「誰も傷つけたくない。そう思うのは人間みたい?」ボーダー 二つの世界 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
誰も傷つけたくない。そう思うのは人間みたい?
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映画「ボーダー 二つの世界」(アリ・アッバシ監督)から。
久しぶりに、衝撃的な作品と出会った。
個人的な好き嫌い・・は抜きにして、インパクトが強く、
自分の固定観念を完璧に崩された、と言ってもいい。
何度も何度も「人間とは?」を考えさせられたし、
この作品を説明する言葉が見つからない。
「染色体異常」などに関する映画も、何作か観たが、
これほどの頭の中を掻きまわされた作品も珍しい。(汗)
「border」は「縁(ふち)・境目・国境」という意味だけど、
いろいろな角度から「境」を見る必要性を教わった。
「人間とみなされる人」と「人間としてみなされない人」の境は、
予想以上にハードルが高くて超えることは難しい。
彼らから見た人間の定義は、手厳しいことが台詞でもわかるし、
虐げられたその復讐に燃えているのもわかる。
「人(人間)と違うのは優れているってことだ」
「人間は我々を怖がる」「人間みたいに弱くない」
「人間は地球上の全てを自分のために使う寄生動物だ。
自らの子供すら利用する、すべての人間は存在自体が害毒だ」
「我々を苦しめた人間に復讐を」
「人間ならイカレてるが幸い僕はそうじゃない」など。
ただ救いだったのは、ラストにこんな会話が待っていた。
「人間でありたいのか?」
「誰も傷つけたくない。そう思うのは人間みたい?」
ものすごい映画を見てしまった気がする。
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