「宮本がウザくて無理」宮本から君へ kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
宮本がウザくて無理
なんというか、うるさい映画だったので疲れてしまった。バトルシーンは迫力あって引き込まれたものの、全体的に受け入れがたく、気持ち悪さを感じました。端的に言うと、生理的に合わないガーエー。
主人公・宮本を受け入れられるか否かで本作の評価は決まるように感じます。宮本は不器用で直情的だが独りよがりで頭が悪い。その熱さと気合いに惹かれる人もいるでしょうが、俺は彼の押し付けがましさに反応し、まったくダメでした。俺に任せろ、みたいなのって相手との関係性を無視していると思います。しかも解決方法が目には目をだもんなぁ。それが無理だった。
ヒロインの靖子がまた無理だったため余計キツさが強まってしまった。ゴム無しで中出しを促す辺り、露骨なズルさを感じて無理だった(ゴムつけようとした宮本は誠実だと思いましたよ)。その前に「アタシにはアンタみたいな男しかいない」みたいなこと言ってたし。焦りがあって既成事実を作りたかったんでしょうね。ほんと、ウ〜ムって感じです。
逆に言えば、宮本と靖子は実にお似合いのカップルと言えるので、やはり人間は収まるべきところに収まるのか、などと妙に感心してしまいました。宮本の気合と覚悟も相手が靖子だからうまく回ったんだろうなぁ、なんてしみじみ思った次第です。なのでこの2人に好意を持てる人ならば、本作はめちゃくちゃグッとくるでしょう。
あと、ラグビー部のくだりはほんと胸糞でした。佐藤二朗の靖子へのセクハラや、タクマを呼び出す感じ悪さとか、マジで絶滅してほしい。そんな親父やコミュニティで育てばタクマもクズになるわ。
宮本も基本体育会系だからか、バカみたいに日本酒とかあおって豪傑を気取りたかったんでしょうね。それでつぶれてあの事件につながって行く。あ〜ヤダヤダ。
一方で、タクマのキャラクターは結構惹かれました。あの俳優の雰囲気とかも、無機質で空っぽな感じとかすごくリアルでした。本作の登場人物の中で唯一琴線に触れたんですよ。なんか救い難い悲しみを感じてしまって。やってる事も行き当たりばったりで救いがない。まだ裕也の方が計画性ありますからね!
色々恵まれているが、唯一ないのが魂みたいな切なさがキました。彼の人生惨めですよねぇ…愛される雰囲気もないし。勝者の悦楽に酔うべきガーエーだと思いますが、俺は敗者の方に気持ちが向いてしまった(といっても彼に好感を持っているわけではない)。
今回、結局俺はダルデンヌ兄弟みたいなガーエーが好きなんだなってことが良くわかりましたよ!今後は話題作でも観る前の時点で繊細さを感じなければスルーだね。でも主題歌はカッコ良かった!