アガサ・クリスティー ねじれた家のレビュー・感想・評価
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何ーー?!と驚く
横溝正史もそうだけど、因果関係のある登場人物がやたら多い作品は嫌い。小説を読むなら、人物相関図を書きながら読めば問題ないけど、一本の映画作品ともなると頭が混乱しそうになる。「この人は大伯母よ」などと言われると、えーっと、つまりおじいさんの姉君?などと、そこでつまづいてしまう頭の弱さを嘆く・・・伯母と叔母の違いも頭の中で整理してしまうのも原因だ。
登場する私立探偵はチャールズ・ヘイワード。マックス・アイアンズというイケメン俳優が演じていて、見事な8頭身だなぁ~と感心したり、遺言書のない法定相続が第一夫人がすべてを相続するといったイギリスの法律にもナニー?と疑問を持ったりするため、ストーリーにも置いてけぼりにされそうになる悲しさ。
そうして大邸宅の雰囲気だけを楽しんで、インタビューによって家族・親族の人間関係も明かされていくのですが、二人の息子たちが意外と遺産をアテにしてなかったり、新しい妻やロッケンローラの青年もかなり自由な心を持っていたことが面白い。金よりも愛と憎悪。歪んだ性格も亡き祖父の厳格さに起因するものが多かったのだ。
古めかしい大邸宅の中も白で統一された部屋とかピンクでエロチックな部屋とかがあったり、ソフィアとチャールズの過去の恋愛とか、なんだか推理小説よりも家を中心とした恋愛物語のような気がした。最後は衝撃的でよかったし、グレン・クローズも安定のグッジョブ!
【”抑圧された情念”を持つ人々が広大な屋敷で”育んでしまったモノ”・・。】
”この家に住む人たちは”抑圧された情念”を持つ人々なの・・”と、イーディス・デ・ハヴィランド(レディ・イージス:グレン・クローズ)は言う。
(詳しくは述べられないが、不審死を遂げたアリスティッド・レオニデス(一台で財を成した高圧的な富豪)亡きあと、レオニデス家を高所大所から見ている人物:アリスティッド・レオニデスの前妻の姉。)
- 今作が勿体ないのは、レオニデス家に住まう人々の関係性の描き方が上手く機能していないところである・・。-
故アリスティッド・レオニデスからその聡明さを見込まれていたソフィア(アリスティッドの孫)は、私立探偵家業のチャールズ・ヘイワード(マックス・アイアンズ:かつてのソフィアの恋人、というかカイロに留学か何かで行っていたソフィアの監視役だった(元CIA):今作、そこらへんの描き方も曖昧・・・)に警察の捜査が入り、世間に醜聞が流れる前での解決を依頼する・・。
まあ、このレオニデス家の息子達を含めた多くの人々が、”虚栄心” ”嫉妬” ”猜疑心” ”無品性” を持ち合わせた人々であることが劇中”中途半端に”描かれる。
そして、彼らの関係性がコレマタ”中途半端”に描かれる。
(もうちょっと、ちゃんと描いておくれよ・・。原作を読んでいるから付いて行けるんだよ・・。)と思いながら、鑑賞続行。
ー 肝心のイーディス・デ・ハヴィランド(グレン・クローズ)が劇中、レオデニス家の広大な庭を荒らす、土中の”モグラ”を撃ちまくるシーンは”成程・・”と思いながら鑑賞する。ー
そして、悲劇的なシーンの後の”アリスティッド・レオニデス”の自画像のアップ・・・。
(”犬神家の一族”かな?)
<今作の原作は”アガサご自慢の一品”であるが、(伝承:私はそこまでかなあ・・というのが率直な感想。)
何故に、”オリエント急行殺人事件”は近年の、サー・ケネス・ブラナーがリメイクした作を含めて人々に愛されているのか、
”ナイルに死す”も”ナイル殺人事件”として何故に愛されたのか を”イギリスネット配信版”として作成されたとはいえ(他意はないです・・・)製作に携わった方々には考えて頂きたい作品。
フォローになっていないかもしれないが、作品内の調度品、意匠、役者さん達の演技は見応えがありました・・。>
原作は子供の頃に読んだのでほぼ忘れていた。
アガサ・クリスティの上品な世界観…
レオニデス家の一族
アガサ・クリスティー自ら「最高傑作」と語った小説を映画化。
劇場公開時ひっそりと公開されひっそりと終わり何の話題にもならなかったが、話の面白さと“アガサ・ミステリー”に興味惹かれ、ちょっと気になってた作品。
第二次大戦直後のイギリス。大富豪レオニデスが死去。
若い私立探偵チャールズは、レオニデスの孫娘ソフィアから依頼を受ける。祖父は毒殺された、と。チャールズとソフィアは元恋人同士でもあった。
調査の為、門をくぐる…。
大伯母。
若い後妻。
長男夫婦。
次男夫婦。
長男夫婦の三姉弟妹。
ナニー。
若い家庭教師。
大屋敷で一緒に暮らす“華麗なる一族”は決まって問題あり。
一族を取り仕切る大伯母には何処か威圧される。(さすがのグレン・クローズ!)
悲観に暮れる後妻には愛人の影が。
傲慢な長男と女優の妻は金が欲しい。
会社を任されている次男は経営に失敗。
まだ幼いながらも、賢い末の妹にはたじたじ。
ナニーはやたらと口うるさい。
主亡き後チャールズも招いて、初めての全員集まった夕食シーン。
顔を合わせれば、嫌味や皮肉の口擊。
家族の温もりなど微塵もナシ。
巨額の遺産を巡り、愛憎、嫉妬、冷酷、見栄、虚栄、各々の思惑と強欲がドス黒く渦を巻く。
皆、怪しい。動機も疑わしさもある。依頼してきたソフィアさえも。
まさしく、歪みねじれた一族。
派手さは皆無。トリッキーな仕掛けも展開も無い。
が、王道タイプのミステリーで、飽きずにじっくりと見れる。
クラシカルな作風や屋敷の美術も雰囲気を盛り上げる。
小品だが、面白さは上々。
レオニデス毒殺の第一の殺人、そして第二の殺人…。
遂に判明した犯人。それは余りにも衝撃…。
その犯人を終わらす為、ある人物が…。まさかの結末…。
この一族は呪われているのか…?
それとも全て、主の念に操られ、翻弄されているのか…?
悲劇のレオニデス家の一族。
まったりした展開で…❗
さすがグレングロース。
アガサ・クリスティのミステリー作品ねじれた家を観てきた。まず、この作品の評価は何故3点にしたか。一つは海外ドラマ風の演出、もう一つは脇役の存在不足。ここで評価を下げた。しかし、この作品の物足りなさを全て補っているのがグレングロースの演技。ベテランで何度もアカデミー賞出演女優候補に選ばれただけある
のも納得。海外ドラマ風のタッチもグレングロースの味のある演技がカバーした。これだけでも観る価値はあった。エンディングのグレングロースのカーチェイスの演技には脱帽。参りました。
はて?
予想外の展開
Old wine in old bottle.
衝撃的すぎる結末!
アガサ・クリスティの作品だけどイギリス人でも"知らない"と言う人がいるほどあまり知られていない作品らしいので期待せず見たのですが、良い方に裏切られました。次々に登場する人物は全員怪しい・・と見せかけて最後は「えーーっ?!マジ??」という結末。見事に騙されました(笑) ケネス・ブラナーやジョニデ、ジュディ・デンチなど豪華超有名俳優を多数揃えたオリエント急行殺人事件と比べてそこまで豪華ではない出演者で映画化された本作ですが、私はこちらの方が断然楽しめました。(むしろオリエント~の方が途中冗長で退屈でした) TVCMも見なかったし上映映画館数も圧倒的に少なく評価もあまり良くないのが不思議&残念です。115分トータルの感想が"グレン・クローズ" "探偵"など木を見て森を見ず的なコメントを読んでこの映画を見るのをやめる人が多くいるとしたら実にもったいない!やたらグレン・クローズばかり絶賛されてますが他の俳優陣も悪くないですよ。名優1人だけの力で良い作品にはならないと思います。粗捜しは止めてストーリーを素直に楽しんでほしい。
歪みは悪か
多くの推理小説が俳優を入れ替え定期的に映像化される中で、本作は良い出来だと思いました。淡々としがちな話を「観て」いられるのは、やはり役者によるところが大きいと思います。
随分評価が低いので鑑賞を迷いましたが、俳優陣のレベルからして映画としても耐えうるのではないかと。
非難の裏にある感情は何か。
返されない愛情、失恋、過度な期待。
消してしまいたいくすぶる不満。
愛しているからこそ選ぶ別離と破滅の道。
歳を重ねる毎に、想いとは裏腹の行動を取ってしまう素直でない大人達。
…悪口を言っているだけだったのに。
換気の悪い屋敷に蔓延する歪みが、真っ直ぐな魂に降り注いだ結果生じた不幸、そして非常時の度に発動される気高く深い愛情は、想いの強度を行動に反映させた時の恐ろしさを露わにし、言霊が生みの人間達を追い込む深淵の闇に落ちそうになりました。
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