「何にもなれない君へ」ジョーカー たきさんの映画レビュー(感想・評価)
何にもなれない君へ
とても哀しい、辛い映画で、これがヒットして皆が共感している世界はとても辛い状況に来ていると思う。
二重のトラップがある映画だ。
一つは、誰しもアーサーのように悪に染まっていってしまうという不安に駆られることだ。
ただし悪に駆られて承認欲求を満たせることが、この映画において主人公の救いになり、一部の観客にとってのカタルシスになっている。
二つ目のトラップは、悪に染まることすら叶うことのない、全てが彼の妄想なのかもしれない、というラストの最悪のカタルシスすら否定する現実の残酷さだ。
妄想しているだけ。君の行動では何も変わりはしない。
バットマンになりたい?? 君らはお金がないから無理だね!
じゃあ、ジョーカーになろうか!!
君らはただの妄想好きの庶民で、ジョーカーになんかなれないよ! 面白いジョークだね!!!
じゃあ、僕らは何になれば良いのか。
コメントする