「スラム街のヒーロー」ジョーカー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
スラム街のヒーロー
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バットマンの宿敵・ジョーカー誕生までの哀愁漂うストーリー。これまでのアメコミ映画とは一線を画し、スラム街の暗い現実に視点を当てた、ヒューマンタッチの社会派ドラマに仕上げています。
ベネチア金獅子賞もうなずけるし、ジョーカー役のホアキン・フェニックスの不合理な社会への怒りと憎悪に満ちた演技は、鬼気迫るものがあり、早くもオスカー候補の大本命とか…。
ジョーカーはキャラクター的にも、主役のバットマンを喰ってしまうほどの存在感を示してきた悪脇役。これまでジャック・ニコルソンをはじめ、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトーなど、名だたる名俳優が演じたきた経緯もありましたが、その後を継ぐホアキンも、その重責を十分に果たしていたと思います。
今までも、ジョーカーには悪役ながらも、どこか憎めない人間臭さを感じたていたのですが、本作を通して、信じていた人からの裏切り、格差社会の底辺を生きてきた悲哀、などが根底にあることが明らかになり、そうしたキャラも納得しました。
そして、ウェイン家との因縁やバットマンシリーズの最初に繋がる場面も盛り込まれ、バットマンへのオマージュも忘れていないところが、嬉しかった。
最後に、死んだと思ったジョーカーが、スラム街の人々のヒーローとなって、再び立ち上がる場面は、ジーザス・クラスイスト・スーパースターを彷彿とさせる名場面だった。
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