「盗人にも三分の理」ジョーカー かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
盗人にも三分の理
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家族に高笑いをしたり叫んだりする障害者がいる。
虐待でそうなったわけではないのはこの映画とは違うが。
血を分けた家族といえどもその異常性に嫌悪感を覚えないわけではない。いくら病気のせいだとわかっていても。増してそのような近親者がいない人々に「やさしくして」と言っても期待はできないだろう。
主人公が憤りを膨らませる描写は特筆すべきところである。だが、そこから殺人に罪悪ではなく高揚を感じたというのは短絡的すぎる。やはりアーレントが述べたように「根源的な悪」とは存在しないのだろうか。とくにフィクションでもあるし。好まれない性質を生まれ持った者が笑いとともに押しつぶしている涙がどんなものか、それを知るには家族といるほうがいいようだ。
悪くもないが、オスカー云々と騒ぐほどアカデミックなできとは思えない。
サジー・ビーツが彼を慰めなかったのがよくわからなかったが、恋人になったのは妄想の中だったとパンフレットをみて知った。なるほど、うまくいきすぎだし。そのあとどうしたか、おそらく殺したシーンがあったんだろうけどカットされたか。
最後に閉鎖病棟で面接していたが、結局今までのは全部妄想だったか。まあ、どっちでも構わない内容だけれど。
格差問題だったり、あと、銃規制などの社会問題を盛り込みたかったのか、たまたまなのか。ハリウッドのお説教くさい政治メッセージは遠慮したい。オスカー狙いならなおさら。
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