「エンターテイメント不幸」ジョーカー めるこさんの映画レビュー(感想・評価)
エンターテイメント不幸
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ジョーカーは、ジョーカーという人間ができあがるまでの話だとは聞いていた。
でも本当にただそれだけのような気がした。少し物足りないので☆3つ。
辛い幼少期の過去、精神的な病を抱えて、せっかく手にした仕事もクビ、家ではお母さんの介護。
序盤のどこに怒りをぶつけていいのかわからない状況のオンパレードは湊かなえの作品を見たときと似ている。
でもかわいそうな人間が狂った殺人鬼になったわけではない、ということがようやく終盤のコメディ番組にゲストとして出演するシーンで伝わってくる。
しっかりと施したメイクと衣装で番組に出て『ジョーカー』と名乗る彼は、いつしかノーメイクで舞台に立ったときのように笑いの発作はもうおきない。
軽やかなステップで道化に徹するところはどこか堂々としている。
アーサーが生きやすいように生きてみたら、行き着いた先がジョーカーだった。
喜劇も悲劇も主観、ならもっとポジティブにとらえられたらよかったのに、それができないのがジョーカーなのだろう。
そして、その彼のもつ妙な信念、徹底された狂気に私たちは惹き付けられてしまう。
ストーリーよりも、ゴッサムシティの街並みやアーサーの近所にあるらしい長い階段など、ひとつひとつのシーンがお洒落に作られていてそこだけはずっと楽しめた。
ホアキンの演技もherの時と同一人物とは思えない、凄みを感じた。
でもこれがそんなに賞賛されるような作品なのか、よくわからない。
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