「圧倒的熱量」宮本から君へ reroさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的熱量
ドラマ版を全部鑑賞してからの映画の鑑賞です。
最初、池松壮亮演じる宮本が、あれ、大人びてる?とかちょっと池松壮亮が演じきれてないのかな?と思いつつ見始めました。
自分のことばっかりを考え続ける宮本は、知らない人からすれば完全によくわからない人間は迷惑でしかないし、靖子のためではなく自分のためだといいながら息子を倒しに負けられない喧嘩をふっかけに行く宮本。
どのシーンも力が入るし、池松壮亮も蒼井優も全員がステキな芝居で1時間20分間力を抜くところがないです。
途中の靖子が犯されるシーン。
そこからどう宮本が動いていくのかと思ってみていましたが、宮本は自分のことだけを考えて考えて突っ走る。
最後これでいいのか?と思いながら息子を倒した宮本はどういう顔で靖子のところに行くのか?
宮本は
自分だけのことを考えてやってるから、安心してついてこい!と告げる。
そんな自分勝手がありなのか?と思ったけれど、
靖子が求めていたのはそれなんだ。
執拗なまでの宮本の自分勝手が靖子の心をしっかりと捉える。
父親との確執や元カレや息子にされたことすべてひっくるめて宮本の自分勝手さに任せてみてもいいんじゃないかとと思ったのではないでしょうか。
終わってからのエンドロールに流れる
男ですもの女だからよ
もフェミ的観点から見てもこの映画を大いに納得させてくれる言葉であれが最後に流れたことがとてもよかったです。男が守る女が守られるとかそんな単純な図式じゃなくて、宮本が、靖子を守るんだというただそれだけなんだということがひしひしと伝わってきたとてもいい映画でした。
そして最後は、宮本は
「俺のことはいいから、この人たちのことを助けてください。」という。
宮本は、他人のことが考えられる人間になっていたのではないでしょうか。靖子の最後の笑みはそれに気づいたんではないでしょうか。
最初に感じた違和感は、大人になった宮本だからこそ、ドラマ版で見たような暑苦しい自分勝手な宮本ではないからこそ、あの違和感につながったのかなと思います。
最高の映画でした。
素晴らしい解釈です。同じ映画でも、人によって如何に解釈力の違いがあるか、多くの人がある事象や、自分にインパクトのある部分だけで全体評価を決めてコメントしてますが、ストーリー全体を見てコメントされており、とても素晴らしいと感じました。