「これはジョーカーの映画なのか?」ジョーカー サピエンスさんの映画レビュー(感想・評価)
これはジョーカーの映画なのか?
クリックして本文を読む
すべてを改めて反芻すればするほど、この映画はすべてが妄想で、ラストのホワイトルームのみが現実なのだと解釈する。そう考えると、この映画はジョーカーの映画ではないとも言える。これはアーサーという妄想癖のある精神異常者の話でしかないという、おそろしい結末なのではないか。
アーサーという、映画、アメコミ、お笑いが好きなサブカル精神異常者が、自分がジョーカーになりきって悪のヒーローとして生まれ変わることを妄想しているという、ただそれだけの話なのではないか。
そして、「良いジョークを思いついた」という台詞は、トッド・フィリップス自身の言葉をも代弁しているのではないかと。つまり、「良いジョーク」=「いまやドル箱となったアメコミ映画の顔した、ただの異常者の話を映画化すること」なのではないか。
この映画が製作され、アメコミ映画としてヒットしていることも含め、壮大なジョークとしての作品なのではと考える。アートシーンでいうバンクシーのようなトリッキーなプロジェクトであり、このことは『容疑者、ホアキン・フェニックス』にも通じる。
頭のいかれた妄想癖のアーサーは、トッド・フィリップ自身でもあり、とんでもないジョークをやってのけたのではないか。
コメントする