劇場公開日 2019年9月6日

「遺産相続を巡る兄弟の争いを描いたブラックコメディかと思いきや、親子の絆をキーにした家族再生をテーマにした佳品であった」台風家族 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0遺産相続を巡る兄弟の争いを描いたブラックコメディかと思いきや、親子の絆をキーにした家族再生をテーマにした佳品であった

2019年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まずはメインキャストの俳優が逮捕されるという出来事を乗越え、劇場公開を実現させた市井昌秀監督始めスタッフの方々の執念に感謝したい。
(申し添えるが、この俳優の事は以前から優れた演者として好意的に観ていたが、今回の彼の行為は許されざるものであり、映画界復帰を擁護する気持ちは全くない。私は作品と俳優の私生活での行為は一線を区切るべきと考えるので、この作品が劇場公開され(3週間限定上映という辺りに様々な確執があったのだろうと推測)作品を鑑賞できたという事実に感謝という言葉を使用している)

 序盤、遺産相続を巡るあたりは凡庸だったが、末っ子千尋が登場する所からストーリーは加速し、比例して面白さも増してゆく。こちらの予想の斜め上を行くストーリー展開に引き込まれていく。

 <親の心、子知らず>

 市井監督が十数年練ったという脚本が(ややあざとい面もあるが)本領を発揮してくる。

 草彅さん演じる小鉄が、ある問題が起きマスコミに取り囲まれ、詰問されている時、幼い娘ユズキは叫ぶ。”そこのメガネ!お父さんを苛めるな!”この序盤のシーンが後半効いてくる。

 小鉄の父親が何故、あのような事をしたのか、小鉄は何故金に汚い男になったのか。その理由が朧気ながら明示されていく過程で、この作品はコメディ要素は保ちつつも、心に沁みる作品となっていく。

 現代日本が抱える高年齢者社会の問題も織り交ぜながら、コメディタッチで描かれるこの作品は多様な見方が出来る懐深い作品でもある。

<2019年9月8日 追記 公開初日にレビューを上げた際、逮捕された俳優の方にキツイコメントをしたが、二日経ってやや冷静になり彼に対するコメントを補足する。>
 ”映画界復帰を擁護する気持ちは全くない、・・がいつになるか分からないが、貴方の姿をスクリーンで観ることが出来れば僥倖の感に浸ると思います。”

NOBU
ワンコさんのコメント
2019年11月24日

それち、アイリッシュマン、複数回上映ってアップリンクの渋谷と吉祥寺だけですもんね。なんか、日本の映画界は、Netflixのような配信基本の映画製作を特に嫌う傾向があるらしく、上映館も限られるって、ウソかホントか分からないですけど、そんな話も聞きました。ローマも良かったのに。なんか落とし所見つけて欲しいですよね。アップリンク、好きな劇場ですけど、狭いし、シアター1は普通の椅子ですし(笑)。

ワンコ
ワンコさんのコメント
2019年11月24日

おはようございます。Twitterでちょっと交流のある映画好きの高校生が、年末控え10本以上観たい映画があるって。その中の一本が台風家族で、まあ、高校生だったら、後回しにしても良いんじゃないかと思いながら、レビューを見直してました(笑)

ワンコ