「すっごく難しい作品であった。」魂のゆくえ 突貫小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
すっごく難しい作品であった。
本作品を、どのくらい正しく理解しているのだろうと、自問自答した。
まず、日頃から宗教に全く縁がない私としては、内容が難解かもしれないと不安になった。最後まで、寝ないで鑑賞できたのは、イーサンホークの演技が、段々熟してきたのではと感じたからだ。ポールシュレイダーの監督作品は、初めてである。作品を最後まで飽きることなき観られたのも、彼の脚本が優れていたからだろうか。それとも私自身が、全く作品を理解していなかったからだろうか。内容が重厚すぎる。
最初に、トラー牧師が、なぜ日記をつけることにしたのかで躓いた。それもパソコンを使わず直筆で。話がすすんでいくうちに、日記を破ってしまう行為が増えてくる。
礼拝に来ていたメアリーの夫マイケルが環境破壊や温暖化になりつつあるこの世の中に、メアリーが宿した子供を産んでよいものか悩む。環境活動家であるからそのような考えをもつのも珍しくはない。そんなマイケルも精神的に病んでいたのか自殺してしまう。彼の遺品から「自爆ベスト」出てきて、思わずゾッとする。環境活動家というものの存在に驚いた。そして、友人であるバルク会社から教会は、多額の寄付金を得ていることに、トラー牧師は知らされるのではあるが、今まで牧師は、そのことに気付かなかったのだろうか。パソコンから得た環境破壊の映像の数々、(人間の愚行) 自爆の映像。トラー牧師は、何度も見返す。彼が知る「まさに、其処にある危機」。彼も、酒量が増えていく。そうしていくうちに、教会の250周年の式典が迫ってくる。あの「自爆ベスト」を着るかとおもいきや上半身を鎖で巻き付けたり、意味不明な行動で自分でも自分が判らに状態に陥っていく。そこへ、ふらっとメアリーが現れる。メアリーの存在は、何であったのだろうか。
この作品に幕を下ろすには、その場面で、エンドロールにしなければ収拾がつかなかないのではと思い、私個人も、この作品はどこでけりをつけるのか疑問であったが、監督自身の作品の終わり方は、私の中では納得のいく形だと思った。
前回、拝見したイーサンホークの作品、エマ・ワトソンと共演した「リグレッション」よりも、監督自身の問題提起が重すぎて、ズッシリときた。しかし、映画は、如何様にも理解出来ると思うが、今回、果たして「正しい理解」をしているのかとっても不安な作品でもあった。