「「悪」というヒーロー」ジョーカー 金木研さんの映画レビュー(感想・評価)
「悪」というヒーロー
自分はこのレビューのタイトルのようなことをこの映画から感じ取れた。ゴッサムの不条理に押しつぶされながらも必死に耐え続けたアーサーは、ついには思いがけずに自分と似た境遇の人たちにとってのヒーロー的象徴となるのだった。まさしくそれは側からみれば「悪」以外の何者でもないのだが、映画の通り貧困層からすれば救世主と言わんばかりの狂信っぷりを感じた。これは現代社会にも投げかけられるような問題でもあり、今の社会の闇を暴きながらも作品として自立させ、さらにはそこに圧倒的な美を組み込ませたトッド監督には脱帽せざるを得ない。個人的には人生で指折りの作品であり、アメコミ映画でこれ以上の衝撃を与えるような作品は今後2度と出てこないだろう。テスト勉強を返上して見に行った甲斐がありました。
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