「食いしん坊... バック大活躍?」野性の呼び声 PtiNakiさんの映画レビュー(感想・評価)
食いしん坊... バック大活躍?
1935年に公開された映画も一緒に鑑賞...この映画はもう記憶には誰も残っていないと思われるが...ウィリアム・A・ウェルマン監督はその以前に制作した映画でオスカーの第一回最優秀賞を受賞している。この映画はクラーク・ゲーブルとロレッタ・ヤングが主演のロマンスあり活劇ありとどちらかというと大人を対象とした娯楽映画作りがされていて、今作の場合は実写長編映画の初監督となるアニメクリエーターでかつて制作した「How to Train Your Dragon (2010)」では高い評価を裏付けるようにヒットもしていたクリス・サンダースがメガホンを取っている。その流れからか、映画自体は主人公のジョンを演じたハリソン・フォードが主役というよりは、どちらかというとセントバーナード犬であるバックが主役にとアニメクリエーターらしい一面も出ていい演出がなされていて...原作に近いシナリオとなっている。特にバックのラストに見られる行動によるところが大きい。視聴制限もGを獲得しているし、ホワイトウォッシングにもきちんと対応しているいつも通りの拝金主義をもろに見せつけるディズニーらしい映画作りがされているのが印象に残る。
We could go, you and me, see what's out there.
Foxという文字が映画界から消滅した今年初めて見る映画としては....幾度となく倒産の危機にあった20 century fox社、世界恐慌が一段落した世間とは違い、その傷跡を引きずり倒産の憂き目を目前にしていた時、彗星のごとき人物が現れて一難を過ごしたのに、また1968年には、破格の出演料や度重なる製作費を湯水のように使い、ふたを開けてみたら大赤字を計上するはめに...これでオスカーでも受賞しなければ踏んだり蹴ったり状態になってしまっていたのに...ディズニーにあっさりと買収され、「映画界の一時代の終わり」とかジョージ・ルーカスもよく似た「魂を売り渡した」なんて言葉が公に対して飛び出している。
今作は一般の観客からはとても高い支持を受けていて多くの方が共感を示す意見を述べているけれども批評家からはあまり高いと呼べないものになっている...それは、アニメーターとしての仇なのかセントバーナードのバックの描写の仕方がミュージカル映画「キャッツ」とはまた違った人の持っている潜在意識の嫌悪感を挑発しているように動きと表情がイビツなものに感じる。ただし面白い内容なのでコロナ肺炎に気を付けて鑑賞されることを望みます。
余談....昨今の#MeTooの影響からか1935年にさかのぼってクラーク・ゲーブルの闇の部分が公の舞台に登場することになり、あの伊達男の名をほしいままにしていた人物が、まさかの...亡くなっている方なので終わりにします。