「タイトルなし(ネタバレ)」ボーダー 二つの世界 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
☆☆☆☆
(勝手な思い込みですが)
作品中に鹿が2回画面上に現れた。
始めの内に現れた鹿は【これから悪魔(神)が登場する】…との予告で。作品の後半、或る人物が殺される時に登場した鹿は【悪魔(神)がその正体を現した】…とゆう意味だったのかも知れない。
『ぼくのエリ200歳の少女』は、ヴァンパイヤに生まれてしまったが故の悲劇的な話でした。
そしてこの作品では。『ぼくの…』を超える衝撃的な話と、或る種族に関する話。
主人公の女性のティーナは、決して美人ではない。いや…はっきりと言って醜女だ!
彼女は、それを自ら自覚しており。その容姿から、威嚇する様に人を観察し。人間の心の邪悪な匂いを嗅ぎ分ける能力を持っている。
そのティーナにして、嗅ぎ分けきれない《男》が登場する。
何故、この《男》の匂いを彼女は嗅ぎ分けられなかったのか?
それは《男》が、ティーナと同じ【匂い】を放っていたからだった。
だから映画は、ティーナがこのヴォーレと名乗る男との仲が深まるにつれ。画面上に邪悪な空気感が充満し、より緊迫感を増して行く。
食虫を好み。その誘いに乗り、貪る様に求め合う2人。その姿は、まさに野獣と野獣。
しかも、出産に関する男女の関係が逆転する種族の様だったり…と。此方の予想を超えたストーリー展開・演出の凄さに驚きを隠せない。
ティーナは、児童ポルノ事件に関する事件に協力していた。
この辺りから。勝手にではあるものの、後半のストーリー展開を勝手に予想して観ていたので。或る1本の作品を意識していた。
『タクシー・ドライバー』
ご存知の様に、『タクシー・ドライバー』は。ベトナム戦争の後遺症が蔓延していたアメリカ社会の、闇の部分を炙り出した作品。
《その地獄から》デニーロ演じるトラヴィスが。ジョディー・フォスター演じる少女を、地獄=ハーヴェイ・カイテルから救い出す。
ティーナとヴォーレは。人間に滅ばされつつ、或る種族だからこそ。人間に対しての怒りの爆発から、『ぼくの…』の様な惨劇が起こるのだろう!…との予想。
ところが映画は、此方のそんな予想を遥かに飛び越える展開を見せる。
ヴォーレはティーナに、或る計画(…と言うか、野望)を語る。
まさに驚愕的なその事実。
ドラヴィスどころか。寧ろ、人肉こそ喰わないもののレクター博士か?とばかりの最後と衝撃だった。
何しろ…。
〝それ〟 は種族繁栄の為に、(おそらく)定期的に送られて来るのであろうから…。
本当に、観ている間は。マジでこの監督の頭の中をこじ開けて。一体全体どうゆう構造になっているのか?…と、見てみたくなってしまった(;´Д`A
2019年10月23日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1