「生半可なものが一切ないストレートな一発を浴びた」宮本から君へ OKOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
生半可なものが一切ないストレートな一発を浴びた
昨年の『斬、』に続き、池松壮亮と蒼井優のタッグ。
斬と同じく人間の暴力性を描いている作品だったが、2人の役柄も作品のアプローチもまったく真逆だった。
どっちの作品も見比べると役者の凄さを実感できそうだし、どちらの作品も人間を縛り付ける暴力について描かれているので、なぜ人間は戦わなければならないのか、違う観点から考えさせてくれる作品になっていると思う。
この作品は幸せだったはずの2人に思わぬ悲劇がやってくる。とても漫画的な話ではあるけれど、世の中の不条理な暴力性に立ち向かっている。暴力なんてまったくもって嫌だけど、絶対に勝たなければいけないこの状況に置かれたとき、自分の真の正義を貫けるか、この作品はものすごくストレートにかましてくれる。
そして誰かの親になる覚悟って生半可なものじゃ勤まらない。青臭くて自分よがりで頼りない馬鹿な宮本だけど、子どもと靖子のために自分を貫く、その気持ちだけはブレることなく、普通結婚生活を考えたらこんな男と結婚したくない女性はいっぱいいるだろうけど、本当の意味で信用は置ける人間だなと思った。どうしても自分のずるさに負けてしまいそうになるのが人間の性なのかもしれないが、こういう人間には憧れるよなぁ。
血まみれでボロボロになりながらのプロポーズは、日本映画の数あるプロポーズシーンの中でもトップクラスのプロポーズシーンだと思う。あんなのどんな馬鹿でも心打たれてしまう。
それから池松、蒼井の凄さはさることながら、彼らの壁となる人物を演じた、一ノ瀬ワタル、ピエール瀧、佐藤二朗あたりの存在感も抜群すぎた。
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