫けるのか第三者的に見つめ直して欲しい。
私自身ブライアンの様に振る舞える自信は正直ないが、もしブライアンが目の前にいたら応援して協力できる様な人間にはなりたいと思う。
偉そうな事は言えないが、そういう人が増えれば社会がもう少し優しくなるのではないかと思う。
俳優陣の演技も素晴らしかった。
無実の罪で死刑囚となったマクミリアン役を演じたジェイミーフォックスは、本当に色んな役をこなせる素晴らしい俳優だと思う。エンドロールで出てきたマクミリアン本人の写真を見た時に、そっくり過ぎて俳優としての力量の高さを実感した。
社会に立ち向かったブライアン役のマイケルBジョーダンはブラックパンサーの敵役(キルモンガー)で初めて見た。その時は主人公のブラックパンサーよりも存在感がありカッコイイなーと思っていたが、今回は嫌がらせに遭い、打ちのめされそうになりながらも、立ち上がって正義を貫く弁護士を演じ切っており素晴らしかった。