「もったいなかった」薄暮 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
もったいなかった
東北・いわきにいる少女を描き、震災から日常に戻りつつある現在を、郷愁に満ちた情景とともに表わそうとする意図はわかる……
だが、震災について、夢のシーン以外にはセリフだけ。
震災がトラウマになっている描写が希薄。
少女の細やかな心理状態を表現するなら、演出としての見せ方、それに比例した原動画の演技と動きが必要だと思うんですよね。
作監&キャラデザインの近岡直さんも実力あるし、原画に平松禎史さんをはじめ、実力派が名を連ねているし、決して下手なわけじゃない。
なのに、ガタつき感。
全体的に、低予算、スケジュールが足りないで、間に合わせたような粗い印象。
頰の赤みや涙など記号的表現に終始し。
モノローグを多用しすぎてCDドラマっぽい心情説明セリフ過多も、私には苦手なタイプ。
また、女の子の描き方が、男性から見た偏見を感じてしまい、うまく話に入りこめませんでした。
生理のことを口にしたり、全裸で眠るシーンなどの必然性を感じず。
結果、ストレートすぎてひねりなく、薄っぺらな「普通さ」「凡庸さ」に、必要なのかわからないサービスカット入り、ってな不自然さを感じてしまいました。
クオリティとスケジュールを管理できる体制があれば、よい作品になった可能性が高く、「もったいない」って印象でしたね。
監督は、原作総監督としてドーンと構えて、他に脚本演出をたてればよかったのになぁ、と思いました。
特に脚本に女性が入れば、もっと質は上がったと思います。
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