「ジョーカーの喜劇的妄想が現実を侵食する恐怖と悲哀」ジョーカー AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーカーの喜劇的妄想が現実を侵食する恐怖と悲哀
「ハングオーバー」3部作のトッド・フィリップス、喜劇畑の職人監督という認識だったが、アメコミのヴィランを題材に、これほど深い人間洞察と確かな時代性とトリッキーな作劇を融合させた心理サスペンスを完成させるとは!
精神障害を持つ無名コメディアンが、ゴッサム市を恐怖と混乱に陥れるジョーカーになるまでを描く。彼が憧れる喜劇人役にロバート・デ・ニーロ。監督は「タクシードライバー」「キング・オブ・コメディ」の影響を公言しており、2作を鑑賞済みなら気づく点も多い。実在の連続殺人犯ジョン・ゲイシー(幼少から障害に苦しみ、成人後に道化師の装いで大勢を殺害)の影響も。
序盤でアーサーの妄想癖が提示される。最初は明示的だが、次第に妄想と現実が曖昧に。その過程はまるで彼の狂気が映画の現実(と観客)を侵食していくかのよう。終盤の暴動は格差社会で虐げられた人々の下剋上であり、トランプの時代に重なって映る。
上のコメントで偶然が重なってどうとか、バットマンファンが見たいのはこれじゃないとか言ってる人達はガチで映画見直した方がいい。
別の視点で見れば満足のいく答えにたどり着けるはず。
ジョーカーの誕生秘話なんて描かなくてもいいって思ってる人も
バットマンの話に沿ってるいるが、バットマンではない映画。そこを分からないとは。いや、そこらへんを分からない人多いのかもしれない。観ていて思ったよ、この映画は物事をいろんな観点から客観的に捉えられる人にしか理解できない映画だろうなと。映画を観てるのかも分からなくなるとても複雑な作品だと思うよ。
バットマンファンとして見ると楽しめない作品なのは頷ける。ジョーカーのラベルを付けた社会派ドラマとしてなら傑作だと感じました。レッテル付けないと作品を評価出来ない人はもったいない。それだけバットマンが好きなのでしょうが。
アーサーが初めてネタを披露した場所は、pogo’sなんたらってお店でした。ジョン・ゲイシーが名乗ってた芸名はポゴだったので、作者自身かなり影響は受けているでしょうね。