「ジョーカーではなくアーサーの物語」ジョーカー AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーカーではなくアーサーの物語
新作を見る前に復習。
しかし、あれ、ジョーカーってこんな感じだったっけ?
どうやら私の記憶はダークナイトのヒースレジャージョーカーの印象が色濃く残り、こちらのジョーカーの記憶はそこまで残っていなかったもよう。
可哀想なアーサーよりも、サイコパスなジョーカーの恐ろしさの方が、印象深かったからかもしれない。
きっと最初に見た時も思ったかもしれないけれど、ダークナイトのジョーカーとこちらのジョーカーは別物だ。
思いつく世の中の不幸をかき集めて、ぶつけられたかのような生い立ちと毎日を過ごしていたアーサー。
抜け出したくても抜け出せない日々で、もがき続ける彼の姿を演じるホアキンが壮絶すぎた。表情や目線ひとつで、彼の不安定な心を見事に表していたし、彼が心から面白いと思って笑う笑いと、笑いたくもないのに笑う笑いの演じ分けがすごくて、だんだんホアキンはこの撮影中病まなかった心配になってしまうレベル。
最後のシーンは、ヴィランが誕生したにもかかわらず、神々しくどこか自由で、今彼はこの世に生まれ落ちたかのような演出はとても好きだった。
ほぼ作中の8割は暗く惨めで、気分が落ちている時に見ると持っていかれそうになる人もいると思う。
ダークナイトのジョーカーを期待していると、こんな過去なら知りたくなかったと思う人もいるはず。
私は猛烈にダークナイトを見直したくなった。
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