「とてもえっち」魂のゆくえ Ana-phylaxisさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもえっち
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終始、陰鬱で重苦しい、環境汚染と権力による隠蔽という深刻な問題がテーマなのに、今までみたどの映画よりも官能的で倒錯的な作品。
これが、意図されたものなのか、意図せずキャストの妙で醸し出されているのか、絶妙なライン。でもきっと意図されている。タクシードライバーの脚本の人だから。
殺伐とした中にムードがある。
困惑が確信に変わるのは、「マジカルミステリーツアー」から。どんなベッドシーンより一番えっちです。
死を描けば生が際立つように、禁欲を描くことでえっちさが際立っている。
最後は、来るなというのに現れて計画を妨害したメアリーに自分でも不思議なくらいイライラした。それくらい感情移入していた。
でもどんなに大義名分を掲げても、テロが利己的であることに違いはないから、メアリーの存在によって自らのエゴと向き合わざるを得なくなり、中断→自罰行為というのは理解できる。本当に無私なら誰だって巻き込むべきでしょう。
ただ、部屋に現れたメアリーは本物なのか、幻想なのか。本物なら奇跡だ。関係者ですら入れない、施錠された部屋に突如、どこから?立っている場所もおかしい。突然ファーストネームで呼んだのはなぜ?
たくさんの疑問を押し流すほど、圧倒的に自然な欲求で終わるラスト。不自然に一箇所に堰き止めていた水が、決壊して流れ出したのを見るのと同じ。喩えのようで喩えになってないかもしれない。
幻想なのだとすれば、神父はもうこの世にはおらず、魂の欲するところに行き着いたということか。
どちらを望みますか?というのが、この映画の答えなのかもしれない。悲しいけれど。
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