「痛快(痛烈)な社会風刺作品。」ジョーカー m@yu-chan-nelさんの映画レビュー(感想・評価)
痛快(痛烈)な社会風刺作品。
毎日毎日、早出だー残業だーと忙しく…劇場に行く元気もないので、Amazonでレンタルして観ましたが、観終わった直後の余韻が半端なかった…。
そもそも誕生秘話と思って観ていたら、「え?そうでもないの?」と思う様な内容で、ジョーカーに1本取られた〜(笑)!なんて気分に(笑)。
ただ、この作品を観た人と感想を語り合ったら…やっぱり観る人によって、かなり捉え方が違うんだなーと。
ただ思うのが、このジョーカーってかなり人間味があるなって(笑)。殺す人を選ぶとか、「津山三十人殺し」と重なった。
内容も、ゴッサムシティの荒んだ街もそのままに、金持ち風情(←こう言ってる時点で自分はジョーカー側の人間なんだなと認識(笑))や下層階の人達との差、ジョーカーが劇中 観ていた「モダンタイムス」に象徴される社会風刺。夢や希望もなく ただただ社会の歯車として生きて行く世の中。
そこに現れたアーサーに、虐げられてきた者達が、皆 自分を重ね合わせ 彼をヒーローに担ぎ上げる。
面白いのが、彼の妄想の世界と 恐らく現実で起きていることが交差するのだけど、暴動が起きた最中、ウェイン夫妻が暴徒に射殺されるシーンに、ジョーカーがウェイン夫妻を射殺するシーンが繰り返され、ここで“バットマン VS ジョーカー”の構図が出来上がってるのが面白かったかな。
だって、実際は ウェイン夫妻は暴徒に射殺されたのであって、直接ジョーカーに殺された訳じゃないんだから(間接的に殺したと言えば そうなんだけど(笑))。
だけど、母を苦しめたコイツを葬ってやった達成感みたいなものの現れだったのかな。
そしてラストのシーン。
ここで、今まで私達が観させられて来た2時間は、実はジョーカーが創り出した“虚構の世界”だと気付かされる。
これはヤラれたな(笑)と。
だけど、それすらもフィクションなのかと“?”だらけ(笑)。
ジョーカーの掴み所のないキャラに翻弄され苦笑いしか浮かばない(笑)。
このジョーカーに、何故か物凄く共感してしまうのは、この作品を観ることで 普段押さえ込んでいる鬱憤を開放し、社会でのバランスを上手く保つことが出来るからじゃないかなと思った。
そう、だから ジョーカーは社会を映し出す鏡なんだよ。みんな見て!
そしてなんと言っても この作品中のジョーカーの衣装が凄く良かった!ホアキン・フェニックスの演技(ジョーカーの立ち居振る舞い)も素晴らしく 凄い役者さんだしカッコイイなー!っと。
それと、アーサーの母親役を演じた フランセス・コンロイって、本当にこういうバカ親(言い方は悪いけど)が良く似合う女優さんですよね(笑)。
「アメリカン・ホラー・ストーリー」然り。