「誰の心にも彼がいる」ジョーカー しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
誰の心にも彼がいる
ジョーカー・シリーズ第1作。
第79回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。
IMAXで鑑賞(字幕)。
原作コミックは未読。
とてつもない痛み。迫り来る狂騒。…
「人生は喜劇だ!」とうそぶき、笑いの仮面を被った平凡な男は、狂気に満ちた悪のカリスマへと変貌を遂げていく。
ひとりの男が悪に堕ちる様をリアリティーたっぷりに描き、アメコミ映画の枠に留まらない圧巻の人間ドラマであった。
喉元にナイフを突きつけるかのように、現代社会の病巣を鋭く抉っている。今の時代は何かと窮屈で生き辛い。社会不安はそのまま人々の不安となって世情が乱れていく。
アーサー・フレックが直面する出来事は誰にでも降り掛かって来る可能性のあるものばかりではないかなと思った。
社会の暗黒面がこれでもかとアーサーを追い詰める。拠り所だった母親にも裏切られ、絶望した心に醸成される狂気。
やがて、常に口許に笑みを湛えた悪のピエロが誕生することに。階段を踊りながら降りるシーンがとても神々しかった。
彼を狂わせた不条理な社会は現実とも陸続きで、だからこそ身に摘まされたり、心を痛めたりすることが出来る。
ふとした瞬間、彼の痛みに共感してしまう。つまり私の中にもジョーカーの因子が潜んでいるのだとハッとさせられた。
ホアキン・フェニックスの渾身の演技に魅せられた。とにかく役づくりの徹底がすごい。あの痩せ具合と言ったらない。
絶望と狂気の淵に立ち、悪へ変貌していく男を文字通り鬼気迫る熱演で表現していて、終始鳥肌が立ちっぱなしだった。
ピエロのメイクに隠された闇は底無しで、彼をつくり上げた事柄の罪のなんと重いことか。それがひしひしと伝わる名演である。血を塗り広げて笑みをつくる場面がヤバい。
観る者に全てを委ね、「おいおい、マジか、まさかの…?」などんでん返しを彷彿とさせるラストシーンも秀逸だった。夢であれ現であれ、彼の狂気の舞踏は果てしなく続く。
[追記(2020/02/10)]
アカデミー賞主演男優賞受賞。おめでとうございます。
この受賞は言わずもがな。彼以外に誰が獲る!?(笑)。
※修正(2024/10/19)
syu32氏🙇お疲れ様です✨
今日は、心斎橋BIGステップのシネマートで、「ジョーカー」同様に昨年見逃した「アイリッシュマン」観て来ます🔫
…塚口サンサンでチラシ大量に頂いて来ました…「燃えよ剣」とか「Fukushima50」とか…私的には10日からの「ニューシネマ・パラダイス」行く予定です🎥
syu32氏🙇明けましておめでとうございます🎉今年も宜しくお願いします🙏
やっと観に行けました😰…劇場はあの、塚口サンサンです✨…年始から、過去の名作1週間上映って企画良さげですよ。「資金源強奪」とか「さらば青春の光」とか…お気になられたらサンサン劇場のホムペ見て下さいな…🎥