「バットマンのスピンオフと思って、観に行くと痛い目に遭う。」ジョーカー モトイさんの映画レビュー(感想・評価)
バットマンのスピンオフと思って、観に行くと痛い目に遭う。
物語は確かにバットマンの宿敵、ジョーカーの誕生秘話ではあるのだが、どちらかと言うと社会の負け組が如何にして、悪の権化へと変貌を遂げる見方が正しい。まず最初に目を惹いたのが、「タクシードライバー」「狼よさらば」「地獄の黙示録」「カッコーの巣の上で」など、様々な映画のオマージュにはニヤリとさせられた。特に、ロバート・デ・ニーロが司会を務めるトークショーは、まんま「キングオブコメディ」。ホワキン·フェニックス演じるアーサは、そのトークショーに出演するのを夢見るコメディアン役で、立場が逆転したのも興味深い。
さらに注目するならば、格差社会が引き起こす悲劇。ここでは上流階級が悪役扱いされ、あのブルース·ウェインの父親でさえ、アーサーに暴力を振るう。ジョーカーを崇拝し、ゴッサムシティに暴動が起こるのを見て、今の香港を彷彿したくなるが、この作品を現代社会の暗喩ではないかと思うのは、深読みのしすぎだろうか。
コメントする